このページは中学校1年理科『化学』/takaの授業記録2002です

 実験14 ミョウバンの溶解度
              
                   2002 9 25(水)
                   第2理科室

  教員人生で初めて『ミョウバンの溶解度曲線』を求める実験を行った。
  たぶん全然正確じゃないけれど、温度によって変化していくことは分か
  るんじゃないかと期待している。

  
  (上:水10mlに一定量のミョウバンが溶けた時の温度を測定する)


 <授業の流れ>
 1 小学校での学習内容を思い出す

  ・ ある物質が一定量の水に溶ける量は決まっている
  ・ その量は水の温度によって変化する
  → なぜかほとんどの生徒が知っていた

  
  (上:Aさんの学習プリント)

 2 ミョウバンについて知らせる
  風呂に入れて入ると肌に良いそうで(分量は知りません)、薬局で市販され
  ているようです。料理にも使うらしい。理科の授業では、溶解度曲線を得る
  ために適した試薬であることを理科便覧のグラフを使って確認する。
  <次の2点を確認する>
  食塩: 温度による変化がほとんどない
  砂糖: 溶け過ぎてしまう

 3 実験のねらいと方法を知る
  ・ ミョウバンの溶解度曲線を求める
  ・ 教科書は水25g、理科便覧は水100gに溶ける量を掲載しているが、
   本時は水10gで実験する
  <方法>
  1 水10gを大きな試験管に入れる
   小さな試験管を使うと非常に溶かしにくい
   水の量はピペットで正確に測る

  2 電子てんびんでミョウバンを1.00g測りとる

   ただし、『薬さじ』と『薬包紙』の使い方は次の確認した。薬を『薬さじ』
   で計りとるとき、薬さじを傾けるのでなく瓶などにぶつけた振動で入れる
   ようにする。ぶつける強さを加減することで微妙な量を調節することがで
   きる。また、『薬包紙』は辺と辺を合わせるように折り曲げる。
  
 (上:中学校で電子てんびんを使うのは初めてだったが手慣れたものだった)

  3 そのミョウバンを10gの水に入れて温度計でかき混ぜる
    温度計が割れたら失敗→ 終了
  4 どうしても溶けない場合は、湯せん法で水をあたためる
    ガスバーナーは弱火
   → 温度が上がり過ぎて失敗することが多い

  
  (上:Aさんの学習プリント)

  5 全て溶けた時の温度を測定する
  6 ガスバーナーの炎を外してから、ミョウバン1.00gを追加する
  7 全部溶けた時の温度を測定する
  8 操作6、7をくり返す
  9 実験結果を黒板に書く

  (上:1組での板書)
     このクラスは時間割りの都合で1日に2時間理科があった。
     そのため本実験を2時間にわたって行うことができた。


 4 実験する

 5 本時のまとめをする
  ・ 実験結果を分析し、それをグラフ『温度と溶けた量』で表す
  ・ 発見・感想などを書く
  
  (上:B君の学習プリント)

  
  (上:C君の学習プリント)

 <評価基準>
 1 自然事象への関心・意欲・態度
  B プリントにミョウバンを添付することができる

 2 科学的な思考
  A 誤差の多い実験データを修正しながらグラフ処理することができる
  B 離間便覧の溶解度曲線のグラフを正しく書き写すことができる

 3 実験・観察の技能・表現
  A 誤差20%で溶解度曲線を求めることができる
  B 電子てんびんを正しく操作できる
  B 温度によって溶解度が変化することを求めることができる

 4 自然事象についての知識・理解
  B 溶解度曲線の意味を正しく理解することができる


  研究: グラフの縦軸・横軸について
     『D君のグラフ処理の方法を考える』


  (上:D君の学習プリント)
   写真右下のグラフを見ると、彼は数学的に正しい書き方をしている。今日の授業でも
  このようなグラフが得られるように実験したいのだが、(温度を一定の保つことは比較
  的簡単にできたとしても)水に何グラムのミョウバンが溶けるか測定することは技術的・
  時間的に極めて困難なので、ミョウバンの質量を1グラムずつ変化させ、それが全部溶
  ける時の温度を正確に求めるような実験を行わせた。その結果、B君のようなグラフが
  できたのである。これは混乱の原因になるかも知れないけれど、彼のようにグラフの軸
  を自主的にとることができる生徒は1年生全体で数人もいないので、個別に指導すれば
  問題ない。科学的・数学的に高い処理能力をもっているから、軸を変換もすぐに理解し
  てくれるだろう。


  授業を終えて
  温度を上げることによって変化することが分かればよいと思っていたが、生徒の目的
  意識が高く一生懸命実験をしていた。

  正しいデータが得られなくても水に物質を溶かし、温度を変化させることで溶解度が
  変化することを確認し、それをグラフに表すことは価値があると思う。テスト問題で
  グラフを見た時の印象が違うからである。縦軸、横軸の名前も身近に感じるに違いな
  い。

  また、小学校で簡単な実験を行っているようなので、ここでは実験を行わず詳しい説
  明に徹した学級もあったが、授業の手ごたえとしては今1つだった。美しいノートは
  完成したが、溶解度曲線のグラフの説明がよく分からないのである。

  (上:Fさんの学習プリント)

  下の学習プリントは、次の時間に復習したときに書いたものである。
  
  (上:G君の学習プリント)

  もう一言です
  とっても難しいところだけれど、違う時間に練習問題で復習しながら定着率アップ
  を図りたいと考えている。新指導要領では『曲線』まで指導する必要ないみたいだ
  けれど、実際の入試では問題として出題しやすいところなのです。お上さま、簡単
  にするなんてケチなことはできませんので、スパっと全部削除してくだせえ。

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