このページは、Mr. takaによる若手教師のためのワンポイント・レッスンです。

第3章 理科の授業

2 理科好きにさせる方法

1 テーマは大自然
 理科のテーマは大自然です。自然は私たちの身のまわり溢れています。動物、植物、人体、遺伝、生態系、細胞、生命、天気、宇宙、岩石、地震、化学変化、状態変化、水溶液、イオン、中和、電気、力、音、光、エネルギー、運動、熱など、まさに百花繚乱ひゃっかりょうらんです。これらのタイトルを聞いただけでも、わくわくするのではないでしょうか。1つもダメ、という人はまずいないと思います。自然は嫌い、という人は、基本的に生きていないと考えることもできるでしょう。なお、このHPでは、大自然を5つの分野『物理学』『化学』『生物学』『地球科学』『天文学』に分けています。

2 生徒が理科を好きになる3つの理由
 生徒が理科好きになる理由は、以下の3つに要約されます。全てそろえば完璧ですが、どれか1つでも好きになります。逆に、先生が理科好きにさせる方法は、理科好きになる条件をそろえさせれば良いわけです。以下に3つの理由と3つの方法を示しますが、それらは理科以外の全ての教科に共通しています。国語でも社会でも何でも同じです。これらは、生徒がある教科を好きになるための鉄則です。この鉄則にそれぞれの教科の特性を加えれば、全て教科に応用できます。理科は『自然』を対象にしているので、すべての内容について、自然を対象にします。

理由1 授業がよく分かる
理由2 テストで良い成績が取れる
理由3 その教科の先生が好き

方法1 授業内容を分かりやすくする
 先生が予習し、幅広い知識を身につけることが第1条件です。「大学で勉強したから」と安心していると大失敗します。基礎・基本を教えることは、高度な内容を指導するより遥かに幅広い知識が必要になるので、私の授業記録を参考にしならが勉強して下さい。授業に役立つかどうかは別にして、まず幅広い知識を集めて下さい。次に、授業のテーマを絞り込み、1時間につき1つのテーマにしてください。1時間1実験(実習)です。100の事象を知っていても教えてよいのは1つです。「100に1つ」と心掛けて下さい。先生が新しく学んだばかりの知識を授業で紹介することは危険です。先生にとって古臭く感じる内容でも、生徒にとっては初めての内容です。たった1度しかない貴重な1時間ですから、たくさんの知識を天秤にかけて最適なものを1つだけ教えて下さい。生徒は「1から100を知ろう」と努力するでしょう。

方法2 テストで優秀な成績をとらせて、ほめる
 テストで優秀な成績をとらせる方法は簡単です。簡単な問題にすれば良いのです。年度当初のテストは、意欲を高めるために平均70点になるように作成します(生徒の実態がわかる=平均点の予想ができる)。次のテストは生徒の実態に合わせてコントロールし、より意欲を高めます。最終的には50〜55点に設定し、厳しく教育しましょう。なお、平均80点以上は絶対にいけません。保護者から「家の子はテストで90点取ったのに、どうして通知表が2なんですか!」と電話がかかってくるなど、まったく別の問題が発生します。

 文部科学省により2002年度から、評価の方法が変更されました。これまでの相対評価から絶対評価になったので、教師の力量が十分なら、生徒全員が最高の評価を得られるようになりました。「最高の評価」と述べた理由は、学習指導要領で示されている内容を見れば分かります。私の拙い授業実践においても、ほとんどの生徒が到達しているからです。

方法3 先生が魅力的な人間になる
 方法1や2より大切なことがあります。それは、先生自身が魅力的になることです。教え方が下手でも構いません。大自然に感動したい、自然の神秘を感じたい、宇宙の法則を知りたい、もっと大きなことに思いを馳せましょう。知らないことを知らないと言える喜び、驚いた時に「すごい」といえる純粋な気持ち、美しいものを美しいと感じる心を磨いて下さい。生徒よりも誰よりも感動できる人間になってください。何ごとについても興味関心を持ち、好奇心に満ちた輝く目をもつことが大切です。

3 好き嫌いは感情の問題です
 好き嫌いは感情の問題です。理屈では分からないところで好きになります。おそらく、脳の深いレベルで、本能的なレベルで好きになるのでしょう。そして、この感情は最終的に人間が人間を好きにならなければ無に帰することを心に留めておいてください。

4 実験や観察がなくても好きになる
 理科の場合、教師になったばかりの先生は「面白いオリジナル実験をしよう」と悩む傾向がありますが、そこには大きな間違いが含まれています。面白い授業をすることは大切ですが、次のような間違った考えを持ち続けていると、理科だけでなく、すべての教育活動において取り返しのつかない重傷を負います。最近のテレビ番組の中には、視聴者を驚かせる科学的な実験をおこなうものがありますが、学校の理科では絶対に必要なものではありません。このページの続きとして、『おもしろい授業をしよう』をお読みください。

間違った考え
面白い授業= オリジナル実験のある授業
面白い授業= びっくりする実験がある授業
面白い授業= 生徒1人ひとりの実習がある授業

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