このページは、1年理科『化学』1999/takaの授業記録 です

  溶解度を測る  
            
 1999 09 16(木)

 
  自宅から『食塩』と『砂糖』を
  持参させた。一定量の水にどれ
  だけ溶けるか測定するのである

(左:生徒の持ってきた塩)
それぞれ、班で100gず
つもって来るよう指示した
実際70%の班が持参した
意欲はまずまず

    <はじめに思うこと>
    溶解度は難しい

    何しろ、前時の『濃度』でさえ8割程度なのだ。水溶液の『濃い』
    『薄い』はイメージできても具体的な計算(小学校6年)のイメー
    ジはできない(答えを出すだけ)

    だから、物質の『溶けやすい』『溶け難い』というイメージを、計
    算イメージまで膨らませたい。制限時間は3時間としよう。できる
    といいな


  <授業の流れ>
  1 授業プリントを見て『今日何をやるか』つかむ

   ※ 私自身、どこまでできるか分からない。
     とりあえず実験をする。その方法さえ手探りで、今考えている内
     容は、水を10、20、50、100、200gと変化させ、そこに塩を
     溶けるだけ溶かすというということ

   
  2 溶解度についてまとめる
   100gの水に溶かすことができる物質の限界(g)
     ※ 教科書は「一定の量の水に溶ける物質の限度の量を、その
      物質の溶解度という。」とあるが、授業では『一定の量』
        を100gとした。

  3 実験法方法を知る
   ・ それは温度にとって変化するが、本時は変化させない
   ※ 教科書では、まず水をあたため、次に冷やしている。目的は、
    『溶解度が温度によって変化する』のを確かめること。しかし、
    私は性急であると考え、目的を『一定量の水に溶ける食塩の量に
    は限界がある』に絞った。
     また、教科書では水20gで実験を行い、その結果を5倍する
    ことで溶解度曲線を説明させようとしているが、私は5倍する過
    程に無理があると考える。勿論、水100gで実験すれば良いが、
    その場合、食塩が40g近く必要であり無駄が多い。そこで、私
    上記のように
水を10、20、50、100、200gと変化させるこ
    とで水と食塩の定量関係をスムーズに理解できるだろうと考えた

   ・ 変えるのは、水(溶媒)の量とする
   ・ 班毎に測定者(1人1回以上)を決める
    <授業の実際>
    それぞれのg毎に手を挙げさせ確認する。つまり、
    「水10gで測る人?」
    「水20gで測る人?」
    「水50gで測る人?」のように問い掛ける。すると、手を挙げ
    ない班があるので、そこで実験方法を再確認できる。また、人数
    が足らない班も確認できる。

  4 目標値を知る
   私の方から、測定結果について次のように知らせた
   水10g、、、食塩3〜4g
   水20g、、、食塩6〜8g
   水50g、、、食塩15〜20g
   ここまで、順に板書していくと先に述べた『
水と食塩の定量関係
   を簡単に類推できる。「水100gの時は?」と発問すれば「30
   〜40g」、「水200gは?」と発問すれば「60〜80g」と
   教室全体が答える

  5 実験する
   1) メスシリンダーで水を測りとる
     10、20、30、50、100、200
   2) それをビーカーに入れる
    → 生徒の中には「メスシリンダーとビーカーの目盛りが違う」
     と疑問を持つ者もいるが、勿論、メスシリンダーの方が正しい

   3) 次に、電子てんびんで測りとった食塩をビーカーに入れかきま
     ぜる。

 (上:食塩を測る)
  ただし、上の写真は生徒が持参した
  黒砂糖。また、
1番始めの量は目標
  値の『最小値』

 (上:食塩を溶かす)
  簡単な操作であるが、全部溶け
  たかどうか確かめながら行うの
  は楽しそうだ

 
  4) 3)の操作を繰り返し、解けなくなる限界の量を探す
    次に入れる食塩の量は適当であるが、ほとんどの生徒は問題無く
    実験していた。どうしても分からない班は、個別に指導

  
  5) 得られた『溶解度』を黒板に発表する (下図)
   
                (上:生徒氏名は白線で消した)

  6) 班の結果をプリントにまとめる 
   
         (上:Aさんのプリント)


  <授業を終えて>
  ・ 私自身弱気になって、メスシリンダーと電子てんびんの使い方
   が分かればいいと思った。しかし、生徒はそれ以上の経験をした
   ようだ。つまり、
  ・ 少なくとも「一定量の水に溶ける量には限界がある」ことを体
   験した。水をメスシリンダーで測って、そこに重さを測った物質
   を少しずつ入れてカラカラカラ混ぜて、、、
  ・ この時、溶けたかどうかを「手に持ったり」「黒い机の上に置
   いたり」して確かめていた
  ・ 最終的に何らかの結果を出した生徒は、始めのクラスで20人
   /37人、2クラス目で28/37人だった。(後のクラスの方
   が良いのは、私の指示が的確になったからである)

  ・ こうして得られた結果は、次時、電卓を使って『濃度』として
   計算させようと思う。結果は、同じ物質なら一定であるはずだ。
   
(食塩の場合)
    水100gで食塩35.8gだから   (水の温度:20度C)
    濃度= 食塩 ÷(全体)
      = 35.8 ÷(100+35.8)
      = 26.4%
    となり、水の量に関わらず濃度は26.4%となる

        水10gで食塩3.58g(26.4%)
        水20gで食塩7.16g(26.4%)

  (余談)食卓塩(乾燥剤『塩化マグネシウム』を1%含有)を持っ
      て来た生徒は、水溶液が真っ白になって驚いていた
      (左:食卓塩の水溶液)

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質量パーセント濃度

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溶解度 2



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(C) 1999 Fukuchi Takahiro