このページは『がんばろう日本! ─ 東日本大震災から5ヵ月後の東北をめぐる旅 ─2011 july. 28 - aug. 20  です。

福島市の放射線量、
原子力発電の廃絶を!

 私は福島県で放射線量を測定しながら走行し、次のビデオ2本をHPで公開しました。
(1) 福島第1原発の北20kmで撮影したもの(12分)
(2) 飯館村付近を撮影したもの(約25分)

 放射線量を測定した当初の目的は、2011年3月に爆発した福島第1原子力発電所から放出された放射線量を確かめることでした。放射線量に限らず、政府が発表する原子力関係のデータは2転3転するものばかりで信頼できなかったからです。私には、それを測定するチャンスと公開する手段があるので、このような活動をするのは人としてあたり前のことだからです。


松川浦のそば屋さんで見た地方紙
(2011年8月17日、福島県相馬市)

 上の写真は、福島県相馬市の松川浦にある1軒の『そば屋』さんで見た地方新聞『福島民友』の一部です。その中から、主要な地点で『定点観測』した線量を拾い出し、高い場所から順に並べてみましょう。

観測地点 放射線量
マイクロ・シーベルト/時
飯 館(ビデオ2)  2.43〜2.63

高い

低い
福 島  1.13〜1.18
郡 山  0.95〜1.07
二本松  0.94〜1.04
伊 達  0.66〜0.82
本 宮  0.64〜0.70
白 河  0.44〜0.46
南相馬(ビデオ1)  0.43〜0.48
田 村  0.16〜0.19
いわき  0.17〜0.19
会津若松  0.13〜0.15
南会津  0.07〜0.08
私の部屋(名古屋)  0.05〜0.18

 私は南相馬飯館で測定しましたが、この新聞とほぼ同じ値でした。つまり、この地方紙はとても信頼がおけると情報を掲載していました。余談ですが、店のご主人から、住民が撮影された3月11日の大津波のビデオを3本見せてもらいました。現地で拝見すると、より一層切ない気持ちになりました。

===

福島市の放射線量
 放射線問題で、私が最も伝えなければいけないことは、福島市の放射線量です。もう一度上の表を見てください。福島県福島市は、毎時1.13〜1.18マイクロ・シーベルトです。この年間被曝量を単純計算すると、9.9〜10.3ミリ・シーベルトになります。この値は、自然界の放射線量(2.4ミリ・シーベルト)の4倍、20km警戒区域(福島県南相馬市)の2倍以上、チェルノブイリ原発事故の強制移住レベル(5ミリ・シーベルト、要再確認)の2倍です。

 私は、大変危険な数値だと思います。ここで、「思う」という表現しかできないのは、本当にどれだけ危険なのか誰も証明できないからです。何10年、何100年も経てば証明できるかも知れませんが、チェルノブイリの例では、白血病や乳癌の増加と原発事故の関連性を認めないそうですから、日本政府も同じような対応を取ることが予想されます。広島・長崎の原爆についても同じような問題が未解決のままです。今回の爆発事故についても、世界の歴史に刻まれる最悪レベル7であるにも関わらず、日本政府は事故の重大性を過小評価しようとしていただけでなく、隠ぺいすることに終始していました。半年たった今も『新しい調査でわかりました!』という形で、重大な事実が少しずつ公表され、なし崩し的に扱おうとする姿勢が見え見えです。(時間が経過すると、重大な事実でも小さく感じるものです)

 放射線による人体の影響は、特定することが難しい問題です。世界が認めていることは、放射線によって甲状腺がん、乳がん、白血病、心臓の血管に障害が出ることです。また、空気中の放射線を浴びるより、汚染された粒子や汚染された水や食物を体内に取込む『内部被曝』の方が、何10倍以上も危険であるといわれています。どうか、放射線についてよく勉強し、正しい知識を身につけ、信頼できる新聞の情報や数値を参考にしてください。

 福島市内のみなさん! 私はとても心配しています。今、とても危険な数値を示しています。私の願いはみなさんの幸せです。健康であることだけが幸せであるとは限りませんが、『知らぬが仏』ではすまないのが放射線の被曝です。これは私の推測ですが、政府が福島市をとりたてて問題にしないようにしていることには、2つの理由があります。1つは高速道路、もう1つは新幹線です。現在、この2つは毎時1マイクロ・シーベルト以上の地域を通過しています。つまり、放射性物質を拡散させる原因になっています。しかし、これらをストップさせることは原子力発電を完全にストップさせるだけ印象を国民に与える、と政府が危機感を抱いているのでしょう。

===

原子力発電は、日本で1番金もうけができる
 今の日本で、1番金もうけができるは原子力発電に関するものです。かつては、鉄道族、道路族といわれる人々がいましたが、今は原子力発電族です。それは10段階ほどのピラミッド構造で、その頂点付近に位置する人々は、口先だけで莫大な金を得ます。その利権を持つ人々は、あらゆる手段をつかって利権構造を守ろうとしています。

 もし、政府が国民の健康を第1に考えるなら、年間5ミリ・シーベルトで避難させるべきでしょう。新幹線と高速道路も止めるべきです。20kmの警戒区域より高いことは明らかです。整合性のある、科学的な政治を行うべきですが、それができないのが日本政府の実態です。今、一番大切なのは、先の見えない放射線問題の収束であり、エネルギー問題ではありません。原子力発電所を安全に運転することではなく、停止させることです。

===

原子力発電所は、高レベル放射性廃棄物生産工場である
 私は青森県六ヶ所村で、原子力発電は人類が利用できない高レベル放射性廃棄物をつくり続けていること、日本国はその廃棄物を廃棄する場所が決まっていないことを教えてもらいました。アメリカは自国で廃棄する予定でしたが、最近になって他国に廃棄することにしました。廃棄候補地は世界に数カ所しかありませんが、まだ実際に廃棄していません。廃棄方法が確立されていないのです。今回、福島で爆発したものの1つは『使用済み核燃料』、つまり、高レベル放射性ゴミです。原子力発電所は、高レベル放射性ゴミ生産工場です。誰も利用できないゴミを子どもたちに押しつけるシステムなのです。とんでもないゴミを生産するからこそ莫大な利益を一部の人々にもたらす、とも言えるのです。

===

原子力発電廃絶を!
 次世代に『高レベル放射性廃棄物』押しつけるという事実、これを知れば、原子力発電廃絶は必然です。エネルギーが必要だから何をしても良い、というものではありません。私達は心をもった人間です。明らかに子孫が困るようなことをしてはいけません。原子力爆弾と原子力発電は、人類がコントロールできない高レベル放射性物質をつくる、という点で同じです。人類を含むすべての生物の遺伝子を破壊し、生命を奪う危険性があるという点で同じです。

 どうかみなさん、目覚めてください! 声に出して叫んでください。近い将来、必ず原子力発電は廃絶しますが、早ければ早いほど、地球環境は破壊されずにすみます。儲かるからといって、隣国に売ることもいけません。B氏は『福島原発は古いからダメだったので、次世代の原子力発電の導入すればよい』と提唱していますが、彼は発電所が高レベル廃棄物をつくり続けていることには触れていません。まるで、食物連鎖のピラミッドの頂点にいる動物のようですが、食欲を満たせば静かになる野生動物とは大きく異なります。欲望に際限がないからです。

 私達はとても弱い庶民です。手を取り合わなければ、死ぬまで吸い取られる立場です。それを強く肝にめいじ、原子量発電廃絶を訴えましょう!

2011年9月12日
福地孝宏

↑ このページのトップへ



→ home (c) 2011 fukuchi takahiro