クロッキー F 美術館

クロッキーの手順2009sep

 このページは、2009年9月22日現在の私が使っていた一般的な手順です。画材はカステルの鉛筆(HB〜8B)、平鉛筆(HB、3B、5B)、三菱の色鉛筆、それに、A3サイズのコピー用紙です。以下の手法には、ずっと古くから変わらないものも含みますが、私の感覚としては数カ月以内の手順を合わせ、平均化したものです。

ステップ1 テーマを決定する
(1) モデルを観る

(2) 描きたい、という衝動を自分の内部に発生させる
 ※ この衝動は完全な言葉である必要はない
 ※ 衝動が生まれない場合、描きはじめてはいけない
 ※ これはもっとも重要な作業であり、明確で強い衝動であればあるほど、以降の作業は簡潔で迷いがないものになる。

(3) その衝動から、完成作品のテーマを決定する
 ※ テーマ(主題)は言葉にしなくてもよい
 ※ 衝動が発生してすぐに描きはじめると、単なるなぐり書きになるので注意する
 ※ ここまでの平均所要時間は2〜3秒

右:2009年9月2日のクロッキーFで描いた1番最初のポーズ。画面右足に体重をかけて立っている様子を単純な直線で描いてから、モデルのふくよかな身体を自由に感じ、次に緊張している大きな筋肉を描いた。画面左足の大腿筋を擦ったのは失敗だ(1分ポーズ)。

ステップ2 初めの衝動(印象)を描く
(1) いったんテーマ(主題)を忘れる
(2) 初めに感じた衝動を、手を動かす筋肉の動きに変型させる
(3) 筋肉が満足するまで手を動かす(=描く)
 ※ 画面を一切見ない
 ※ まばたきせずに、モデルを観る
 ※ 手や腕や指の動きと自分の欲望と直結させる

右:直立している女性モデルの顔面および背中から伸びる線は、私が実際に感じたものを自分の手の筋肉に連動させて描いたものである。大脳はそれをコントロールしているが、基本は脊髄による反射である(2009年9月6日のクロッキーから)

ステップ3 画面の確認
(1) 画面がどうなっているか確認する
(2) めちゃくちゃになっているようなら、つり合うようなものを描く

右:HB、3Bの鉛筆を使って描いた後、場面のバランスをとるために5Bの芯鉛筆で太く濃い線を入れた。画面右部分の髪も同じように重さのバランスをとるために入れた。これらは冷静に計算された感覚的作業である(2009年8月3日のクロッキーから)

ステップ4 テーマを描く
(1) 画面とモデルを見比べる
(2) 初めの衝動(印象)を効果的に見せるために必要なものを探す
(3) 描くべきものを決める
(4) 再び、自分の中に欲求を発生させる
(5) それを筋肉の動かしたいという欲望へ変型させる
(6) できるだけ画面を見ないようにして手を動かす(描く)

右:2009年9月21日の初めての立ちポーズ。私は何か大切なものを抱いているように感じたが、あえてそれを意識することなく描き進めた。後から話を聞くと、モデル彩海は未来の自分の子どもを想ってしていたそうだ。

2010年1月29日公開

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