クロッキー F 美術館

第5章 クロッキー心理学
モデルと作家集団がつくるハーモニー

1 現場の雰囲気は、作品に反映する
 たくさんの人と一緒に描く時、その現場の空気感が作品に反映されることは誰でも体験しています。集中した雰囲気の時は、そこにいる全員が満足するクロッキーを描き、その逆に、「何か変だな」と思う会では全員が消化不良になっているものです。良いクロッキーをするためには、良い会場(雰囲気)を作ることが不可欠です。

右図:クロッキー作品群2000 Feb 27から
 10年前に書いた
この日のnoteを読んで欲しいです!

2 多様な作家が生み出すハーモニー
 いろいろな見方や描き方をする作家が集ると、豊かな時空間が生まれます。それは1人ではつくり出せない大きな波です。盛り上がるクロッキー会では、それをテンションの起伏として時間の中に感じます。常に完璧100%、と感じるは自分だけの世界に閉じこもっている証拠なので気をつけましょう。みんなで描くときは会場の波を感じるべきです。良い波をつくり、それに上手く乗ってみましょう。自分1人では作ることができない大きな波を求めることが、大勢でクロッキーをする場合の真価です。

3 モデルは鉛筆の音で感じる
 モデルは、鉛筆が走る音を聞くと増々やる気が出るそうです。モデル台の上で身体を固定している時、描き手よりも鋭敏に会場の雰囲気、自分のポーズを感じるそうです。自信がないポーズで、しかも鉛筆の音が小さくなった時、「あ、しまった」と思うそうです。クロッキーは、ポーズが決まると同時に描くのが基本です。ポーズが決まってから動き回ると、モデルのテンションが一気に下がります。描き手全員が動き回り、良い角度を探し求めている様子を想像して下さい。私はぞっとします。

4 休息時間を返上する
 どんどん次のポーズが湧き出てくるようなら、決められた時間だからといって中断する必要はありません。理想的なクロッキー会は、泉から湧き出る水を頂くように描き、流れが止まったら休息します。創造の泉はデリケートで、良い流れのときに塞き止められると、再び溢れ出るまで大変な労力を必要とします。

5 耐え忍ぶ時間もある
 うまくいかない時、その場にじっと耐え、それなりの結果を出すようにしましょう。あるいは、これまでの自分の表現とは違うものを求めて実験しましょう。試練は自分をステップアップさせるためのチャンスです。結果がすぐに出なくても、自分を信じて頑張りましょう。投げ出すことなく、全体として成長していくように努力しましょう。じたばたするのではなく、低いテンションの時にベストを尽す方法を模索してみましょう。低さを感じることは面白くありませんが、高さを感じることと同じように重要です。

6 比較するページ
 モデルと1対1で描く場合は別ページ『1対1の共同作業』に記しました。

2010年2月17日公開

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