このページは『Mr. takaによる、若手教師のためのワンポイント・レッスン』です。

第4章 学級経営

13 ニックネームでこんにちは

 あなたは、子どもを何て呼んでいますか?

1 生徒全員の氏名を覚えよう!
 私は記憶力が弱いので、4月、番号順に座っている新学期の座席表を見ながら必死で名字(名前)を覚えます。他の先生が2、3日で覚えられるのに、私はどうしても1週間以上かかります。側頭葉の発達が弱い人間にはどうすることもできません。何回も間違え、恥をかきながら必死に覚えるしかありません。とにかく1日も早く全員覚えることが先決です。

2 子どもの氏名を覚えたら
 全員の顔を氏名が一致したら、あなたは何と呼びますか。次の(1)〜(6)から適切なものを選んでください。場面によって違うと思いますが、まず、授業中の呼び方を選んでください。
(1) 名字(呼び捨て)
(2) 名字(+君、さん)
(3) 名前(呼び捨て)
(4) 名前(+君、さん、ちゃん)
(5) フルネーム
(6) ニックネーム

3 授業中の呼び方
 正解は『2番』です。誰もが公平に感じる丁寧な呼び方をしましょう。子どもに対するあなたの姿勢を、言葉で表現して下さい。その真摯な態度が伝われば、子どもが先生を呼び捨てにしたり、隠語で囁きあうことはありません。子どもの言葉遣いや悪態を注意する前に、教師自身が反省しましょう。

4 ランチ、朝の会、レクリエーションの時間
 原則、『2番』です。公平な姿勢を崩すべきではありません。授業時間と同じなので、同じように呼びましょう。あなたの心の隙を子ども達に見すかされることになります。教師自身が授業時間であることをしっかり認識して下さい。放課、授業後以外は原則『2番』です。

5 子どもを叱るとき
 これも『2番』。重大な過失の場合は『5番』です。よく考えて下さい。しっかり反省させたい場面で、頭ごなしで教師が怒鳴り付けることは最悪です。丁寧に呼び出し、事情を聞くことから始まります。そして、話を聞いた結果、子どもに過失が認めれた場合も、『2番』で呼びながら指導します。きちんと声を掛けながら、公平かつ丁寧に指導することは基本です。自分で子どもの名字も呼ばず、自分の言葉に酔っぱらったように指導する教師も最悪です。

6 ニックネームでこんにちは
 ここまで読んだ先生なら分かったと思いますが、子どもをニックネーム(あだ名)で呼ぶことは教育現場ではあり得ません。親近感が沸いたり、気心が知れる関係になれると勘違いしてはいけません。教師は生徒と違うのです。立場の違いを明確にし、どの子どもにも公平に接しなければいけません。生徒には「○○先生」と呼ばせましょう。逆に、あたなは「△△君」、「◎◎さん」と呼びましょう。生徒と教師がニックネームで呼び合う関係で、厳しい教育はできません。朝の挨拶から始まり、授業、放課、失敗したとき、別れるときまで一貫した姿勢が大切です。

 ニックネームでこんにちは・・・学校を卒業しても、子どもが成人するまで使わないのがプロの教師でしょう。教え子にとって、あなたは永遠に先生であることを忘れてはいけません。私はそんな尊敬できる先生と巡り遇いたいです。 →先生を尊敬しよう

2007年追記
 かく言う私も、新しい学校では「ふっくん」と呼ばれるようになった。もちろん、授業中は「福地先生」しかあり得ないが、生徒が遠くから私の姿を見つけた場合、大声で「ふっくん」と叫び、盛んに手を振るときは無視できない。当初は「福地先生でしょ!」と注意していたが、とうとう諦めて返事をするようになった。/ 正直な話、1年以上たった今も不本意であるが、現場の子どもから必要とされるなら仕方あるまいと甘んじている。「福地先生」と叫んでもらえれば、私はもっと目一杯応えることができるのだが、、、 最近は、少しずつ「福地先生」と叫んでもらえるようになった。おそらく目に見えない意識の変化が現われているのだと思う。がんばるぞ!

2011年1月28日 追記
 昨年から私のことを「あっ、お友達!」という呼び掛ける1人の女子生徒が出現しました。とてもユニークな元気あふれる女の子です。近くの友達は「えっ、友達なの?」「そんな風に呼んで良いの?」と驚いています。本人は、「いいの。いいの。お友達だから」と言います。私はそれに対して300%ハイテンションで「@@@@」と応えます。誰がどう見ても、おかしな特別で特殊な触れ合いです。言葉を超えた挨拶です。誰もが「何だあれは」「絶対にムリ」と感じる時空間です。彼女にとって、それが学校に来る1つの楽しみになれば、私は幸せです。誰にも迷惑をかけていない、学校における異次元の時空間の出来事です。

 私は、生徒をニックネームで呼ぶことはありません。必ず、「名字+くん」「名字+さん」で呼びます。名前も使いません。名字です。どんなに親しい会話になっても、これだけは譲りません。大人の教師と子どもの生徒の立場の違いを自分自身で明確にし、自分を戒めるためです。生徒はどれだけ理解しているかわかりませんが、その雰囲気だけは感じていると思います。

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