このページは中学校1年理科『地学』/takaの授業記録2002です

世界の地震地図
              
                   2002 12 11(水)
                   第2理科室

 世界地図を見ながら前時の復習をすればよい、と軽い気持ちで授業を始めた。本時ねらいは「地震はどこででも発生するのではく、場所が決まっていること」を理解するだけである。

  (上:A君の学習プリント)

 大平洋が中心になっている世界地図を3つコピーして引っ付けた。
 生徒自らが新鮮な気持ちで新発見をしてくれるのではないかと思った。


授業の流れ
1 世界における日本の位置を確かめる

 「この地図には日本が3つあります。それらを赤で塗りなさい。」
 → これが結構分かっていないので驚いてしまう

 → 私の作戦は成功したのだろうか

2 地震が発生する場所を確認する
 「教科書を見て、地震発生場所を地震のような色で塗りなさい。」
 → 数分間で作業終了

 → 早くできた生徒には『発見したこと』を余白に記述させる

3 環太平洋地震帯
 「大平洋を取り巻く地域に地震が発生していますが、それを何と言いますか?」
 「えっ、小学校でも社会科でも習っていないの?」
 → 本当に知らないのでビックリ

 「大平洋を取り巻いているので『環』大平洋地震帯と言います。」
 「火山帯、造山帯で言っても良いでしょう。」

4 大西洋中央海嶺かいれい
 「教科書を見てヨーロッパと北アメリカ、アフリカと南アメリカの間にある大西洋中央海嶺を赤色で書きなさい。」

  (上:A君の学習プリント)

 「これを見ると、どんなことが分かりますか。」
 「そうですね、海嶺を中心に裂けているようですね。」
 「ここで海嶺について復習しておきましょう。」

海嶺について
1 海底でマグマが吹き出すところ
2 プレートが形成されるところ
3 海底山脈

→ 正確に覚えているのは数人だけなので、またまたビックリ
(ちゃんと復習するかどうかは地域・学校によって大きく異なります)
→ 仕方ないので授業の最後に、前回見たビデオをもう1度復習する

5 日本海溝とマリアナ海溝
 「世界で1番深い海はどこか知っていますか?」
 「それはマリアナ海溝で、日本のすぐそばにあります。」
 「世界第2位は日本海溝です。」
 「アメリカやハワイはここに沈むのです。」
 「それでは、教科書を見て正確に青色を塗りなさい。」

海溝について
1 プレートが地球内部へ沈み込むところ
2 プレートが歪んで地震が発生する
3 プレートが擦れて摩擦熱を発生し火山ができるところ

6 ヒマラヤ山脈とインド
 「世界で一番高い山はエベレストですが、何処にありますか。」
 「地図に色が塗れた人は、その山脈名を書き込みなさい。」
 「さて、このヒマラヤ山脈はインド大陸がぶつかってできたものです。昔、インド大陸は南半球にありましたが、プレートにのっかり北に移動してきました。そして、ユーラシア大陸にぶつかってできたのが世界1高いエベレスト山です。インドは今でも北上を続けているので、エベレストは今でも高くなっています。インドはいつの日か全部潰れてしまうかも知れません。また、ヒマラヤ山脈でたくさんの貝殻が見つかる原因もわかりましたね。」

  (上:B君の学習プリント)

7 ビデオで復習

チェック項目
・ マグマ
・ マグマだまり
・ 海嶺
・ プレート
・ プレートの歪み(地震が発生する理由)
・ 海溝

  ◎ C君の学習プリント

評価基準
1 自然事象への関心・意欲・態度
 B 世界の地震地図をていねいにまとめることができる

2 科学的な思考
 A 地球の内部構造から地震の分布を捉えることができる

3 実験・観察の技能・表現
 B 世界の地震地図を正確にまとめることができる

4 自然事象についての知識・理解
 B 環太平洋地震帯について正しく理解し説明できる


授業を終えて
 ここの分野は話し始めるときりがないところなので、生徒の様子を見て話をする内容を決めようと思っていた。しかし、家庭で復習を全くしていないことに驚き戸惑い、授業内容がばらばらしてしまった。

 また、世界地図における日本の位置が分からない生徒を目の当たりにしたとき、世界辺境の地を旅する自分を思い出した。教育機関のない貧しい国や地域では、地図を見ないまま大人にってしまうので、私が道に迷って地図を出しても、さっぱりわからないのである。地図そのものの意味が分からないから、何がなんだかさっぱりなのである。『へたくそな絵』にしか見えないのだろう。本校の生徒も近いものを彷佛とさせるので、ますます頑張らなくっちゃと思う今日この頃だけど、ホンマカイナとも思う。

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 授業記録を書き進めてくると、詳細に書こうとすればするほど生徒の実態が浮き彫りになってくる。悪い言葉を使えば『学校間・地域間格差』をひしひしと感じる。同じ教師であっても、学校を変われば同じ教育実践をすることができないのである。もし、私がもっと学力の高い地域で実践を行えば、全く異なる記録が出来上がる。

 今年4月からの記録には、無意識のうちに『復習』という言葉を使わないようにする自分がいた。家庭学習の不足は自分の責任であり、それを家庭の責任するのは卑怯だと思っていたからである。しかし、いつまでも隠しておくことはできないし、物事を明確にするのが私の仕事だからはっきりしておいた方が良いと思う。ここの学校には家庭学習という習慣がないし、もっとはっきりさせてしまうなら家庭環境が違う。

 しかし、短絡的に結論付けてはいけない。この学校ならではの良い特徴がある。家庭で愛情が注がれていない生徒の多くは、それを学校で満たそうと幼稚園児のように甘えてくる。「黒板に書きに来ても良いよ」と言うと、先を争って走り込んでくる。一般的な自己主張以上の無邪気さ、幼稚さ、先生に認めて欲しいという本能的な欲求を感じる。生徒達は気づいていないかも知れないけれど、そうした友達が多い雰囲気の中では、世間一般の新聞で騒がれてるような犯罪の臭いがしない。

 理科室の物が破損したり紛失しないことも特筆すべきことだろう。これまでに経験した5校の中で1番物を大切にするし、他人のものを盗んだりしない。豊かな生活をしている地域では、試験管やビーカーがよく割れるし、友達のシャープペン等借りたまま返さない事件が発生するが、ここではほどんど耳にしない。

 学力が劣ることは事実であっても、それは生徒が持っている力の1つに過ぎない。金があっても不幸な人がいるのと同じで、学力があっても不幸な人がいる。教育関係者や子供を持つ親は、そこで欲を出してしまうので失敗することが多いので注意して欲しい。学力はお金と一緒で、必要最低限+アルファーがあれば幸せに生活できるのである。私は、今の中学校の生徒の力を伸ばしてやりたいし、ここでの実践を書くことが今の私にできる最高の仕事の1つだと思っている。

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 私の核家族世代に生まれたので良く分からないけれど、この学校の生徒は、ひと昔前の兄弟姉妹が10人いるような家庭で育った子供達のようなんだろうなと思う。

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 今日は『世界の地震地図』だったので、『名古屋市中学校の特色地図』作成のための準備をしてしまったのかなあ。

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 となると名古屋市の人事を担当して者の責任は重大である。交通機関によって名古屋市の小中学校をABCに分類して、交通の便だけで配置するのは止めて欲しいよね。教員にも生徒と同じように1人ひとりに特性があるから、合う合わないがある。「プロだから何処ででもやれ!」「いろいろな地域で経験を積め」「ABCをローテーションしなければいけませんから」という声もあるが、私はもう少し本人と現場の声に配慮した配置があっても良いと思う。例えば、、、と書き出すとまたまた自分自身の愚痴になるので止めておこう。でも、1つだ言わせて下さい。私の通勤時間70分を返して下さい。毎日これだけあれば、このページがそれだけ充実するのですから、、、充実すると困る人がいたりして、、、いないよね

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