このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録:生物学 3年(2001年度)です

観察3.2 細胞分裂
                        2001 6 25(月)

 今日は絶対の見てやる、と張り切っています。そのためには、正しい操作をもう一度演示、さらにテレビ投影装置で顕微鏡を操作して普通の細胞の中から分裂中の染色体を見つけるところまで見せてやることが必要でしょう。とくに、低倍率における核の見分け方、高倍率においては反射鏡の凹面を使って光量を増やし、さらに、しぼり板をつかって被写体深度を高くすることを演示確認することが必要です。

(上: タマネギの根の成長点で分裂している細胞)
上部にある細長い細胞は、それらをおおうように保護している根冠細胞


手順の確認
1 塩酸処理
(10%、60度C、1分)

・ 細胞をばらばらにしやすくするために行う

・ 濃度と温度は教師が調整しておく
・ しかし、温度はどんどん下がっていくので、ビーカの中に温度計を入れて弱火で暖めておく。

・ 余裕のある生徒には、濃度を下げて処理時間を長くすることを勧める(3%、5分程度)

2 スライドガラスとカバーガラス
・ ティッシュでピカピカに磨いておく
・ すると、気泡が入らない美しいプレパラートができる

3 根冠の除去
・ 何とかできそう
・ 柄つき針を使って、膨らんでいる部分(1〜3mm)をはずす
・ 除去した部分に細胞分裂中のものがあるかもしれないので、それもプレパラートするように指示する

4 核の染色
・ 今日は『酢酸オルセイン』にした
・ 酢酸カーミンとの違いは分からないけど、他の説明書はほとんどコレ!
・ 教科書の手順とは逆だけど、成長点の部分を柄つき針で軽くつぶした方が良く染まる。というか、そうしないと一番良い部分が染色されない。ただし、ここまでの操作を1時間の授業で説明するのは無理なので、2時間覚悟しておくこと。

(上:タマネギの根)
  先端から1cmの部分をピンセットでつまみとり、プレパラートの上で染色する。実際は5mmでも十分。

たぶん情報
 成長点といえども24時間分裂しているわけではない。必ず、必要な温度条件などがある。どうやら、休眠しているものを起こしてやるとよさそうなので、一旦、冷蔵庫に保管してから25度Cにしてやるとよさそうな気もするけど、みなさん実験してみて下さい。

5 カバーガラスをかけ、
6 ろ紙ではさんでから、親指で押しつぶす
7 顕微鏡で観察する

よくある生徒の失敗
 というか、ぜんぜん先生の話を聞いていないんだけど、、、
1 成長点ではない部分を観察している
2 先端部分から5cm以上までをカバーガラスではさんでプレパラートを作る。(これは兄弟姉妹の多い生徒によくみられるしみったれ現象の1つである。何回説明しても、個人指導しても直らないことがほとんど。


  (上:細胞分裂『前期』では、核が染色体に変化する)


(上:『中期』では、同じ染色体が2つ組になって中央に並ぶ)

(上:後期では、染色体が2つに分かれる)
(上:終期には、細胞の間に細胞板(細胞壁)が現われる。また、染色体は核に戻る。


授業を終えて

 私自身、良く分からないまま実験を進めていくので毎時間発見の連続である。新卒の頃は、ちゃんと予備実験をしてから授業を迎えていたけど、最近はさぼっていて、というか、生徒と一緒に喜びたいので意識的に分からないまま、あるいは、調べまいままに実験を楽しんでいる。だいたい、実験なんてものは、やればやるほど分からないことが増えるようにできているのだから、私が教える量は少ないほうがよい。準備だって生徒が自分で行ったほうが勉強になる。

 もちろん、今回の目的「細胞が分裂するときは、細胞内にある核が染色体に変化し、それが2つに分裂することを観察を通して理解する」はほぼ全員達成できたであろうし、そうでなければ本当の教師怠慢になる。

 技術が低くて全く見られない生徒もたくさんいたことも事実だけど、それでも、友達のプレパラートを顕微鏡テレビ投影装置などを使って観察し、それを理科便覧の美しい写真と比較できることは大きな収穫である。教科書を問題集だけの授業とは学習意欲に大きな差がつくはずだ。

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(C) 2001-2005 Fukuchi Takahiro