このページは『Mr. takaによる、若手教師のためのワンポイント・レッスン』です。 |
第6章 社会性と育む自然な争い
3 生徒どうしの小さな喧嘩
1 小さな喧嘩を起こすのは、生徒の仕事
何人かの生徒が集ると必ず喧嘩が起こります。どんなに仲良しでも、毎日ニコニコしているわけではありません。ちょっとしたすれ違いが起きたり、気分のすぐれない時があったり、どうしても譲れない部分を主張したりすることがあるからです。生徒は、小さな困難に繰り返し出会い、それを解決していくことで社会のルールを学び、自分らしさを獲得していきます。つまり、小さな喧嘩は生徒がしなければいけない仕事であり、欠くことができないものです。2 先生は大きな山のように見守る
原則として、先生は生徒どうしの小さな喧嘩に立ち入ってはいけません。小さな喧嘩や事件はたえず起こるだけでなく、先生が見ていないところで起きる事件の数は、見えるところより多いものです。たまたま先生の目に触れたからという理由で、先生が解決してやろう、と考えるのは大きなお節介、大きな間違いです。基本的に、先生はぐっと我慢し、介入せず、大きな山のように見守ることを基本姿勢にしてください。3 喧嘩や事件の大きさ
誰かが悪口を言った、部活動の練習試合で「わざと負けた」と言われた、悪口を言われて言い返したら殴られた、などは小さな事件です。それが大きな事件のように感じるなら、それはそれで正解です。なぜなら、絶対的な基準はどこにもないからです。事件の大小は、事件そのものだけでなく、事件に関係する人の環境によって変わるので、先生が介入するか否かは、生徒を取り巻く社会的環境によって決めてください。4 判断に迷うときは
自分で判断できない場合は、近くにいる生徒に「ねえ、あの子たち何をしているか知っている?」「見ているだけで良いかなあ?」「ほかっておいても大丈夫かなあ?」と聞いてみましょう。その返事ではなく、その反応を見れば、正しく判断できるはずです。それでも迷う場合は、喧嘩をしている当事者に近寄り、「何をしているんだ?」と直接声をかけてみましょう。普段から十分な関係ができている生徒なら、これで判断に迷うことはないでしょう。よく知らない他学年の生徒なら、学級担任や学年の生活指導の先生へ事実を報告しましょう。5 大人の価値観を押し付けない
多くの事件は、子どもどうしで解決していきます。子どもの価値観で発生した問題は、子どもの価値観の中で解決していきます。どうしても先生から声を掛けたいなら、全て解決してから「お疲れさま」の一言だけにしましょう。子どもは少しずつ悪い事件を作らない方法を学んでいきます。それは理論ではなく、毎日の友達との関わりの中で学んでいくことです。先生が入ると、子ども達は「先生がどのように考え、どのように解決させたい」のか察知し、それに合わるように事実を再構成します。私は小さな事件を見つけた場合、周りにいる生徒と雑談しながら、事の成りゆきを見守るようにしています。それだけでも、十分な抑止力になっています。6 先生が手助ける喧嘩、事件
公立中学校は、私立より幅広い環境で生活している生徒が集るので、より大きな仕事が数多く発生します。それだけ大きな人間になるチャンスがあるのですが、生徒どうしでは解決できないほど大きな事件になることがあります。そのような時は、喧嘩や事件の現場にいる先生が介入し、解決の手伝いをします。その方法は、別ページ『先生が事件を解決する方法』をご覧ください。2010年11月7日
↑ TOP [Mr. takaによる、若手教師のためのワンポイント・レッスン]
[→home](C) 2010 Fukuchi Takahiro