このページは旅行記『ヨーロッパ北東部』 2004 jul -aug です |
私の日記
2004年7月27日(火) 快晴(エストニア)→ 曇り(ラトヴィア)
◎ 国境で分断された街『バルガ』から『バルカ』へ=======
10:45 タリン(バス)→ 14:20 バルガ
・ バルガ博物館
バルガ(エストニアから徒歩)→ バルカ(ラトヴィア)
18:20 バルカ(バス)→ 19:37 バルミエラ
バルミエラ泊
==================================7:00 起床
昨夜久しぶりに飲んだビールで良く寝た。
7:03 朝食
ブルーベリー・ジュースがトロッとしているのは片栗粉が入っているからだろうか。調理法を全く知らない私が推測するには、鍋の中に冷たい水とブルーベリーを入れ、沸騰する直前まで過熱した後、10分ほど火力を調節して温度を保ち、最後に片栗粉を入れて出来上がり。という単純な方法なんだけれど、全く違っていたら誰か教えて下さい。とにかく、美味しかったです。また、コーヒー豆はカフェインが強くなく、身体に優しい感じでした。
(上:おばさんの手料理です)ちょっと油っこいのが難点でしたが、茹でたパスタを炒め直していることろが味噌でした。
9:30 出動
これでタリンともお別れです。ちょっと寂しい気もしますが、楽しみにしていた旧市街が観光客に汚染されているのでは仕方ありません。汚染物質である私も立ち去らねばなりませぬ。世界遺産に指定されている観光地より、エストニアの空気を感じる地方都市で市民生活を観察したいです。ほー、だんだん自分の趣味が見えてきました。私は日常の生活、今生きているものに触れたい。観光目的のものはダメだ。ところで午前9時半は、お世話になった婦人の出勤時間で、私は彼女と一緒に部屋を出た。建物の外に出ると、彼女は「街の中心はあっちよ。」と言葉を残し、新市街の方へ歩いていった。私は昨日、インフォメーション・センターのお兄さんが教えてくれた市バス乗り場へ歩き出した。が、よくよく地図を見ると、目的地の中央バス乗り場(Central Bas Station)は1.5キロメートルぐらいの距離なので、私は方向を変え、バス乗り場へ向かって歩き始めた。何回か道に迷ったけれど、何とか辿り着いた。市バスに乗る楽しみはなかったが、タリン市民の生活をちょっとだけ感じることができた。
(上:横幅が狭いように感じる市電。たくさん走っていた。)バスターミナルかなあー、と思って入り込んだのは『市場』だった。時間があれば、じっくり撮影できたんだけれど、10時20分のバスに乗ろうと急いでいたので、できなかった。今思えば、行き先も時間も変更できるんだから、何を焦っていたんだろうね。馬鹿みたい。
(上:市場のおじさんにバス乗り場を英語で尋ねたら、「英語は喋らん!」と怒られた。/ 「ご免なさい。」と謝ってしまった私。この市場は大きな集合住宅街の中心にあったので、面白かったかもしれない。次のラトヴィアの首都リガでは、絶対に市場を撮影しよう。)
(上:とにかく1枚撮影しました。果物類が安くて、ブルーベリーは35円/kg、真っ赤なサクランボは50円/kgぐらいでした。)
(上:集合住宅から、いろいろな人が出てきて、もちろん市場にも行きます。)===
10:15 タリンの中央バスターミナル
はっきりと何処に行くか決めていない私は、構内にある大きなエストニア全土の地図を見た。観光ポイントは紹介されていたが、写真も決め手になる情報もないので、ラトヴィアとの国境の街、バルガへ行くことにした。もし、バルガの街に見どころがなければ、今日でエストニアとお別れになるかも知れない。とにかく、バスのチケットを買おう。TV画面に運行スケジュールを確認して、売り場窓口に並んだ。
現地通貨クローニを使い果たしていた私は、チケット売り場のすぐ隣にある両替窓口で10ユーロ両替えした。窓の向こう側にいる男は、黙って140クローニを渡した。手数料として、20クローニぐらい差し引かれていると思うけれど、観光客が溢れかえっている旧市街中央広場の手数料100クローニと比較すれば問題にならない。
<バスチケットに記載されていた主な事項>
・ 100クローニ(KRONI)(税金18%を含む)
・ プラットホーム番号:7
・ バスの番号:77
・ 座席番号:16
・ バスの出発時刻: 午前10時45分
・ バルガへの到着予定時刻:午後2時40分
・ バスターミナルの電話番号:06-213-96910:45 タリン発
初めに乗った座席は婦人の隣り合わせだったので、途中から、誰もいない最前列に移動した。購入したチケットには座席番号が書いてあるので、叱られることを覚悟していたが、指定席は始発だけのようだ。
(上:バス内でチケットを購入する乗客)私は先頭席に座って御機嫌になった。
正面から景色は素晴らしい。
(上:よく見かけるエストニアの地方都市の風景)
(上:これまた、よく見かけるエストニアの畑の風景)14:40 バルガ(VALGA)着
ここはバルガであって、バルカでない。何故こだわるかと言うと、バルガとバルカは総面積2km×4kmほどの隣接する小さな街なのに、それら中央に国境があるから。国境問題に疎い自分の復習のため、下にまとめておく。
・ バルガ(BALGA)エストニア領
・ バルカ(BALKA)ラトヴィア領
・ バルガ(BALGA)とバルカ(BALKA)の地図さて、私のバスが到着したのは、バルガの中心を通り過ぎた町外れの鉄道駅だった。周辺には何もなく、さびれちゃった感じは否めない。街の中心に国境をひいたから寂れちゃったのか、寂れているから歴史的遺物として国境を引いたのか知らないけれど、とにかく、せっかく駅まで来たので記念撮影しておこう。
負の歴史の遺産みたいな、あるいは、社会主義の残骸みたいなものを撮影できた気分になった。 それから、駅前にある地図を見て、街の中心部へ歩き始めたが、駅の横にある線路を跨ぐ陸橋が気になる。あそこに上って、どこまでも続く貨物列車を撮影したら面白いだろう。
(上:ほらね、やっぱり良い感じの写真が撮れました。)いたく満足していると、ヒューヒュー口笛の音がする。あたりを見回すと、赤いレンガの建物から制服の男が私を睨んで「写真はダメ!」と叫んでいる。これはちょっとヤバいかも。観光客の振りをして、写真は撮っていない振りをして、とにかく阿呆な振りをして、最高の笑みでご免なさいをして、それから両手で合掌して、軽く膝を曲げてお辞儀をして、とにかく、ゆっくりと、しかし、確実に彼から離れることが大切だ。
建物から見えないところまで来ると、古い蒸気機関車が展示してあった。「なんだもう。これは記念撮影用においてあるんだろうに! ぷんぷん。」 この機関車が活躍していた時代を見ると、1850年頃から1990年までだった。古いような気もするけれど、そこの線路の並んでいる貨物車両の方がもっと古いと思う。もっと言わせてもらえば、鉄道駅を撮影させない考えも古い。これで懲罰を受けようものなら、・・・数日で解放されるなら、旅の1ページになるけれど・・・
(上:薄っぺらなブリキでできていそうな蒸気機関車)制服の男にビビらされたので、街までの道のりは遠かった。観光ポイントなる教会も見逃した。メインストリートをすたこら歩き、とにかくツーリスト・インフォメーションで正しい情報が欲しかった。私の本によると、国境を超えるためには外国人専用の出入国審査所まで行かなければならないし、先ほど見た案内板にも、国際ゲート(INTERNATIONAL, currency exchange 24h)と書いてあった。
(上:鉄道駅から街の中心へ続くメインストリート)上空にかかる雲も私の気分を暗くしている一因だ。
時間にして5分ぐらい歩くと、スーパーマーケットを見つけてひと安心。「何か食べよう! 時間は午後3時を少し回ったところだ。」 商品は充実していたけれど、金がない。クローニは少し残っていたけれど、いつ何処で必要になるか分からないから、店員にクレジットカードが使えるか尋ねた。使える! この一言で、買い過ぎたくなる衝動を抑えるのに苦労した。
◎ 買い物かごに入れたもの
・ 生ハム 16.9
・ プロセスチーズ(レシートを確認したら打たれていなかった。ラッキー?)
・ パン 6.9
・ トマト(3つ) 12.9
・ 牛乳(200ml) 3.5
・ 洋梨ヨーグルト(ジュースと間違えた) 9.5
・ 合計 40クローニ(400円)
・ 会計をした時間は、午後3時22分
(上:私の買った食料が、レジカンターを流れていく。)次は、買ったらすぐに食べたい衝動を抑え、適当な場所を探す。やっと見つけたベンチは大通りの中央で、道ゆく人に見られてしまうけれど、他にない。スーパーの袋から、買ったばかりのものを出して食べる。ベンチの脇には、日本ですかっかり見られなくなった公共のゴミ箱があるので、小さな包装紙やちり紙をぽいぽいできるのも嬉しい。
(上:生ハムは死ぬほどに美味しかった。)美味しいものを腹一杯食べると元気が出る。地図で博物館を探し、訪問することにした。閉館時間は分からないけれど、この時間なら十分間に合うと思う。
16:00 バルガ博物館
・ 入館料25クローニ
・ 彼女の曲が流れていた
(上:博物館は新築オープンしたばかりで、地図の位置とは異なった)
(上:こんな感じで出迎えてもらっても困るけれど、、、)さて、博物館を見学した後は、ツーリストインフォメーションセンター。ここで、最新の出入国情報が得られるはずだ。センターには愛想の良いお兄さんがいて、ここから歩いて200メートルのことろに国境があることを教えてくれた。私のガイドブックには、外国人専用の出入国ポイントへ行くため1時間浪費するように書いてあるが、今は大丈夫。住民と同じ場所で国境を越えられる。もう少し付け加えると、バルガとバルカの国境は2つしかないけれど、互いに小さな街なのでそれでも十分なのだ。
◎ ラトヴィアのバス情報
インフォメーションセンターのお兄さんに、インターネットで『ツェーシス』までのバスを調べてもらったが、乗り継ぎにロスタイムが多いことが分かった。ツェーシス到着時間は午後9時10分。まだ明るい時間だとは思うけれど、旅に余裕を持たさせたいと思う。(左:インフォメーションセンターで書いてもらったメモ。下には、エストニアにようこそ!と書いてあるけれど、僕は、たった30時間の滞在で別れを告げようとしている。)
16:20 国境で分断された街『バルガ』から『バルカ』へ
別に難しいことはない。インフォメーションセンターから直進すること1分。国境が見えてきた。エストニアの出国は自由。住民も観光客も、勝手にゲートを通過すれば良い。私は審査官の方に近寄っていったが、手で「行け行け!」と合図された。 20歩(20分ではない)歩いたラトヴィア入国ゲートでは、逆に、「来い来い。」と合図された。管理事務所の中には女性審査官2人がいて、日本人パスポートを興味深く眺めまわし、スタンプを押すページを探してから、ページがロスしないよう丁寧に詰めて押してくれた。日常的に国境を通過しなければならない人々の気持ちが分かるようだった。
(上:ラトヴィア側から見た国境。撮影禁止か否かは確認していない。もしも可能なら、ラトヴィアの入国審査官を撮影したかった。私が審査してもらった女性は建物の中いた2人だったが、通過する車のために外に立っている女性がとても美しかったからだ。きちんとした制服が似合う、身長170cmの新人だった。彼女に逢いたくて入国する人はいないと思うが、出入りしたくなるほどの美人だった。)さて、話をラトヴィアの国境まで戻すと、先ほどから降っていた小雨が強くなってきたので、私は審査所で雨宿りをさせてもらった(美女に見とれていたからではない)。その間、自転車で出入国する青年や自動車で通過する人々を見た。緊張感はない。楽しいことでもない。審査する側もされる側も、決めらた手続きを淡々と行っている。一見、無意味なように感じるけれど、人間が集団生活を営むためには必要なのだろう。(出入国手続きが必要かどうかは別にして、)2つの国をつくってしまったのだから仕方ない。個人が何らかの理由や自由意志で、どちらかの国に所属しているのだから無意味な手続きも必要なのだろう。しかし、無意味なことをくり返してはいけない。くり返しはダメだ。大切な身分証明書であるパスポートが、わずか1ヶ月で同じスタンプで塗れるのはダメだ。この街は、繰り返しの弊害を警告しているように感じる。何か取り返しのつかない大きなものが衰退してまう可能性を、この街は教えている。例えば、自由と不確定さの意味。
16:50 バルカのバスステーション
国境から徒歩2分。
何もない。コーヒーを飲むところもない。バルガより寂しい。切符売り場らしき建物に入り、チケットを購入しようとする。しかし、ユーロもクローニも使えない。ラトヴィアの通貨が必要だ。窓口の女性は、自分の時計を見てから困った表情をして、「料金はたったの0.8ラティ(200円)よ。 だけど、ユーロもクローニもクレジット・カードも使えないから、銀行で両替えしてきなさい。でも、午後5時までしか開いていないから、あと数分。運が良ければ両替えしてくれると思うわ。銀行は、あそこの赤い建物よ。」
(上:バルカのバスステーションで)16:58 バスステーション前にある銀行で両替
現金100ユーロは、64.81ラテになった。だから、日本円に換算するときは、2倍してちょっと足せば良い。
◎ 精算書に書いてあった内容
・ 両替率は、0.6511
・ 手数料は、0.3(10ユーロにつき?)
・ 時間は、午後4時58分
17:10 極めて危険な状態でトイレに直行
昼に食べた洋梨ヨーグルトと牛乳に負けないよう、頑張ってトイレに走った。入り口で0.1ラテを請求されたが、金を出している余裕はないので、「ちょっと待って」と個室に直行した。突入したところが男性用で助かった。
18:20 バルカ発
・ 0.819:37 ヴァルミエラ着
駅前のヴァルミエラ市内地図を見て、宿泊施設らしきところを発見。デジカメで地図を撮影し、それを見ながら探してみることにした。乗り継ぎバスを1時間待っているより、歩いているほうが面白い。
(上:川で遊ぶ子どもを発見)今日はヴァルミエラに宿泊するか、それとも、ツェーシスまで移動するか決めていないけれど、川で水浴びをする少年を見て、私の心はここで泊まる覚悟を決めていたようだ。/ 街を歩いているうちにバスが出発してしまい、3星ホテルに宿泊することになった。
20:50 街で1番立派なホテルにチェックイン
値段は気にしないで飛び込んだら大正解。ここでは2泊することになりました。
(上:私の部屋)21:23
ビールを飲ん大変満足している。ここにもう1泊しようと思う。安い旨い(たぶん)綺麗で文句無し。これまで1度も着替えなかった服も洗ったし、少年が泳ぐ川と立派な木立がある。北から3本の道、南からは1本の道が交差しているんだから、歴史がない訳がない。なくとも発見してやる、の心意気が大切だと思う。
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(上:午後9時半を過ぎたバルミエラの街のホテルレストランで)通りがかりのラトビィアの女性3人(推定年齢23)が、手を上げて声を掛けた。私も、はあ〜い、と応えた。こんなおじさんでも街で1番(?)の3つ星ホテルのテラスでビールを飲みながらマックを叩いていれば格好良いんだろうな。彼女達も、それほど若くないので声を掛けたあとはちょっと振り向いただけで立ち去った。美しいね。
22:08 料金清算
・ チキンの照焼きオレンジソース味: 2.25(500円)
・ コーヒー: 0.35(90円)
・ ビール: 0.6(150円)
・ 合計: 3.2(700円)
・ パルディエス(PALDIES!): ありがとう
(上:本日の夕食)消灯時間: 不明
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