クロッキー F 美術館

第6章 美術モデルのためのお話

自然なポーズを輝かせる

1 無限にある自然なポーズ
 日常生活の動作、普段意識していない動きを『ポーズ』に変えましょう。これに成功すれば、ポーズの数は無限に増えます。頭で難しいポーズを考えるより、普段の何気ない動作を1つずつ丁寧に取り出し、それを魅せるレベルまで高めてみましょう。

2 美しさを意識する
 自然な動作そのものは、思ったより美しいももではありまん。その原因は動作そのものではなく、他人の目を意識していないことにあります。モデルであるあなたは自分の経験を通して、他人に見られることによって美しくなっていく自分自身を実感しているはずです。『美』はとても微妙な世界に息づくものです。どんなに整った美しい顔を持っている人でも、心が醜ければそれが表情に現れてしまうものです。どんなにありふれた動作でも、あなたが強く美しく見せようとすれば、、それは立派なポーズになります。全ては意識の問題です。

3 日常生活を輝かせる
 の考えを日常生活に持ち込み、自分の動作を洗練させましょう。鏡の前だけでなく、布団を直す時、窓を開ける時、階段を降りる時など、普段から美しい動作を心掛けましょう。姿勢が良くなり、あなたは生活に潤いや暖かさを感じるようになるでしょう。

4 筋肉を弛緩させる
 自然なポーズの美しさは、弛緩した筋肉にあります。知識として理解したいことは『筋肉は伸びない、緊張(ちぢむ)の反対は弛緩(ゆるむ)である」ことです。実際にポーズをする時は、意識的に筋肉をリラックスさせましょう。これは関節を自由に動かし、筋肉を緊張させてつくる躍動感あるポーズの対極に位置します。緊張させるポーズについては、別べージ『躍動感あるポーズのつくり方』をご覧下さい。

5 モデル台に立ったら
 次に、モデル台にたった時の例を紹介します。

日常生活に見られるポーズの例
(1) 朝、ベッドの中で背伸びをする
(2) ごろんと寝返りをうつ
(3) 布団をはねのけて起き上がる
(4) 目玉焼きを作る
(5) 冷蔵庫の一番下から牛乳パックを取り出す
(6) 歯を磨いていたら、ドアがチャイムが鳴った
(7) 座って編み物をする
(8) 転げ落ちた毛糸玉を拾う
(9) 寝そべってテレビを見る
(10) 猫を抱く

6 場面を細かく設定する
 動作は細かく決めればきめるほど、簡単に魅力的なポーズをとることができます。自分らしい場面や状況を考えることは楽しいことですし、作家は身近なポーズに新鮮な想像力を刺激されることでしょう。例えば、猫を抱いているポーズは、次のように細かく設定します。

猫を抱いている場面
(1) 立ったまま、ヒトの赤ちゃんを抱くように頭と身体を包む
(2) 産まれたばかりの子猫を両手に包み、目の高さまで持ち上げる
(3) 脚を組んで椅子に座り、膝の上で眠る猫を両手で撫でる
(4) 並んで横になっている猫を抱き寄せる
(5) 抱いていた猫とあなたがが、玄関の音に反応して同時に首を動かした瞬間

7 参考ページ
 ・ 躍動感あるポーズのつくり方
 ・ 芝居を演じる
 ・ クロッキー・ポーズの基本

2010年1月16日公開

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