クロッキー F 美術館

第6章 美術モデルのためのお話

クロッキー・ポーズの基本

1 たくさんのポーズが必要です
 何時間も同じポーズを続ける『固定ポーズ』とは違い、クロッキーではたくさんのポーズが必要です。そのためには、ある程度の計画が必要です。行き当たりばったりでは同じポーズを繰り返し、自分でも「しまった!」と思うことになります。

2 10ポーズを40ポーズにする方法
 誰にも得意なポーズの1つや2つはありますが、それを10個に増やします。そして、モデル台の上に立ったら、正面を固定せずに、4つの違う方向を正面とします。ぐるっと回るように正面を変えれば、単純計算で10ポーズ×4=40ポーズになります。本当に美しいポーズはどこから見ても背中から見ても美しいものです。作家にとって、同じポーズを違う角度から描くのは興味深く、楽しいことです。

 実際にこの方法を使う時は、基本となる構造を崩さないように変化をつけます。重心を変えたり、腕や脚を逆に捻ったりします。完全な同一ポーズは作家にとっては勉強になりますが、同じ筋肉を使っているあなたはとても疲れ、テンションが下がります。

3 立ちポーズ、座りポーズ、寝ポーズという順
 休息毎に大きくポーズの形態を変える方法は、よく使われます。例えば、立ちポーズ→(休息)→座りポーズ→(休息)→立ちポーズ→(休息)→寝ポーズ、のようにします。

4 椅子を使う
 椅子を使うと、体重をかけられる場所の高さが2つ以上になります。1つは床、1つは椅子です。椅子は座るだけではく、片脚をかけたり、背もたれを使ったり、頭を床にして脚を椅子かけたりするなど、いろいろな方法で使えます。このとき大切なのは、どこに、どれだけに体重がかかっているか感じることです。うっかりすると、数分間持たないよほど大きな体重をかけてしまうことがあるからです。なお、『体重がかかる場所』は複数でも、『体の重心』は常に1つです。

5 小道具を使う
 小道具を使えば、重心を変化させたり、イメージを膨らませたりすることができます。これらを使う順序を計画的にすれば、同じポーズが重なる心配はありません。

重心を変化させる道具
(1) 椅子(いろいろな大きさや形がある)
(2) 台や机
(3) 棒、杖、傘
(4) ロープ

イメージを膨らませる道具
(5) 毛糸のひも
(6) 手鏡(タイマー)、ヘアピンやゴム
(7) モデル着

6 美術モデルから見た『ポーズ』関するページ
 ・ 躍動感あるポーズのつくり方
 ・ 自然なポーズを輝かせる
 ・ 芝居を演じる
 ・ クロッキー・ポーズを研究する
 ・ 固定とクロッキー、ポーズの本質的な違い
 ・ 固定ポーズをする時の注意

2010年1月14日公開

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