このページは、1年理科『化学』1999/takaの授業記録 です

  実験5 液体窒素による状態変化
            
 1999 10 27(水)

 

  本時は演示実験

  液体窒素を10リットル1
  万円で購入。凍らせるもの
  は生徒に持参させた

(右:液体窒素のボンベ)
教卓の下から取り出すと
その容姿に「おー」と歓
声が上がる




  この実験は年度当初より楽しみにしていた。昨年のアンケートでも
  「印象に残った実験」2位を獲得した。また、対象学年は1年生
(ア
  
ンケート調査時のカリキュラムは2年生)だが、授業後、全校生徒に希望
  者を募り『公開実験』を行った

  <授業の流れ>
  1 いろいろな物を凍らせる
 <超低温との出合い>
  <方 法>液体窒素をビーカーに入れ、いろいろな物を入れる
    1 テニスボール
    2 花
    3 バナナで釘を打つ
    4 生徒が持参したもの
    5 金魚(生徒が持参した場合)
  <注 意>
   1 酸欠(教室中窒素)で死なないよう窓を空ける
   2 生物を凍らす場合、安易な実験に終わらないよう生命の尊厳
    につて話す

  <ポイント> 
   1 テニスボールは、ゆっくり冷やすと潰れてしまう。そこで、
    300mlビーカーに液体窒素を120ml入れ、大型ピンセット
    で掴み一気に冷やす。勿論、ドボンとやると液体窒素が溢れる。
    そして、ボールの温度が冷えて沸騰がおさまったら高さ1メー
    トルから落下させる
   2 花は、机上に落ちた破片も観察させる
  <その他>
   バナナを凍結させるには沢山の液体窒素が必要だろうと判断し
   今回は見送った

  2 液体窒素に触れる <-200度Cに触れる>
  <方 法> 液体窒素を100mlビーカーにたっぷり注ぎ、指を1
       本入れる
  <注 意>
   1 長時間入れない
   2 手が濡れていると凍傷になりやすい
   3 焦ってビーカーを倒さないように

  <ポイント>
   1 前の実験でびびらせておくと良い
   2 ビーカーの底に触れぐらいでも大丈夫。時間は0.2〜0.7秒位
    比較的ゆっくりでよい
   3 液体窒素と手の温度差が約230度C。だから、実際は液体窒
    素はすぐに気化して手をおおい、触れることができないと説明
    すると良い。冷たさを感じたときは凍傷になっているだろう。

  3 状態変化『気化』 <液体→気体の観察>
  <方 法> 少量の液体窒素を机上にこぼして観察
  <ポイント>
   1 蒸発と沸騰の違いについて説明する
   2 また、慣性運動も観察させる
  <その他>
    わざわざこぼさなくても、容器からビーカーの移すときに吹き
   こぼれる時に説明すれば良い

  
4 空気の状態変化 <液化・気化の観察>
   <方 法> 細長いに風船に空気を入れ、その一端を液体窒素を
        入れたビーカーに入れる。ペちゃんこになったらピン
        セットで取り出して観察する
   <ポイント>
    1 ゴムでできた風船は元どおりになる
    2 膨らんだのは空気が気体に戻ったからである
    3 液化した空気も観察させる。ことのき、風船の一部を凍ら
     せずにおくと便利

  5 二酸化炭素の冷却 <ドライアイスを作る>
   <方 法> 液体窒素を入れたビーカーに試験管を入れ、それに
        二酸化炭素ボンベからゆっくりと入れる。
   <ポイント>
    1 1分も吹き込めば十分
    2 昇華(固体←→気体)について説明する
    3 試験管を紙に包んで割り、取り出したドライアイスを水に
     浮かべて観察してもよい

  6 酸素の液化 <液体酸素の性質を調べる>
   <方 法> 酸素ボンベからビニール袋に酸素を入をとる。それ
        をゴム管・ゴム栓をセットした試験管につないで冷や
        す。試験管内にできた液体酸素の色・磁性を観察した
        後、ピンセットで火の付いた線香を液体中に入れる。
   <注 意> 液体酸素中での燃焼は、ちょっと避難
   <ポイント>
    1 ビニール袋に入れる酸素は5リットルで十分
    2 試験管にも酸素を入れておく
    3 試験管は鉄製スタンドで固定、ビニール袋はそれにセロテ
     ープで固定しておく
    5 液体は『うすい青
    6 希土類磁石を使用する。アルニコでは弱い
    7 線香はセロテープで2本繋いだ。そして、一気に入れるの
     ではなく試験管の口で「ぽん」と燃えることを観察させた後、
     入れる。二酸化炭素や窒素、水と比較させてもよい

  7 エタノールの冷却 <固体エタノールの観察>
  <方 法> 100mlビーカーにエタノール30mlを入れる。ピン
       セットでかき混ぜながら液体窒素を注ぎ、ガラス状にな
       ったら、つまみ出して提示する。次に、さらに冷却して
       固体を作り、液体中に入れる
  <ポイント>
   1 断熱のため発砲スチルロールの上で操作した
   2 ガラス棒で混ぜるほうがよいが、ピンセットの温度が高いと
    溶けて摘めない
   3 融点は-115度Cであることを知らせる
   4 「固体のエタノールは、液体に浮くか沈むか?」発問してか
    ら演示する。結果は沈む。氷のように浮く方が例外である

  8 フィルムケース・ロケット <気化による膨張>
  <方 法> フィルムケースに液体窒素を少量(5mm位)入れ、蓋
       を乗せる。沸騰がおさまったら閉めて、避難。数秒から
       数分 で5メートル飛ぶ。
  <注 意>
   1 沸騰しているときに蓋をしない
   2 覗かない
   3 不発のときは乾いた雑巾をかけてからはずす
   4 同じフィルムケースを繰り返すと凍結、爆発の危険がある

  <ポイント>
   1 気化すると体積が約1000倍になることを知らせる


  <授業を終えて>
  

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(C) 1999 Fukuchi Takahiro