このページは『Mr. takaによる、若手教師のためのワンポイント・レッスン』です。

第8.2章 いじめという犯罪

5 隠れて『殴る蹴る』いじめ

1 隠れて『殴る蹴る』いじめとは
 隠れて『殴る蹴る』行為は、100%犯罪です。加害者は、大人の目から隠れるという点で『悪い行為』であることを知っています。このページのタイトルは『いじめ』になっていますが、自他ともにあきらかな『暴行』とする方が適切です。また、女子の多くは「男子のいじめは殴られるだけだから」「殴られるほうがよい」といいますが、実際は、殴られるだけではありません。身体を殴られる、脅迫されることで精神的に追い詰められています。黙殺されることも大変な苦痛ですが、身体の危険がいつ訪れるかわからない不安も、かなり大きな精神的苦痛です。この犯罪には、身体の痛みが加わっています。

2 見えない部分を殴る蹴る
 隠れて行われる暴行は、見えにくい部分(腹部、腕、脚、肩など)を狙います。別ページみんなの前で『殴る蹴る』いじめで紹介した頭部や顔面を狙ういじめとは、根本的に違います。2011年現在、『肩パン』という暴力行為が流行しています。これは、遊びの形式をもった『隠れた暴行』の1種である、考えることもできます。

3 男女それぞれに分かれて行う
 男子は男子に対して、女子は女子に対して行います。これは過去40年間不変ですが、2011年現在、女子による犯行はほとんど見られません。

4 複数による犯行で事件をあいまいにする
 複数の男子が集り、犯行におよびます。首謀者はいますが、巧妙な手口で責任を分散させようとします。被害者に非があるようにすることも厭いません。このいじめは、当初から隠されているからです。見つからないようにすること、発見されてもごまかすことが、この犯行の目的だからです。また、被害者は複数ですが、被害者は1人です。

5 被害者は脅迫されている
 被害者は「先生にチクったら、もっと殴るぞ」と脅迫されています。したがって、犯行現場を見つけても「遊んでいるだけ」「自分がぶつかったから、自分が悪い」などと嘘をいいます。

6 被害者の衣服の下を見て、傷害を見つける
 被害者の衣服を脱がせてください。青あざがある場合、暴行罪より重い傷害罪が成立します。ただし、隠れた暴行を受けている生徒は、誰にもその事実を語ろうとしません。他人の前で衣服を脱ぐことをしません。万一見られたとしても、自転車でこけた、階段から落ちた、お兄ちゃんと喧嘩した、などと嘘をついて隠そうとします。

7 被害者(いじめられる生徒)のよくある特徴
(1) 体が小さい
(2) 自己主張ができない
(3) 身体や衣服が汚れている(風呂に入れない、衣服の洗濯ができない)
(4) 学力が低い
(5) 運動能力が低い
(6) 生活能力が低い

8 隠れた暴行を見つける方法
 私は生活指導係ではなくなりましたが、今でも次の点をチェックしながら廊下をぶらぶらしています。むしろ、係でなくなったので、見つけやすくなったような気もします。目を光らせるないよに、細心の注意を払って細部を観察します。隠されたいじめのサインは小さく、加害者も被害者も隠ぺいしようとしています。
(1) 1人で隠れるようにしている生徒に声をかける
(2) 制服が汚れていないか(足跡、チョーク)、破れていないか見る
(3) 不自然な歩き方、動作の生徒に声をかける
(4) 異変を感じたら、衣服をめくり、腕や足を調べる
(5) 持ち物がない生徒に、その理由を聞く(隠されていないか)
(6) 忘れ物をした生徒に、その理由を聞くないか(強奪されていないか)
(7) 提出物できない生徒に、その理由を聞く(脅迫せれていないか)
(8) 逃げるようにして廊下を走っていないか
(9) 先生に寄りそってこないか
(10) 顔の表情がこわばっていないか
(11) 授業中、冷やかしの言葉がかけらていないか

9 隠れて行わせないために
 私は、生徒の身体に対する攻撃性を自然な活動の1つして、大人が認めることが必要だと思います。大人からみて暴力行為のように感じても、生徒レベルでは自然な遊びであることがあります。この自然な遊びを一方的に封じ込めようとすると、このページで紹介したような『隠れた暴行』へ変型します。自然な遊びと犯罪行為の区別、判断はとても難しいのですが、プロの教師ならやってください。生徒を良く見て、適正にジャッジしてください。続きは、別ページ『身体への暴行、傷害』をご覧ください。

2011年2月26日

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