このページは中学校1年理科『地学』/takaの授業記録2002です

地震のゆれ方
              
                   2002 12 13(金)
                   第2理科室

 例年、今日の授業が地震の学習の1時間めになります。

 「みなさんは、地震を経験したとはありますか? 経験したことはある人は手を挙げて下さい。・・・なるほど、ほとんどの人が体験していますね。では、ここからが本当の質問です。よく思い出して答えて下さい。詳しく調べると、地震の揺れ方は2種類ありますが、地震が始まったときの揺れ方は、どんな揺れ方だったでしょう? 1つは(ジェスチャーを加えながら)こんな感じの貧乏ゆりのような縦揺れです。もう1つは(ジェスチャーを加えながら)首が左右に揺れる横揺れです。相談しても構いません。10秒後に、全員に答えてもらいます。」
 横揺れとして、酔っ払いの真似をしても面白いでしょう。

学習内容
1 地下で岩石が壊れると、2種類の地震波が発生する
2 はじめの揺れを初期微動、後のゆれを主要動という
3 地震のゆれは地震計によって記録させる


  (左上:つるまきバネを使った初期微動(縦ゆれ)の説明)
  (右上:糸を使った主要動(横ゆれ)の説明)


授業の流れ

導 入

初期微動と主要動

地震計のしくみ

まとめ


1 導 入
 先ほどの続きです。

 「答えを紹介する前に、もう一度ヒントを差し上げます。地震が始まったときの小さな揺れを思い出して下さい。天井に吊されている電灯やヒモをどんな動きでしたか。コップの水はどんな動きをしていたでしょうか。思い出して下さい。地震の初めは、縦揺れか横揺れか決まっているのです。それでは手を挙げて答えてもらいます。相談の時間が欲しいなら10秒間差し上げます。」

生徒の回答
縦揺れ: 40%
横揺れ: 60%

2 初期微動と主要動
<地震計による記録の説明>
「話をやめて黒板を見なさい。」
「A君、話をやめなさい。」
「口を閉じたら、前を向きなさい。」
「Bさん、体を前に向けなさい。」
「さて、地震計の針はゆっくり進んでいきますが、Cさん黒板を見なさい。」
「地震が発生すると、まず小さくカタカタと揺れます。」
「次に、大きくユサユサと揺れます。」
「やがて地震が終わると、もとのように真直ぐな直線になります。」

(上:Aさんの学習プリント)

初期微動 主要動
P 波 S 波
たて波 よこ波
速い(8km/秒) 遅い(4km/秒)

2 地震計のしくみ
<説明の例>
 「さっき、地震の揺れを書くときチョークを動かして黒板に書きましたが、本物の地震計は違います。本当の地震ときはチョークはなく、黒板が動くことで記録されるのです。「えっ」と思うかも知れませんが、地震では全てのものが動くので黒板も私たちも建物全体も動いているでしょう。だから、黒板も動くのです。ですから地震計で揺れを記録するには、小さな動かないものを作り、それにペンを取り付けておいた方が簡単です。今からその小さな動かないものを見せますので、よーく見ていて下さい。とても簡単です。糸に重りを吊るしただけです。

「糸を左右に動かします。ゆっくり動かすと重りも動きますが、地震と同じくらいの速さで動かします。1秒に3回ぐらい動かします。ほら、動かないでしょう。手の動かす幅を10センチにしますよ。ほら、こんなに動かしても動きません。」


(上:不動計ではなく地震計です)

(上:遅く振っても動きません。ただし、とてもゆっくり動かすと動きます。)

(上:この場合の音は空気中を伝わる縦波です。)

<評価基準>
1 自然事象への関心・意欲・態度
 B 学習プリントを自分の体験を交えて丁寧にまとめることができる

2 科学的な思考
 B 縦波と横波の違いを正しく捉えることができる

3 実験・観察の技能・表現
 B 地震計の仕組みを誰が見ても分かるようにスケッチすることができる

4 自然事象についての知識・理解
 B 初期微動と主要動を正しく理解し説明することができる


授業を終えて
 縦波と横波の説明は、難しいのでほどほどに切り上げほうが無難です。例年は直径5センチメートルのバネを使って説明しますが、今年は2種類の振り子(?)を利用しました。生徒の理解度は上々でしたが、若干の注意点を記録しておきます。

よこ波の説明(糸で吊るした乾電池を使って)
 腕を左右に振って横波を説明した後、腕を前後に振ってみせるます。すると、多くの生徒がたて波であると勘違いします。この間違いを直すには、左右に動かした腕を水平に動かしたまま、ゆっくり腕の動きを回転させて、前後の動きに変換さえれば良いでしょう。それでも納得しない生徒には、糸を吊るした乾電池を持ったまま縦揺れを見せます。乾電池は静止しているどころか、ぴょんぴょんと上下に跳ねますので、全く違う動きであることが一目瞭然になります。

たて波の説明
 同様にして、つる巻きばねに吊るした乾電池でたて波を説明すれば良いと思いますが、深追いは失敗のもとです。上下方向のたて波はすぐに理解できても、水平方向のたて波は説明も理解も難しい。授業の最後に、「スピーカーから音が出る時、スピーカーが動いていますが、それはたて波ですか横波ですか。」と発問したときには、正解率および理解度は70%でした。正解は『たて波』です。

 いずれにしても、中学校3年までのレベルでたて波よこ波を理解させるのは非常に難しいので、「初めは縦に揺れて、それから横に揺れるよ。」で十分であり、それ以上の説明はタイミングよく切り上げることが肝心である。途中で止めれるようになったら、中学校理科の教師としては達人の域に入っている。

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