このページは『Mr. takaによる、若手教師のためのワンポイント・レッスン』です。

第2章 How to 授業

37 生徒が教壇で教える授業

1 代表生徒が、黒板の前で教える
 代表生徒が先生のように教壇に立って教える授業は、先生に高度な技術が要求されますが、とても盛り上がります。発表する生徒は発表する楽しみ、聴く生徒は聴く楽しみがあります。代表生徒による授業は、生徒にとって身近な話題、他の教科で学習したばかりの内容を取込んだりできるので、一気に理解が進むことがあります。是非、挑戦してみてください。

2 生徒が教える学習内容
 生徒が教える内容は、比較的難しいものが適しています。先生自身も難しい、と感じるものが良いでしょう。希望者を募集すると、予想外の生徒が挙手して、学級全体が驚くことがあります。理科の授業では、天文分野や地学分野など3次元で説明しなければならない時に、私はよく使います。以下は、中学3年理科『運動』の授業で、速さを求める方法を復習した時のものです。


上:20cmを0.4秒で進む物体の速さを求める方法を説明するAさん。彼女は、2つの目盛りを持つバー(棒)を板書し、白と黄の2色チョークを使って鮮やかに説明しました。その高度な説明に、教室の仲間は感嘆の声を上げていました。理解できた生徒は10人ほどでしたが・・・

3 呼びかけ例(3年理科:物体の運動の速さ)

 次の問題は、ちょっと難しいです。まず、先生が説明しますが、先生の説明でわからなかった人は正直に手を挙げてください。どれぐらいの人がわからないのか、先生も知りたいからです。そして次に、誰かに同じ説明をして欲しいと思います。先生がくり返しても面白くないし、先生よりもわかりやすい説明ができる人がいると思うからです。それでは、とりあえず、先生が説明します。

 (ウ)の問題は、20cmを0.4秒ですから、先ほどの『は・じ・き』に当てはめると、き=20cm、じ=0.4秒になります。したがって、数字は20÷0.4=50になります。単位も割算しなければいけないので、cm÷秒=cm/秒 になります。合わせて、答えは、50cm/秒 です。

 先生の説明は、以上です。わかった人! ・・・なるほど、半分ぐらいの人がわかったようですが、まだ半分の人がわからないようですね。その前に、20÷0.4=50ができない人もいるかもしれないので、ちょっと聞いておきましょう。20÷0.4ができない人! ・・・なるほど、同じ人ができないようですね。では、この算数の計算問題を含めて、誰か説明してくれる人はいませんか。簡単なように見えて、これは難しい問題ですよ。計算できることと、友達に教えることは違いますからね。友達に教えることができる人は、本当に賢い人だと思います。では、教えてくれる人!

4 友達の説明の評価は、生徒にさせる
 一通り説明が終ったら、その評価を友達にさせましょう。「Aさんの説明でわかった人!」と一声かけるだけで十分です。あるいは、Aさんの説明の途中のつぶやきや歓声で、その評価をすることができます。その評価を聞くことで、「よし、私も!」という生徒が出てきます。


上:Aさんよりわかりやすい説明をしようとするB君。彼は、シンプルな計算式を板書し、たくさんの友達から拍手をもらいました。

5 とぼけたふりをする先生
 私は、わざとわからない振りをしたり、とぼけた振りをしたりすることがあります。「あれ?」「どうして!」「どうだったかなあ?」と先生が道化師になれば、全ての生徒に安心感を与えられます。しかし、多用すると信頼を失うことがあるので気をつけてください。とくに、定期テスト直前はいけません。


上:次の問題、20cmを1/60秒で進む物体の速さの求め方を説明するC君。彼は、普段から信用が高いので、身を乗り出して説明を聞き入る生徒の姿が多く見られました。私の説明よりも真剣になる生徒が多いのです。

関連ページ
3年生で復習する『浮力』2(3年理科/授業記録2012)

2011年3月8日(火)
平成22年度 卒業式の日

↑ TOP

[Mr. takaによる、若手教師のためのワンポイント・レッスン]
[→home

(C) 2011 Fukuchi Takahiro