このページは『Mr. takaによる若手教師のためのワンポイント・レッスン』です。

第1章 学校とは何か

5 人類の活動と9教科

─人類の活動を、9つに分類してみる─

 人類の活動を教えるためには、いくつかの科に区分してから、それぞれを体系的に教える方法が効果的でしょう。私は不勉強なので諸外国の区分を知りませんが、日本の中学校教育は9つの教科に分けて行ないます。この区分は、時の政府によって変更する必要はありません。日本という国家が解体するなら話は別ですが、私は9教科の内容を改善、充実させるだけで、十分に新しい時代を切り拓くことができると思います。

1 日本の9教科
 日本の中学校(2008年)は、下表のように国語科から外国語科までの9つの科に分かれています。文部科学省による各教科の目標は別ページ『授業であなたが教えること』にゆずり、私が考える目標を紹介します。

私が考える9教科の目標

科 目 各教科の目標(学習内容)
国語科 ・日本国民が共通して理解できる会話、読み書き
・日本の伝統の言語(漢字、ひらがな、カタカナ)を尊重する態度
・日本語を使った思考方法の特徴の理解
社会科 ・平和を求め、戦争を起こそうとする人間を非暴力で抑える実行力の育成
・日本の歴史・地理・文化
・日本の宗教や哲学
・諸外国の歴史・地理・文化・宗教
・個人と国(社会)の関係について、自分で判断し行動できる能力
数学科 ・買い物ができ、家計簿によって金銭面の人生計画ができる能力
・自分が支払う税金、借金による利子の計算ができる能力
・定義について理解し、理論的な思考をする能力
理 科 ・自然の事象を注意深く観察する能力
・経験および客観性を重視した考え方(科学的思考)
・自然に感動するための見方
技術家庭科 ・人間としての基本的な生活技術(食事、睡眠、性)
・集団生活をするためのマナーと常識
・人間としての愛情
保健体育科 ・柔軟でバランスがとれた健康な心身をつくる
・身体の構造、医療知識
・心理学
美術科 ・美しく生きる、美しく見せる方法と技能
・美に対する意識、美術の歴史
・右脳に任せる方法
音楽科 ・時間や音を楽しむ方法と技能
・音程とリズムと理解し、声や楽器によって表現する
・演劇やダンスなど舞台芸術(雰囲気や空気感)を楽しむ力
外国語科 ・スペイン語、英語、中国語などの言語による会話
・外国語による思考の理解(日本語との比較)

2 内容は、各教科の先生が工夫する
 各教科の目標は、上の表や別ページ『授業であなたが教えること』を参考にして、大きなものを設定して下さい。もちろん、文部科学省の内容は網羅して下さい。その上で、あなた独自の目標ができたら、細かい内容を工夫しながら授業を実践します。内容作りは大変ですが、授業は先生1人で行なうものではありません。生徒全員と協力して作るものです。また、同じ学校の先生や保護者、地域の方と協力して作りましょう。具体的な例は、私の中学校理科の授業記録をご覧下さい。2000枚以上の画像を含む約700ページの実践記録あります。

 繰り返しますが、政府(あるいは、管理者や理論家)は新しい教科や領域などを作ろうとしますが、その必要はありません。今ある教科で十分です。新しい問題が発生しても、現在の枠組みの中で解決できることばかりです。それが教材研究であり、専門の教科の免許をもった教員の仕事です。問題を解決する方法は、地域で仕事をしている教員の「日々の教材研究」しかありません。

 あなたの学校や学級で、その時必要だ、と感じるものがあったら、あなたの教科の中で教えることが可能です。柔軟な姿勢で対応すれば、全ての人間の活動は1つの切り口(教科)から入り込むことができるはずです。

社会問題に対応した授業の実践例
(1)生きる力を育てる理科の授業
(2)ゆとりある心を育てる理科の授業

教材研究
・同じ素材でも、視点を変えれば何通りにも使える。
・地域にある材料、行事、歴史の利用。
・現在の問題点を解決するための具体策。

3 9教科を関連づける
 9教科は、教育しやすいように多様な人間活動を区切っただけですから、本来は1つものです。したがって、各教科の先生は、互いに情報を交換しあって、関連ある授業を展開しなければなりません。私が実践したいくつかの例を下に示します。

4 教科に関する私の提案 ─医学と心理学─
 保健体育科の中に、医学と心理学を取り入れるべきです。なぜなら、最近の社会問題は、複雑な人間関係や歪んだ心理構造から発生しているからです。中学生は自分自身を形成する時期なので、子ども達は大きな興味関心を持っています。非科学的な占いが流行るようではいけません。学校で、基礎的な心理学(幼児や児童の心理、集団心理など)について学習することは、大きな意味を持ちます。

2008年1月20日
福地孝宏

↑ TOP

[Mr. takaによる若手教師のためのワンポイント・レッスン][home]

(C) 2008 Fukuchi Takahiro