このページは中学校3年理科『生物』/takaの授業記録2001です

食物連鎖
                    2001 9 17(月)

食物連鎖:生物どおしの喰う喰われるの関係
※ 最近、国語の授業で学習したらしい
  2年生の時も国語の教科書の題材として取り上げられていた

(上:Aさんの学習プリント)


◎ 授業の流れ
1 生物ピラミッド

 ・ 1番下の生産者(無機物から有機物をつくる緑色植物)は1番数が多い
  ※ 光合成をしない菌類・細菌類と区別するため
 ・ 生産者は「何を生産しますか?」と発問するとよい
 ・ そして、内呼吸の化学反応式を確認する

 ・ その上が消費者(草食動物→ 肉食動物)となる

 ・ ピラミッドの頂点にたつ動物の例を考えさせると、「ヒト」という答えが返ってくるが、個体数に着目すると生物界のバランスを壊していることは明白なので、この生物ピラミッドから考察すると「現代の人類」は生物とは言えない。

 ・ 分解者については後日学習する

2 アメリカシロヒトリの一生
 ※アメリカから輸入されてしまった白い蛾

(上:Aさんの学習プリント)

・ 教科書にしたがってグラフ(上)を書いていく
・ 縦軸は個体数(匹)
・ 産卵数は10000個体であるが、孵化するのは7900個体
・ 孵化した幼虫のうち、老齢幼虫になるのは3300個体
・ ここから激減して、蛹になれるのは27個体
・ 蛹から成虫になれるのは16個体
・ そして産卵できるのは、わずか8個体である

 「さて、ここでみなさんに質問です。アメリカシロヒトリは10000個体のうち8個体しか残りませんが、自然界においてこの数は適切であると言えますか。次のア〜ウから1つ選び記号で答えて下さい。」
 ア 適切である
 イ 絶滅する
 ウ 多すぎる

 答えは後で紹介します。授業を進めましょう。各点をなだらかな曲線で結んだ後、自然界の厳しさを体験するために、学級の中で生き残れるかイメージしてみます。1クラス35人だと仮定して、まず、卵から孵化できずに死んでしまうものが7人(全体の2割)。原因は卵の死亡ですが、未熟児であったり病弱であったり本日欠席している人を合計して7人に手を上げてもらいます。また、少年ジャンプに掲載されていた『北斗のケン』のケンシロウの言葉「おまえはすでに死んでいる」を引用して説明するのも効果的です。次に、幼虫になったもののうち、小さなサイズ(幼齢・中齢)の時は蜘蛛に捕まったり病気で死にます。クラスでは、12人(33%)に生き残れるチャンスをあげます。条件は逃げ足が速いことと食べ物の好き嫌いがないことです。老齢幼虫になると、シジュウカラやアシナガバチに狙われます。空中からの攻撃に備えながら大きな身体を隠して生活する知恵が必要です。こうして生き残れるのは、400人に1人なので確率的にはクラス全滅。全校生徒で1人生き残るかどうかです。こうして残ったものが蛹になりますが、ここでの死に方が一番悲惨かも知れません。寄生バエが飛んで来て、体内に産卵するのです。運の善し悪しが左右します。約半分の人がウジムシの餌になります。その後、運良く羽化しても半数はシジュウカラに食べられ、交尾して産卵できるものは1000人に1人の計算になります。さて、ここで再び質問です。アメリカシロヒトリは10000個体のうち8個体しか残りませんが、自然界においてこの数は適切であると言えますか。次のア〜ウから1つ選び記号で答えて下さい。
 ア 適切である
 イ 絶滅する
 ウ 多すぎる
 答えは『ウ』ですがその理由はわかりますか?具体的に1年間で何倍に増えますか
?答えは8個体=4ペアなので、産卵数は40000個になるので『4倍』です。

3 家族計画
 「あなたは何人子供が欲しいですか?」生徒に発問したところ、結果は次の通りだった。
子供の数 希望者の数
10
それ以上

無回答
15

  
 時間があれば、もっと話をして無回答者を0人にしたいところであるが、昨今の社会情勢もあって生徒のノリが悪いのも事実である。さて、この後、地球の生態バランスを考えるならば2人が適切であること、親がなくても兄弟姉妹だけで育ちやすいのは3人であることを紹介した。また、『将来の自分の子供の名前を男女1つずつ考えてくること』を宿題とした。生徒達も自分の両親が真剣に名前を考えてくれたことを理解できるはずである。

◎ Cさんの学習プリント


◎ 授業を終えて
 食物連鎖から生態バランスの話へもちこんだが、最終的に「生物ピラミッドのどの位置でも1ペアから1ペア」生き残れば良いと理解できれば良い。産卵数が多いものは、1ペアを除いて全てが食物連鎖の中で食べれらてしまうのである。そして、この観点からすると、人類は完全にバランスを崩しているので、これからどのようにしていったらよいのか、じっくり考えさせるのも重要だろう。生徒から「中国には一人っ子政策があるよ」と発言があったし、100年前の日本や現在の発展途上国では10人兄弟姉妹は当たり前であった(る)話をすると興味深く聞き入っていた。

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