このページは中学校2年理科『生物』/takaの授業記録2000です

心 臓 
                2000 7 11(火)

 見たことはないけれど、馴染みの深い臓器です。大きさは、軽く握ったこぶしぐらいです。牛や豚の心臓なら食べたことがあるかも知れません。さて、構造を調べる上でのポイントは、全身に血液を送りだす左心室と大動脈です。他の部分は、これらを起点にして順序よく覚えられます。授業では左心室、左心室、とくり返し口ずさんで下さい。左心室から血液がどくん、どくん。

 図1はヒトの心臓を表しています。赤く塗られている部分は、左心室と大動脈です。


図1 Aさんがスケッチした心臓



授業の流れ
1 心拍数の測定

 各自で、自分の1分間当たりの心拍数を測定します。ただし、中学2年生は箸が転んでもおかしい季節です。心臓を感じるだけで、静かに自分の鼓動を聞こうとするだけでも笑えてしまう生徒が何人かいるようなら、伝染しないように注意しましょう。大人には原因不明でなので、大声で注意するのではなく、次のように30秒単位で測定するなど工夫をして下さい。なお、図2は、Aさんが心拍数を測定した時のメモです。


図2 Aさんの心拍数

笑ったり冗談を言う生徒がいるクラスの測定方法
1 手首や首筋に手を当てる
2 静かにする
3 時計の秒針に注目する
4 先生の合図で、数え始める
5 30秒間の記録をメモする
6 1〜5を3回くり返す
7 3回の測定結果のうち、1番大きいものを捨てる
(興奮して心拍数が高くなっているから)
8 残りの2回の平均を求める
9 8で求めた数を2倍にする
10 1分間当たりの心拍数のできあがり!

2 心臓の位置、1番強く動いている部分
 ほとんどの人の心臓は左側についていますが、まれに、右側についている人がいます。該当する生徒がいないか、必ず保健の先生に確かめて下さい。また、心臓が動いている位置については、ちょっと嘘なんだけど左心室ということにします。左心室は全身へ血液を送る大動脈と直結しています。

指導上のワンポイント
1 生徒に『こぶし』をつくらせ、自分の心臓の位置に置かせる
2 大きさも、ほとんど同じです
3 左心室は、心臓の
左側の下です
4 なお、教科書や理科便覧の心臓の図は99%以上、左右逆になっています。つまり、図解されている心臓では右側の下になりますが、本物の心臓は
左側の下です。くどいようですが、ここをしっかり自分の心臓で確認させて下さい。自分の心臓の左下にある左心室をどくどくいわせて下さい。つま先から頭のてっぺんまで、血液がどっくん、どっくん、左心室の動きと直結していることを何回も身ぶり手ぶりで説明して下さい。生徒全員、先生と同じようにジェスチャーすることができたら今日の授業は大成功です。

3 心臓のつくり
 教科書を見ながら、図3のようにまとめましょう。ただし、各部の名称については深入りする必要はありません。次時、体循環と肺循環を学習するときに、復習という形で理解を深めます。


図3 心臓内部のようす

次の順序で確認する
1 
左心室→ 大動脈
2 右心房→ 大静脈
3 右心室→ 肺動脈
4 左心房→ 肺静脈

4 実際の心臓
 「心房の房は、部屋、という意味です。ですから、心房は体から戻ってきた血液を入れる袋に過ぎません。ただの袋です。」と説明すると、心室と心房の区別ができるようになります。「心室の室も、部屋、という意味ですが、心室は強い筋肉でできていて、ぐっと縮んで、どっくんと血液を押し出します。」

 図4は教科書に掲載されている図ですが、自分の心臓と直結するように説明をくり返して下さい。ポイントは左心室と大動脈。そして、心臓の模式図は左右逆になっていることです。

図4 心臓の断面図と外観

5 体循環と肺循環
 血液には2つの大きな流れがあります。
(1)体循環: 心臓と体
(2)肺循環: 心臓と肺

説明の手順
1) 体と肺と心臓を書かせる
2) 肺を左右2つに仕切る
3) 左を青、右を赤に色分けさせる
  『青』: 二酸化炭素を含む血(静脈血)
  『赤』: 酸素を含む血   (動脈血)
4) 心臓を4つに仕切る
5) 赤い『動脈血』がどの部分に入るか考えさせる
  → ほとんど全員が『左心房』と答える
6) それが『左心室』に入り、
7) 大動脈を通って全身にゆきわたる。
8) ここで、血が汚れて『静脈血』になる。

 (上: Aさんのプリント)
9) 青い『静脈血』が心臓のどこに入るか答えさせる。
  → ほどんど全員が『右心房』と答える
10) それが『右心室』へ行き、
11) 肺動脈を通って肺へ行き、
12) きれいな『動脈血』になる。

6 確認問題
 混乱しやすい肺静脈肺動脈は、流れる血液の種類を確認しましょう。

肺静脈とは
(1)肺から心臓に戻ってくる血液を流している血管
(2)酸素をたくさん含んだ血液(動脈血)が流れている
(3)ゆっくり(静脈)と戻ってくる

肺動脈
(1)心臓が肺へ血液を送るため血管
(2)二酸化炭素をたくさん含んだ血液(静脈血)が流れている
(3)すばやく送りだされる(動脈


授業を終えて
 時間が許せば、ここまでを1時間使ってやるとよいでしょう。とっても、いいかんじです。

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