このページは中学校1年理科『物理』/takaの授業記録2002です

 実験6 太陽で虹をつくろう
              
                   2003 1 29(水)
                   第2理科室、校庭


 三角プリズムを使うと太陽光線を簡単に分解することができます。初めに
 これを使って美しいスペクトルを観察します。その後、時間があればホー
 スで水を捲いて虹を作ることにしましょう。原理は同じです。

  
  (上:教室正面につくられた太陽のスペクトル)


 <授業の流れ>
 1 太陽で虹をつくる(三角プリズム)

  「虹を見たことはありますか。」
  「みなさんあるようですね。」
  「とても綺麗な7色ですが、今日はもっと綺麗な虹をつくります。」
  「作り方はとっても簡単で、この小さなガラスでつくります。」
  「三角形の柱、三角柱のガラス、三角プリズムでつくります。」
  「角度を調節すると、太陽の光が分解され、7色のスペクトルになりますよ。」
  「さあ、暗幕を閉めて下さい。」
  「少しだけ隙間を明けて、直射日光のところに三角プリズムを置きます。」
  「どこかに、虹ができていませんか。」
  「探して下さい。」
  「ほら、あそこにできていますね。」
  「プリズムの角度を変えて、何とか黒板のところに移動させたいのですが、、、」
  「上手くいきました。」
  
  (上:色調補正をしていません。画面の角度を変えて見て下さい。)
   美しい階調がでなければあなたのパソコンの設定が悪いか、買い換えの時期かも知れません。


  「さて、みなさんに色の質問です。」
  「(赤を指して)これは何色ですか?」
  「(オレンジを指して)これは?」
  (省略)
  「(紫色を指して)これは?」
  「(紫の下を指して)これは?」
  「えっ、見えませんか。」
  「人間には見えないけれど、昆虫は見えるんですよ。」
  「紫の外だから、何線ですか?」
  「そうですね、紫外線といいます。」
  「さらに外側にはX線や放射線あります。」
  「逆に、(赤の上を指して)ここに色が見えますか?」
  「人間の目には見えませんが、手を当てると暖かいことが分かります。」
  「先ほどの紫外線は手を当てても日焼けするだけで暖かくありませんが、ここは暖かいです。」
  「この部分を赤外線、熱線と言います。」

 2 三角プリズムによる分光
  「では、太陽光線が分光される理由をまとめましょう。」
  「大きな三角プリズムを書きます。」
  「太陽の光を当てますが、プリズムの下側から当てて下さい。」
  「本当は上から当てたいのですが、光が黒板のように屈折するからです。」

  (上:三角プリズムを使うと、光は連続2回屈折する。『空気→プリズム』と『プリズム→空気』の
  2回である。上の図では、『空気→プリズム』の屈折方向は正しいが、『プリズム→空気』の屈折方
  向が間違っている。
正しいのは、赤だけで、紫では完全に逆方向になっているので注意! ただし、
  授業の現場では、この点を正確に指導するより、「太陽に含まれる光がプリズムで屈折し、7つの色
  に分解される。」ことに重点をおくこと。また、『屈折する角度』は誤りで、『屈折率』が正しい。
  
2004aug28加筆
  ・ 空が青い理由や夕焼けが赤い理由は、口頭で説明する
  ・ X線のレントゲンの話、有害光線の話も同様である
  (
X線は屈折しないので、上の図は完全に間違っている。同じ図に記入するなら、赤外線の上の熱線
  と同じ位置になり、矛盾を生じる。波長だけに着目すれば、赤外線→赤→黄→・・・→紫→紫外線→
  X線の順になるが、実際のところX線はほどんど屈折しない。
2004aug28加筆
  ・ 詳しく説明し過ぎると混乱するので板書しない方が良い。

 3 虹ができる理由
  「三角プリズムで太陽光線が分光される理由は何ですか。」
  「キーワードは1つです。」
  「簡単ですね、屈折です。」
  「自分の言葉でまとめなさい。」
  
  (上:Bさんの学習プリント)

  
  「水を捲いてつくる虹も同じ理由です。」
  「空気中にある水滴によって光が分光されるからです。」

 4 光源とは
  ・ 太陽、懐中電灯、テレビのように光を出すものを光源と言う

  その後、教室の蛍光灯に色セロファンを貼って電気をつけた。
  紫色が一番強烈だった。

 5 光の三原色
  絵画の世界では『赤』『黄』『青』であるが、光の世界では『黄』『緑』になる。
  正確には赤も青も異なる色で、それぞれ「マゼンタ」と「レッド」、「シアン」と
  「ブルー」である。
  

  光の3原色を説明するためには、テレビ画面をルーペで観察させればイチコロですが
  ここでは読者のみなさんのために、画像処理した太陽スペクトルを紹介しましょう。
  処理といっても、コントラストを高くしただけです。


 
  → 太陽スペクトルを直接見たい方はクリックして下さい。

 ◎ Cさんの学習プリント
 

  ◎ Dさんの学習プリント



 <評価基準>
 1 自然事象への関心・意欲・態度
  A 家庭で虹を作り、簡単なレポートを提出することができる
  B 持参した色鉛筆で7色の虹を美しくまとめることができる

 2 科学的な思考
  A 空が青い理由、夕焼けが赤い理由を光の屈折率から説明することができる
  B 虹ができる理由を、光の成分の屈折率の違いから説明することができる

 3 実験・観察の技能・表現
  B 三角プリズムによる太陽光線の分光を正しく書くことができる

 4 自然事象についての知識・理解
  B 太陽光線には、さまざまな成分が含まれていることが理解できる
  B 光源の意味を正しく説明することができる
  B ほとんどの物は、光を反射することによって見えることを説明できる


  授業を終えて
  光の3原色に時間を使い過ぎ、校庭で水を捲いて虹をつくる作戦は宿題になった。
  本当に興味関心がある生徒はやってくると思う。そうでなければ、本物ではない。

  光の3原色のところでは、顕微鏡用蛍光灯に『赤』『緑』『青』の色セロファン
  をつけ、天井に向かって順に点灯させた。赤は怪しい光となり、青は人気の高い
  光となった。それらを混色したものは先に述べた通りであるが、全て点灯すると
  白色となる。これは意外な発見だった。尚、色セロファンは「選択理科」の時間
  に準備、予備実験をした。

夕焼けが赤い理由、空が青い理由

2008年11月30日追記

 夕焼けが赤い理由と空が青い理由は、大人にとって興味深いことです。時間があれば、次の説明を参考にして、話をすると良いでしょう。ただし、これは時間の問題もあるので、一方的な講議形式にならざるを得ないと思います。

(1)太陽から出る光は、24時間変わらない(朝も昼も夕方も同じ)
(2)赤から紫までの全ての色を含む太陽の光は、『白』に見える

(3)したがって、地球に大気がなかったら、太陽はいつでも『白』に見える
(4)その一方、地球に大気がなかったら、空は『黒』に見える
 ※ なぜなら、暗黒の宇宙を直接見ることになるからである
 ※ 真っ黒な空に、光源となる星がまたたいているのが見える

(5)しかし、地球には『大気』は太陽の光を散乱させ、『空の色』を作る

(6)空が青く見えるのは、大気が『青や紫』の光を散乱させているからである
 ※ 青は、赤よりも散乱されやすい

(7)朝焼けと夕焼けが赤いのは、太陽の光が斜めに入射することから説明できる
 ※ 地表に届くまでに、『青』は散乱され尽される
 ※ 赤から橙までの光が散乱しているのが見える

 さて、私の授業では、いくつかの学級で説明しましたが、時間の関係で板書できませんでした。興味ある生徒は、以下のように自分でまとめましたが、重大な間違いをしています。ただし、この生徒は(たぶん)、という記述しているように、自分でも正しくないことを感じています。


※この生徒はとても優秀です! 私の説明が悪いのです。すみません!

 このような場合は、プリント点検の時に訂正するようにしましょう。また、生徒が自分の頭の中で整理し直すためには、少なくとも10分は必要です。あなたも自身もそうだと思いますので、無理しないように授業を展開して下さい。

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