このページは旅行記『ヨーロッパ北東部』 2004 jul -aug です

トラカイ城(ヴィリニュス、リトアニア)
2004年8月4日(水)快晴

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◎ トラカイ村
 森と湖に囲まれた14世紀のトラカイ城を持つ。近年復元されたものなので、日本人好みの古い趣きは期待できないけれど、美しく深い自然に囲まれた城は、人間の限り無い欲望をきわ出させてくれるだろう。

9.15 トラカイ村着
 首都ヴィリニュスから、わずか45分の旅だった。 そして、
バスターミナルから『トラカイ城』まで2Km、のんびり歩いて30分。

(上:トゥラカイ村のバスターミナル裏は、小さなマーケットになっていた。)


(上:地元の買い物客)

 市場で、朝食代わりのサクランボを買った。
 これを摘みながら歩けば、さらに湖畔の散歩が楽しくなるだろう。


(上:何gでいくらだったか忘れてしまったが、適当な量を頂いた。)

 しばらく歩くと、左手にトトリシュキュウ湖が見えた。村の観光案配板で確認すると、もちろんトラカイ城は湖に囲まれているが、城に至る道も左右2つの湖に挟まれている。私は2股に分かれた道から、湖に近い左を選択し、さらに、散策道らしき未舗装の道を歩いた。


(上:風が、正装した馬に乗る若い騎士のように駆け抜けていった。)


(上:底に水が溜まった廃舟と倒木が、古い弦楽器のようなハーモニーを奏でていた。)


(上:そして、今ここで生きて生活している人と自然がいる。これが1番好き。)


(上:トラカイ城が全容を現した。)

トラカイ城
 「これとっても素敵な橋ね!」 若いリトアニアの女性が歓声を上げながら跳ね橋を渡る。私も、中央が盛り上がった木製の橋を踏みしめながら歩き、鉄製の城門をくぐった。狭い門から、中庭が広がって見えた。中央を突っ切り、正面の城まで歩いていきたいところだけれど、まず、入場券を買わなければならない。10分ほど並んで、5Ltのチケットを買った。


(上:中庭の中央にある首きり処刑台。)


(上:トゥラカイ城内部には3層の回廊があり、各階の小部屋は展示室になっている。)


(上:これこそ僕がイメージしたいと望んでいた中世ヨーロッパ戦国時代の図。)


(上:武器と兜。僕は基本的に武器が嫌いで、見ているだけで気分が悪くなる。)


(上:殺された動物達の剥製。こういうのも大嫌いだけど、こんな時代もあったのだろう。)


(上:何に使うものか忘れてしまったが、当時の生活を偲ばせてくれる。)


(上:城内の展望会から湖を眺める。)


(上:彼が首を挟む前に、私が手本を示してあげました。)

 以上で城内散策終了。さて、ここで率直な感想を述べよう。城はつまらなかった。自然は美しく、人の心は醜い。それだけが際立った。人はどうして人殺しをするのだろう。どうして武器を作るのだろう。どうして自分の家族を守るために人殺しの準備をするのだろう。際限のない欲望と言い訳が渦巻いている。トラカイ城は自然と美しい共存をしているが、かつては戦いの砦として、今は金儲けの観光地になっている。とくに、トイレで0.5Lt払ったときは、あまりのケチ臭さに吐き気がした。トイレ前で、眼光鋭く観光客を見張って金を請求するぐらいなら、入場料金を倍にすれば良い。金が必要なら必要なんだから、もっと美しい方法で集めればいい。どうして、トイレの前で小銭を求めるのだ。夢も希望もない。中世の守銭奴を再現しているかのようだ。観光地として割り切るなら、もっと他に方法があるはずだ。悲しい。私は人間の賎しさを感じ、自らの行為を振り返り、自らの欲望に満ちあふれた行動を反省した。

 下の写真だって、私が「あっ、ウナギだ。写真を撮らせて!」と頼んだ途端、ウナギはささっと片付けられた。彼は、私が歩み寄ってくるときは「買ってくれ! 買ってくれ!」とニコニコ顔だったのに・・・この野郎!・・・と、その豹変ぶりに腹を立てている自分が悲しかった。


(上:この湖で捕れたウナギだと思う。薫製だったかも知れない。)


(上:白鳥と黒鳥。)

11:30 昼食の時間
 湖が見渡せる小さなオープン・レストランに入った。魚の酢漬けと『キビナイ』と呼ばれる民族料理を注文した。魚はそこそこに美味しかったけれど、キビナイの中に入っている羊肉は相当痛んでいた。私は危険を察知して半分以上残したが、周りの観光客は、珍しい民族料理なので顔をしかめながら全部食べていた。みんな羊肉の味は知っているはずだから、無理することないのに・・・


(上:左端のパイ皮料理が『キビナイ』。誰もが注文し、思い出つくりとして食べている。)

 それから、半島の城趾へ向かった。長居するつもりはない。15分あれば見学できるだろう。


(上:木造船をつくる職人さんがいた。この出会いは嬉しい。)


 半島の城趾は修復中だった。金はかかると思うけれど、金は人々の夢と引き換えに回収して欲しいと切望する。淫らな欲望は、自然と人の心をダメにするから・・・僕は、自然と人間は共存できると信じている。人間は自然そのものだから、残酷なこともするけれど、それを打ち消すだけの美しさも持ち合わせているはずだ。強欲を捨て、控えめに生きていたい。

 とにかく、頑張って下さい。

続きをどうぞ!

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