このページは、ロンドン旅行記 2001春 です

  私の日記


  3月26日(土)               くもり
  ==◎本日の日程======================
  ・ 宿の変更(YMCA)
  ・ ナショナルギャラリー
                          ロンドン泊3
  ==============================  

  今日は特筆すべき事はなくて、終日、ナショナルギャラリーで絵を見ただけ。

  朝食をとっていると、表通りが賑やかになってきた。
  ここは、ローワー・マッシュ市場(露店)だったのである。


  (上:ローワー・マッシュ市場)

     とはいっても見慣れた露店である。
     政府に場所代を払って月曜日から金曜日まで。
     ピークは午前11時ごろ。

  9.00 地下鉄にのって、宿を移動した。
     YMA(オックスフォードst.)

  10.30 ナショナル・ギャラリー

      すぐにミュージアム・ショップ(売店)に入った。
      見慣れた名画がたくさんあって、
      「えっ、あっ、これが見れるの!?」
      と思わず笑みがこぼれる。
      
      昨日の大英博物館とは大きな違いだ。

      ===

  閉館5時までいたから、昼食や仮眠時間を抜いて5時間いたことになる。
  絵画を見るにはエネルギーを使うから、本当に疲れる。ゆっくり歩き続け
  ることも大変だけど、それ以上に頭が疲れる。

  気になったのは、ヤン・ヴァン・アイクの『アルノルフィニ夫妻』で、2
  人の表情は好きじゃないのに、深く印象に残っている。無表情な2人。黒
  と緑の服。毛皮とレース。同じような服。正面にある鏡。そう!、「その
  鏡に写っている人(実際は2人)は、あなただよ。」と説明を聞いた事が
  あるが、それについては納得いかない。/ それにしても、彼らの服は立
  派すぎる。もっと、陳腐なものでも良いと思う。/ 女性のお腹が大きく
  なっていることも変だ。すでに、もう1つの生命があって、その命もこの
  儀式に参列している。人間の運命とか、宿命などを感じる。そして、くり
  返しいうけど、あのコスチュームが変だ。人間は、どうして着るものにこ
  だわるのか。私は、どうしても、彼らの緑と黒の服が気になる。もし、2
  人とも裸で立っていても自然に感じるだろう。それを、立派なコスチュー
  ムや指輪、靴、装飾品などが取り巻いていて、、、わからない。

  美術館で、近藤さんに出会った。

  突然、「福地さぁ〜ん。」と声をかけられた時はビックリした。彼女は、
  美術大学院生S君と一緒にいたけど、彼の話によると、ロンドンは治安が
  悪いので、飛び込みでクロッキーができる大学、美術学校はないそうだ。
  もっと、よく探せばあると思うけど、彼は現代アート専門なので、情報が
  少ないのだろう。

  次に、いくつかの発見を羅列する。

  1 5本の指
  手についている5本の指が、それぞれ独立した生き物のように表情・動き
  をもつ。付け根の部分からひねりを入れながら、隣の指とは無関係である
  かのように個性を発揮している。

  2 複数の人物(裸体)
  基調となる色をハッキリと変える。白、ピンク、黄土、明るい茶色など。
  また、後日、演劇を観たとき主役が「白く」見えることを発見した。これ
  は、強烈なスポットライトを浴びているからに過ぎないが、白は高貴な色
  だ。地肌が黒い人でもライトによって白い肌に変わる。

  3 乳 房
  ・ 乳房の位置は自由であるが、全体的に高い
  ・ 裸でいることは「特殊な状況」だから、それだけで劇的な場面を表す。
   とくに、片乳だけ出していると、その特殊性が際立つ。

  4 キューピッド
  キューピッドは架空の生物であり、頭と翼だけであっても違和感がない。
  見れば見るほど悪魔と同じである。化け物である。

  5 テンペラと油彩
  テンペラの画面は美しい。表面が美しい光沢で覆われている。それに対し
  て、油彩はいくら丁寧に仕上げても、がさがさしてしまう。マチエールが
  出てしまう。これは、その画材の性質なので仕方ない。 /ターナーの作
  品は、美しかった。油彩という画材の特徴を見事に引き出していた。

  6 眠たくなる絵画
  17、8世紀の作品の多くは、眠くなってしまう。それは、テンペラによ
  って完成された内容(技術)を油彩で返そうとしたから。あるいは、富豪
  に頼まれた肖像画を描いていたから。

  

ナショナル・ギャラリーについて
・ 開館時間 10.00-18.00(水曜日は21.00まで)
・ コレクションは年代別に、次の4つ(+地下)の建物に
 展示されている。
1 セインズベリー棟 (1260-1510年)
 ヴァン・アイク、ピエロ・デッラ・フランチェスカ、
 ボッティチェリ、ダヴィンチ、ベリーニ、ラファエル
2 西 棟      (1510-1600年)
 ティツィアーノ、ティントレット、ミケランジェロ
 ホルベイン、クラナハ、ブロンジノ、ヴェロネーゼ
3 北 棟      (1600-1700年)
 ルーベンス、ヴァン・ダイク、カラヴァッジオ、プーサン
 クロード、ヴェラスケス、レンブラント、フェルメール
4 東 棟      (1700-1900年)
 カナレット、ゲインズバラ、ターナー、コンスターブル
 モネ、ルノアール、ヴァン・ゴッホ、スラー
5 地下ギャラリー
 その他の作品

(左:私のスケッチブックから)

  全体的に収穫量が(質も)少なかったけど満足している。本当の楽しみ
  は(こうしたもの)と思う季節なのである。

    後半、頭を使わず、ゆっくり、たくさんみたからだろう。

    ===

  18.30 帰り道、絵を描くホームレスに出会った。
      一晩にして失われてしまう絵画に、日本の花火をみた。

      コンテ代が必要だろうと、ちょっとだけお金を差し上げた。
      安いものなら2本ぐらい買えるだろう。

  

  18.40 中華料理発見!!
      チャーハン、野菜炒め、鶏の黒胡椒煮で、3.5ポンド。
      毎日、ここに来たいと思う今日この頃。

  19.20 宿について、そのまま寝た。

続きをどうぞ!

私の日記 3月27日

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