このページは、中3地学/takaの授業記録2001 です

大地の変動 ―しゅう曲、断層、不整合―
                     2001 秋

このページは2005年夏、4年前の記憶によって書かれたものです。
画像資料として利用したのはCさんの学習プリントと教科書です。

不整合について
 不整合の学習は、大地の変化の総復習となるので時間をかけて、少なくとも20人は指名して、ぼけっとしている生徒がないように楽しくまとめて下さい。


授業の流れ
1 学習プリントの配付
(1分)
 不整合のでき方を説明するための枠組み(図1下)を印刷した学習プリントを配付しました。

図1 Cさんの学習プリント

2 地殻変動(4分)
 教科書を読み、地殻変動(大規模な大地の変化)には断層褶曲などがあることを知らせます(図2)。

図2 地殻変動とは

3 しゅう曲(5分)
 地層が曲がることをしゅう曲と言います。簡単です(図3)。

図3 しゅう曲のでき方

4 断 層(10分)
 地層が切れ、食い違うことを断層と言います。ここまでは簡単です。しかし、断層には正断層と逆断層の2種類があること(図4下)、および、その形状と原因については説明方法を誤ると混乱を招きます。次の手順に従って注意しながら説明して下さい。

図4 2種類の断層

断層の説明手順
1 糸魚川・静岡構造線、中央構造線の紹介(図4右上)

(社会科で学習していないか確認して下さい)
(宇宙からの衛星写真が教科書や理科便覧にありませんか?)

2 断層面を、右上から左下へ書く(2本)
3 図4左下のように、食い違った地層を書く
4 図4右下のように、食い違った地層を書く
5 図4の左下と右下を比較させ、どちらが押されてできたものか考えさせる

(考え方のヒント:断層面の上になっている地層だけに着目させる)

6 教科書や理科便覧を比較しながら、正逆断層の名称を紹介する

5 不整合(25分)
 不整合の学習は、たくさんの学習内容の総復習となるので時間をかけて、少なくとも20人は指名して、ぼけっとしている生徒がないように楽しくまとめて下さい。最終的に、図5のような4段階の流れ図ができます。その説明手順を以下に示します。

図5 不整合のでき方

不整合の説明手順
1 不整合と整合の意味を知らせます。


2 4段階でスケッチするため4つの枠を確認します。
(学習プリントに印刷しておいて下さい)

第1段階
3 第1段階の枠に太陽と海を描きます(図6上)
4 4種類の層を堆積させます
(図6下)
5 海藻や魚や釣り船を描いたりしながら遊んで下さい
(図6)。そして、第1段階の枠の下に「海底に地層が堆積する」と書きます。これで第1段階終了です。

図6 第1段階 海底に地層が堆積する
第1段階から第2段階へ
6 第1から第2段階へ矢印を書きます(図7)
7 第1段階地層が堆積している時代が変化するために必要な地殻変動は何か、考えさせます。答えが出ない場合は、隆起と沈降の二者択一にします。
8 答えは
隆起です。なぜなら、沈降した場合は、さらに地層が重なるだけで変化ありません。逆に隆起した場合は、地層が陸地になっしまい土砂が堆積することはありません。
9 矢印の中に隆起、しゅう曲と書きます。
しゅう曲を書く理由は2つあります。1つは、隆起にともなう変化を表現したいこと。もう1つは、しゅう曲以外の地殻変動「断層」「逆転」などはスケッチしたときに混乱しやいからです。

図7 第1段階から第2段階へ
第2段階
10 第1段階でできた4つの層を書きます(図8下)
 (しゅう曲させて下さい)
 (層の色や順序を同じにして下さい)

11 その下に、これまで見えなかった層をいくつか書いて下さい。図7では、
オレンジ銀色赤色の層が見えてきました(図7下)

12 次に、雲を書きます
13 雨を降らせて下さい
14 地層はどうなるでしょう?
15 そうです。侵食されます。
16 
侵食された面をギザギザで表現して下さい。
 
(図7ではピンク色
17 黒板では、
ギザギザより上の部分を消して下さい。
18 第2段階の枠の下に「地層が風雨で侵食される」と書いて下さい。これで第2段階終了です。

図8 第2段階
第2段階から第3段階へ
19 矢印を書きます(図9)
20 第2段階地層が侵食されている時代が大きく変化するために必要な地殻変動を考えさせます。全く答えが出ない場合は、隆起と沈降の二者択一とします。
21 答えは
沈降です。なぜなら、隆起した場合は地層の侵食が加速するだけですが、沈降した場合は海底になり、再び地層の堆積が始まるからです。
22 矢印の中に沈降と書きます。

図9 第2段階から第3段階へ


第3段階
23 侵食された面ギザギザピンク色を書きます(図10)
24 その下に侵食されなかった地層を書きます。
25 海面を書きます。
26 海底に土砂を堆積させます。
27 もう少し堆積させます。
(図10では、黄緑斜線ドット

28 27〜28に整合と書きます。
29 
ギザギザの下に整合と書きます。
30 
ギザギザ整合と書きます。

31 第3段階の枠の下に「再び地層ができる」と書いて下さい。これで第3段階終了です。


図10 第3段階
第3段階から第4段階へ
32 矢印を書きます(図11)
33 第3段階
地層が堆積している時代が変化するために必要な地殻変動は何か、考えさせます。この質問は、第1段階から第2段階へと同じです。
34 答えは
沈降です。同じような質問を3回くり返しましたが、大地の変化は隆起と沈降をくり返すだけ、と考えることができます。隆起が変化するということは沈降、沈降が変化するということは隆起です。シンプルな考えです。

図11 第3段階から第4段階へ
第4段階
35 再び陸地になりました(図12)
36 順序よく地層を書きます。
37 さらに、しゅう曲させて下さい。

38 ようやく完成です。
39 地層の間に何が見えますか?
40 
ギザギザです。不整合面です。
41 不整合面の上にも、かつては海の歴史が刻まれていました。しかし、地層が侵食されることで歴史が失われてしまったのです。もはや、人類の知恵で推し量ることは無理と言わざるを得ません。このように考えると、大地の歴史は海(水の中)で作られ、地上で失われるのです。

図12 第4段階

6 本時の感想・疑問・発見(5分)


授業を終えて
 今日で地学分野が終了しました。明日からは中学校最後の理科の単元に突入します。受験も控えているの張り切って学習しましょう。

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(C) 2001-2005 Fukuchi Takahiro