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第4章 学級経営
10 提出物が出ない
提出物が出ない主な原因は、次の2つです。
1) 提出物の内容が不適切(難しい)
2) 生徒の自覚が甘いこれらを解決すれば、ごく自然に全員が提出します。また、初めに間違えてはいけなないのは、提出率は100%しかありません。間違えないで下さい。全員提出です。例外を認めてはいけまんせん。例外が出ないような提出物にすること、そして、全員に提出させることが教師の仕事です。
1) 提出物の内容を適切にする
提出物には、いろいろな種類があります。内容も様々です。10把ひとからげにして考えるのではなく、提出物1つひとつの内容を分析して、提出しやすい条件を整えることが大切です。
<提出物の例>
・ 現金の入った集金袋
・ 家庭訪問の日時の希望票
・ PTAの出欠票
・ ぞうきん2枚
・ 紛失した生徒手帳の代金
・ 健康調査アンケート
・ (修学旅行用)保険証のコピー
・ 通知表
・ 夏休み前、自宅に持ち帰った「上履き」
・ テスト前の計画表
・ 定期テストの成績個票
・ 郊外学習のための健康調査アンケート
・ 体育大会後の作文
・ 夏休み中の記録(学習・生活)用紙
・ 各教科の宿題
→ 別ページを用意しました『宿題なんて大嫌い』まず、生徒自身ではどうしようもない提出物について考えてみましょう。「家庭訪問の希望日」や「集金」は、生徒に責任はありません。保護者がダメなら出せません。本人には、保護者に連絡したかどうかを確認すればお終いです。その後は先生が直接、保護者に連絡を取って下さい。教師が生徒に金を請求しているようでは教師失格。家庭事情を確認しないまま「早く出しなさい」と催促することは、生徒を悲しみの淵に沈めるだけなく、教師を含めた大人への不信感・反抗心を抱かせることになります。
それに準じる「ぞうきん」や「紛失した生徒手帳の代金」など金銭がかかるものには、配慮が必要です。また、「健康調査アンケート」や「保険証のコピー」など保護者とよく連絡を取りあう必要があるものにも注意して下さい。
次に、提出率が100%に近い『通知表』について考えてみましょう。なぜ、ほとんどの生徒が始業式に提出できるのか。それは、提出日が明確、保護者の関心も高い、生徒自身考える必要がなく、とにかく出すだけなど、提出しやすい条件が揃っているからです。他の提出物も、これと同じ条件を設定すれば、生徒の提出率は自然に上がります。
提出物を減らそう
逆転の発想です。ごく簡単なアンケート、数分間で終わってしまうものは、学校でやらせましょう。その場で全員提出。家庭に持ち帰らせる必要はありません。その場で回収し、無用な手間とストレスを省きましょう。発想の転換で、宿題や提出物を少なくしましょう。体育大会や遠足の作文も、翌日、学校で書かせましょう。2) 生徒の自覚を高める指導
提出物について意識改革をしましょう。つまり、個人の問題ではなく学級の問題にするのです。学級目標の1つに『提出物は初日に全員出す』を追加します。意識改革に成功すると、提出物を出した喜びで、幸せな1日を過ごせるようになります。友達と同じようできたという喜びは、学習能力の低い子どもにとって格別です。
<具体的な指導例>
・ 全員提出できたら、朝の会で全員拍手
・ 回収する係り(生徒)は、内容に応じて変える
・ 必要があれば、その係りを学級会(司会は学級委員)で決定する
・ 直接、教師が回収しなければならないものに注意する
・ 専用の名簿や掲示物を準備てもよいが、個人攻撃にならないように注意する
・ 忘れたら、学級担任が保護者に電話で確認をとり、即刻、自宅まで取りに帰らせる
・ 忘れたら、自分で黒板に自分の名前を書かせ、提出できたら自分で名前を消させる
・ 帰りの会で、連絡帳(忘れたら生徒手帳)に提出物を記述しているか毎日確認し、習慣化させる。連絡帳を購入できない生徒については、保護者に電話連絡し、連絡帳の購入を依頼すると同時に、家庭でも毎日確認してもらうように依頼する。このような生徒の保護者は、提出物に対する意識が低いことが多いので、保護者に対しても粘り強く繰り返し連絡することが必要である。保護者への指導は、生徒に対する指導より何10倍も根気と労力が必要であることをお忘れなく。↑ TOP [Mr. takaによる若手教師のためのワンポイント・レッスン][→home] (C)2004 Fukuchi Takahiro