このページは、Mr.Taka による中学校理科の授業記録 1年(1999年度)です |
実験9 縦波・横波
2000 03
2005年春、追記授業実践から5年が過ぎ、何を教えたのか忘れてしまいました。残された写真4枚を使って、授業のポイントだけをまとめます。
<ポイント>
バネを使った実験を通して、縦波と横波の違いを理解する。
波の種類 | 縦 波 | 横 波 |
性 質 | 進行方向 = 振動方向 疎密波(圧縮・膨張) |
進行方向と振動方向が垂直 一般的に固体の中しか伝わらない |
例 | 地震の初期微動 ギターの弦から出た空気の揺れ スピーカの音(動き) 光(真空中でも伝わる) 電磁波(同上) |
地震の主要動 ギターの弦を弾いた時の弦の揺れ |
◎ 縦波の実験手順
1 机の上にバネをおく
2 バネの両端を軽く引っ張る
3 バネの一端を押し縮める(写真下)
↓
4 押し縮めた部分を離す
5 バネをみる
6 縮んでいた部分が移動していく(写真下)
7 縮んでいた部分が反対側に到着すると、折り返して戻ってくる
8 7を繰り返す
9 やがて減衰して止まる◎ 横波の実験方法
1 2人でバネを持つ
2 一方の人がバネを横に揺する
3 横波の出来上がり(写真下)
↓
4 次に、バネを縦方向に揺する
5 皆さんに質問です。
「写真下は横波ですか? それとも縦波ですか?」
↓
↓
↓
答は、
↓
↓
↓
縦波
↓
↓
↓
ではなくて、
↓
↓
↓
横波です。理由は、波の進行方向と揺れの方向が垂直の関係にある波を横波というからです。
実験で説明しましょう。下の写真をみて下さい。
1 まず、いかにも横波のような横波を作ります(左端の写真)
2 手の動きをそのままにして、
3 動かす角度をだんだん変えていくと、
4 横揺れが斜め上下の揺れになり、
5 さらに角度を変えていくと、
6 縦揺れになった横波ができます(中央の写真)これらは見る角度を90度変えれば、同じ種類の波であることが分かります。
→
角度を変えていく→
もとに戻す(上:これらの波は、同じ手の動きから生まれる横波です。) 縦波をつくる方法は、下の通りです。
まったく違いますよね!
◎ 波とは、
そもそも波とは何なのか? 縦波・横波より先に、波の正体をつかんでおきたい。とりあえず、波長を基準にした波の例を挙ます。
波 長 波の種類 短 い
↑
↑
・
↓
↓
長 いγ(ガンマ)線
X(エックス)線
紫外線
可視光線
赤外線
電波(テレビに使うUHF・VHF)
電波(ラジオに使うHF・MF)
さて、岩波の理化学辞典第五版によりますと、波とは、「空間的にも時間的にも変動するような場の運動」です。これから学習する音と光について簡単にまとめると、次のようになります。
音: 空気の疎密波(縦波)で、真空中(宇宙空間)では伝わらない
光: 真空中でも存在する電場と磁場の変動
(中学校では「波」として学習します。「粒」としての性質は学習しません。)とても難しいことになってしまいましたが、先生にとって大切なことは、音や光については深入りしないことです。ごくごく簡単な術語(波長、振幅、周波数、焦点距離、実像、虚像など)を教えるだけで十分です。数式を扱うレベルには到達できない分野だと思いますが、もしも十分に時間があるならレンズ、可視光線、可聴域の音波について学習を深めることは可能でしょう。しかし、もっと他の分野で時間をかけた方が、中学生の発達段階に適していると思うので、興味関心を持つ実験を2、3取り上げれば十分でしょう。あえて、難しい分野に挑戦する必要はありません。中途半端に深追いすることはせず、必要最小限度のことを指導したら、「この先は上級学校で学ぶので、楽しみにしていて下さい。」と話し、関心意欲を高めることに専念するほうが良いと思います。
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