このページは、中3物理2001/takaの授業記録 です

実験1 2つの力が働く物体
                 2001 冬

 今日から物理学分野の始まりです。テーマは運動とエネルギーです。1時間目は前後半に分かれますが、前半は1年生の復習「力は矢印で表されること」「重さと質量の違い」、後半は実験「2つの力がはたらく物体」です。後半の実験がメインとなりますが、机上実験なので悪しからず!


◎ 授業の流れ
1 導 入

 教科書の扉の写真を見ながら本文を読み、生徒が思い付いたことを発表させます。実際の現場では、珍しい連続写真を見て「へー凄いなあ」「えー、そうなの」という反応しかありません。先生や特別な体験をした生徒が、力やエネルギーの体験談を熱く語るなら話は別ですが、多くの場合、細部に入り過ぎてしまうことが多いので注意して下さい。何となく「力をやるんだ」「とりあえず、1年生の復習から始めよう!」という程度で十分だと思います。学習を進めて、写真の意味が分るようになったときに、詳細に力を読み取り、分析できるようになれば良いのです。

2 1年生の復習
(復習1) 力は矢印で表される

図1のように簡単にまとめて終了です。80%以上の生徒は覚えていますし、忘れてしまった生徒も直感レベルで思い出すことができます。

図1 力は矢印で表されることをまとめたAさんの学習プリント

生徒への発問例
 「1年生で力の学習をしましたね。重力や磁石の力や摩擦力などいろいろありましが、力は目に見えませんでした。しかし、力の大きさや方向を考えるために、とても簡単な法で表しましたが覚えていますか。とてもシンプルで美しいものでした。」
※ 1年生での学習内容は
実験4 いろいろな力いろいろな力(続き)でした。

(復習2) 重さと質量の違い
 これも図2のように簡単にまとめて終了です。おぼろげな生徒は60%に達すると思いますが、さらっと復習することで「あっ、そうそう」と思い出したようにすることが大切です。ことさら大袈裟にすることは良くありません。ポイントは、必要なことをきちんとまとめ直すことです。1年生の重さと質量では、1時間使ってしっかり学習しました。

図2 重さと質量の違い

(復習3) 圧力の復習
 学級によっては、生徒の勢いで圧力の復習をすることになります。ポイントは単位です。説明例は次の通りです。「じゃあ、圧力の単位は何だった? 力の大きさ「Kg重」とは違いますよ。同じだったら同じになってしまいますからね。・・・ヒントをあげましょうか。では、1年生で行った簡単な実験をしてみましょう。尖った鉛筆を両方の手のひらで押して下さい(図3上)。すると、力の大きさは同じなのに、尖っている方は痛いですね。つまり、尖っているということは、何が違うことになるのですか?・・・そうですね。面積です。ですから、力の大きさを面積で割らなければなりません。理科では、基準となる面積として、1cm四方の面積を使うことにします。ですから、圧力の単位は、Kg重/平方cmとなります。」
1年生のでの授業記録;
圧力とは何か

図3 圧力の違いを確かめる実験(上)と圧力の単位(下)

3 実験:2つの力がはたらく物体
 実験と申しましても、机上実験です。実際の授業では、ボール紙と紐を使って行いましたが、「先生頑張っているね」という程度のことです。3年生にとっては簡単過ぎる内容であり、新しい発見が少ないからです。具体的には次の3つの実験を行い、結果をまとめます。

実験1: 一方を固定して、反対側を引っ張る
 図4を見て下さい。ある物体の両端の左右に紐とバネはかりをつけます。次に、左を固定し、右だけ120g重の力で引っ張ると、アラ不思議。左も120120g重の力で引っ張ることになります。

図4 左を固定して、右だけを引っ張る

実験2: 一方を固定して、反対側を押す
 
次に、押して力を測定するタイプのバネはかりを使って同様の実験を行います(図5)。すると、右側を押しただけなのに、左も同じ大きさ・逆向きの力で押したことになります。
図5 左を固定して、右だけを押す

実験3: 一方を固定して、反対側を押す
 
最後に、一直線上にならないようにして、左右から100g重の力でひっぱると、2つの力は一直線線上になって「つりあい」ます。(図6)


図6 物体にはたらく2つの力をつり合わせる実験

実験1〜3のまとめ
 図7のように、物体にはたらく2つの力がつり合うための条件をまとめます。

2力がつり合うための3つの条件
(1)大きさが等しい
(2)方向が正反対
(3)一直線上


図7 2力がつりあうための条件をまとめたAさんの学習プリント

◎ Aさんの学習プリント


授業を終えて
 新しい単元の始まりというものは、気持ちの切り替えと復習が大切です。欲張ってはいけませんし、とくに、目新しいことで子どもを驚かそうとする必要もありません。安心して、自分達にたくさんの知識があることを確認し、自信を持たせることが大切です。

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