このページは『Mr. takaによる若手教師のためのワンポイント・レッスン』です。

第4章 学級運営

14 朝学習で生徒と触れあう

1 朝の自主的な活動時間
 名古屋市立公立中学校の多くは、朝8:30に始業、8:45に1時間目開始です。この間の15分間は、学級担任による短学活の他に、学校独自の取り組みをしていることが多いようです。私がこれまでに経験した活動は、簡単な小テスト(朝学習)、および、生徒個人が持参した本を読む(朝読書)です。朝読書の実践記録と考察については、別ページ『朝読書の効果』をご覧ください。

2 朝学習の私の目的と目標
 朝学習の目的は『基礎学力の定着』、それを達成するため目標は『毎朝10分間の小テスト行う』です。しかし、私はそれ以上の目的と目標を設定し実践してきました。その目的はこのページのタイトル『生徒と触れあう』こと、目標は『机間巡視で全員に声をかける』です。

3 小テストを業者から一括購入する
 
小テストを作成する時間はないので、業者から購入します。学年の先生が集り、5社以上のものから1つを選びます。問題と答えが別々になったもので、回数は1年で24回のものが良いと思います。それらを綴じるためのファイルも購入します。

4 朝学習にかかる時間
 
朝の小テストにかかる時間は、簡単な問題なら3分、難しい問題なら10分程度です。

5 朝学習の手順
 
小テストの配付から、回収、点検、返却、生徒によるファイリングに至る手順は、いろいろありますが、私は以下のように行ないました。この手順は、私が4つの中学校で実践したものを総合し、2003年現在、ベストと思われる方法です。
(1)朝早く登校した生徒が、その日の『問題プリント』と『解答』を教卓に置く
  ※ 係はきめない
  ※ 学習係にする必要なない
(2)8:25の予齢までに、各自が『問題プリント』を1枚とる
(3)8:25まではやらなくて良いが、8:25以降は無言で『問題』に取り組む
  ※ 実際は、8:30までに駆け込んで来る生徒がいるので、あまり落ち着かない
  ※ この間、教師は机間巡視する
(4) 問題がすべて解けた生徒は、各自で『解答』を教卓まで取りにいく
(5) 各自で採点し、間違えたところを赤で直す
  ※ 教師は机間巡視する
(6)8:35になっても問題を解いている場合は、強制的に『解答』を取りに行かせる
  ※ 一般に、学力が低い生徒には早く解答を渡し、解答を覚えさえ方が学習効果がある
  ※ 教師が解答を持ち、できた生徒に配付しても良い。できない生徒に配付してもよい
(7)全員、解答および朱書きが終わったところで、後ろから回収させる
(8)教師が職員室で点検する
(9)放課や授業後に返却する
(10)生徒が、専用のファイルに綴じる
以 上

6 私は、添削をしません!
 ほどんとの学級担任は、回収した小テストを点検、添削してから返却しますが、私は添削指導しません。『印』を押すだけです。その代わりに、生徒全員に声をかけることにしています。つまり、朝学習が始まる前の8:25から8:40まで、生徒が黙々と問題を解いている間、あるいは、採点をしている間、私は丁寧に机間巡視します。

7 机間巡視で1人ずつ全員に声をかける
 「いいね。」「ここを良く見て。」「今日はいいじゃない!」「ここがおしかったね。」「今日は字が丁寧にかけています。」「ここをもう一度やりなさい。」「いいよ。」「やったね、80点。」「よろしい。」「合格です。」「真面目にやっているから、少しずつできるようになるよ。」「今日は、ここをやり直してごらん。」など、1人10秒のペースで声をかけて回ります。すると、6分間で36人に声をかけれる計算になります。私にとって、朱書きをするより、こうして声をかけることの方が得意であり、生徒も喜んでいるように感じます。

8 毎日の観察がものをいう
 このように声をかけることは、生徒を毎日観察しなければできませんし、毎日続けることで、学習に対する生徒の取り組みが変わってきます。これは確実に1人ひとりと向き合うという点だけでなく、生徒にとって最大の関心事である学習のアドバイスをするという点において、非常に優れた方法です。

9 生徒と触れあう感性と技術を磨く
 新卒の先生は、点検や朱書きに多くの時間をとることが多いのですが、本当に大切なことは、生徒を見ること、生徒の自主性を伸ばすこと、学習の習慣をつけること、先生に見てもらっているという安心感や満足感を得ることです。短時間で的確なアドバイスをすることは大変ですが、教員を生涯の仕事とするなら、是非トライして下さい。感性を磨きならが、経験を積んで下さい。

2003年3月4日

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