このページは中学校1年理科『物理』/takaの授業記録2002です

 実験8 凸レンズの見え方(実像)
              
                   2003 2 4(火)
                   第2理科室

  凸レンズがつくる像には『実像』と『虚像』の2つがある。実像はスクリーンな
  どに写し出された倒立像(写真下)である。虚像については2時間後に調べる。

  (上:ホームページを作るために手伝ってもらった)
  詳細は、以下の演示実験を参照して下さい。


 <授業の流れ>
 1 演示実験『凸レンズのつくる像』

  「暗幕を閉めて下さい。」
  「スクリーンの前に電灯を置いて、スクリーンを照らします。」
  「スクリーンが明るくなっただけですね。」
  「これから、その間に凸レンズを置きます。」
  「すると、蛍光灯の像が逆さまに写るので見て下さい。」
  「その前に、電灯の特徴を調べておきます。」
  「電球は青色で、中心にnationalの文字が書いてあります。」
  「電灯の傘には、熱を逃がすための穴が空いていますね。」
  「それでは、凸レンズを入れてみますよ。」
  「うまく、焦点が合わないようですね。」
  「できました。」
  「大きな電灯が立体的に見えるでしょ。」
  (絵画では『空気遠近法』という。写真では『ぼけによる遠近感』という。)
  「もう1ケ所、ピントが合うところがあります。」
  「ほら、ここです。」
  「とっても小さく写ったので遠くの人は見えないかも知れませんね。」

(上左右:電灯の位置をそのままにして、凸レンズの位置を変えた。)

  「次に、電灯と凸レンズの距離を変えてみます。」
  「焦点距離の2倍にすると、同じ大きさに写るのでやってみましょう。」
  「焦点距離が20cmセンチなので、これぐらいかな。」
  「うまくできました。」
  「次に、凸レンズだけを近付けてみます。」
  「ほら、実像は大きくなりますね。」


 2 実像の作図
  先に本校1年生の実態を述べると、平行線の意味を理解しているのは80%である。
  平行線を引きなさいと指示しても、「先生、平行って何?」の質問が教室のあちら
  こちらから聞こえる。学習プリントに印刷しておいた直線の上に、高さ1.5cmのロ
  ウソクを書くことはできても、その先端から直線と平行な直線を書くことはできな
  い。とりあえず、「1.5cmの幅で書きなさい」と説明することで納得させたものの、
  それ以上の深追いは教師の自殺行為になる。三角定規を使って平行線を書かせるの
  は、まさにそれ! また、任意の2つの点を結んで直線を書くことに至福の喜びを
  感じる生徒が30%いた。生まれて初めて、傾いた直線を書いたのだろう。私は、
  そんな彼等の喜びを受け止め「すごいねー。」と感動するのである。/といった実
  態なので、4クラスうち、初めの3クラスは難解な説明となってしまった。毎時間
  改良を加え、作図する喜びを共有することができたのは最後の1クラスだった。そ
  の他の理科的な狙いは排除することが肝要である。

  最終的な説明手順は、次時に紹介する。

  ◎ A君の学習プリント
   ・ 1番初めのクラス
   ・ 炎の先端とレンズの中心を通る直線は、感動を呼んでいた
  

  ◎ Bさんの学習プリント
   ・ 3番目のクラス

  ◎ C君の学習プリント
   ・ これが最終クラス



 <評価基準>
 1 自然事象への関心・意欲・態度
  B 定規を使って美しくまとめることができる

 2 科学的な思考
  B 凸レンズが作る実像は、2本の直線によって求めれることを理解できる

 3 実験・観察の技能・表現
  A 実像の大きさを、誤差±1mmで求めることができる
  B 実像の大きさを、誤差±2mmで求めることができる
  B レンズに垂直な光を、焦点を通して書くことができる
  B レンズの中心を通る光を、直進して書くことができる

 4 自然事象についての知識・理解
  B 凸レンズが作る実像は、倒立像であることを理解できる
  B 凸レンズの基準は、焦点距離の2倍であることを理解できる


  授業を終えて
  準備室に生徒実験用『光学台』があるので、授業後半に実験させようと思っていたが
  失敗。やるなら、一番初めにやれば良かったと思う。揺らぐロウソクの炎を観察させ、
  凸レンズを通して写った実像の大きさが変化することを確かめさせ、最後に実像の大
  きさとロウソクの大きさが同じになる距離を求めさせれば良かったと反省している。
  「正しく求めることができた班には、『合格印』をあげます。」と動機づければ、本
  校生徒の実験技能は驚くべき水準を示したと思う。検証実験ではなく、いきなり定量
  的な実験をさせても良かったと思う。

  ああ反省。

  かくなる上は、美しい図を書く喜びを体験させるしかないのである。次時は作図に専
  念する。

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