このページは、中2地学/takaの授業記録2001 です

飽和水蒸気量
                   2001 2 5

 前時、空気中には目に見えない水蒸気が飛び回っていること、空気の温度を下げると水蒸気が水(露)になることを学習し、さらに、その日のその時間における理科室の露点を測定しました。本時は、露点になったときの空気の湿度が何%であるか考えたり、空気の温度によって露点が変化することを調べます。

 さて、みなさんに問題です。比較的乾燥した寒い冬の教室内に含まれる水蒸気量はどれくらでしょう。次の5つから選択して下さい。
1 1000g以上
2 500-1000g
3 100-500g
4 50-100
5 50g以下

 正解は授業記録の中で紹介します。

(右:飽和水蒸気量曲線)

本時のねらい
1 露点に達した時の空気の湿度は100%であることを理解する
2 飽和水蒸気量曲線を書き、その意味を理解する
3 現在の教室に含まれる水蒸気量を、温度、湿度、飽和水蒸気量曲線から求めることができるようにする(冒頭の問題です)


授業の流れ

1 飽和水蒸気量とは
 「みなさんに漢字の読み方の質問です。飽和のは何と読みますか。訓読みです。・・・そうですね、飽きると読みます。つまり、飽和とは「和することに飽きた」「一緒にいることに飽きた」「お別れ」と言う意味になります。となると、飽和水蒸気量とは、「水蒸気とお別れするときの量」「限界の量」をいう意味になります。前の時間には、露点を測定しましたが、露点とはどんな温度でしたか?・・・そうですね、空気中の水蒸気が冷やさせて水になってしまう時の温度でした。」

 「それではプリントに飽和水蒸気量の意味をまとめましょう。このとき注意しなければならないことは、空気の体積を決めておくことです。何故なら、ちいさい部屋と大きい部屋では空気の量が当然違うし、含まれる水蒸気の量も変わるからです。理科では、1立方メートルの空気を基準にします。1立方メートルとは、(黒板に1辺1メートルの四角を書きながら)ここからここまでで1平方メートルで、さらに、奥行き1メートルを描き加えると1立方メートルになります。」

 空気1立方メートルに含まれる水蒸気の量には限界がある。その量を飽和水蒸気量という。


2 飽和水蒸気量と温度の関係
 飽和水蒸気量は、空気の温度によって変わる

3 教室に含まれる水蒸気の量を予想する
 「突然ですが、この教室にはどれだけの水があると思いますか? つまり、この教室には目に見えない水蒸気が飛び回っているのですが、それらを全部捕まえてビーカーに入れて計測したとすると、どれだけの分量になるか、ということです。予想というより勘ですが、友達と相談しても良いので答えてみて下さい。答えは次の5つの中から1つ選んで下さい。制限時間は1分です。では、相談どうぞ!」 皆さんもして下さい。

40人用の教室の中を飛び回っている水蒸気の量(g) 生徒の予想
1kg以上
数 人
501〜999g
20%
101〜500g
30%
51〜100g
30%
50g以下
20%

4 教室の気温と湿度を測定する
 「さあ、それでは実際に求めてみましょう。A君、乾球と湿球を読んで下さい。」

1時間目の場合
乾 球・・・  15度C
湿 球・・・11.5度C
その差・・・   3度C
飽和水蒸気量のグラフ(教科書p.29の表)より
湿 度・・・  63%

結果
気温・・・15度C
湿度・・・63%

5 気温15度C、湿度100%のときの水蒸気量をグラフ(図)から読み取る
 
飽和水蒸気量のグラフ(教科書p.29の表)より、
 
気温15度C、湿度100%の場合、
 1立方メートルにつき
 12.8グラムの水蒸気が飛び回っていることが分かる。

6 教室の体積を求める
 しかし、で求めた水蒸気量は1立方メートルあたりなので、教室全体の水蒸気量を求めるためには、教室の体積でかけ算ししなければならない。

教室の体積=幅×奥行き×高さ
教室の体積=7×3×9メートル
教室の体積=189立方メートル

7 湿度100%のときの、教室内の水蒸気量を求める
 
12.8グラム×189=2419.2グラム(2.4Kg)

8 湿度63%のときの、教室内の水蒸気量を求める
 7
は湿度100パーセントの場合なので、現在の湿度63%で割算する。
 2.4Kg×0.63=1.5Kg(答)


2年B組の場合

(右:Bさんの学習プリント)

教室の体積
 189立方メートル

気温:14度C
湿度:72%

教室に存在する水蒸気量:
1600g


   (上:Dさんの学習プリント)


note
1 グラフの横軸は気温なので簡単。しかし、縦軸は難しい。単位の1立方メートルがわからない。絵を書きながらゆっくり説明しなければならない。

2 教室内の水蒸気量を求め方の説明手順は2つある。
手順1(本時の場合)
手順2
1 気温と湿度を求める
2 飽和水蒸気量をグラフ(図)から読み取る
3 教室の体積を求める
4 教室内の飽和水蒸気量を求める
5 現在湿度の水蒸気量を求める
1 気温と湿度を求める
2 飽和水蒸気量をグラフ(図)から読み取る
3 現在湿度の水蒸気量を求める
4 教室の体積を求める
5 教室内の水蒸気量を求める
長所
 教室の湿度を測定するだけで、簡単に教室全体の水蒸気量を求めることができる
長所
飽和水蒸気量と湿度の関係が、若干理解しやすい

← 前 時
実験1 露点

次 時 →
飽和水蒸気量2


[→home

(C) 2005 Fukuchi Takahiro