このページは中学校1年理科『物理』/takaの授業記録2002です

 実験12 糸電話、音叉(おんさ)
              
                   2003 2 17(月)
                   第2理科室、校庭

 小学校までに糸電話で遊んだ経験のある生徒は、各クラス数名以下でした。それなら1時間遊ばせても良いのですが、きちんと時間をとって発見・感想をまとめさせることで、遊びが科学に変わります。しっかり実習させたいのですが、理科に割り当てられた年間授業時間数が限られているので、泣く泣く授業後半にまとめ、そして、音叉の学習を行いました。

2023年6月追記
音叉に関する授業記録を調べたところ、記述内容が弱い。写真も少ない。そこで、本ページに音叉に関する内容を追記しました。


上:先生は高度な遊びになるように見守ります。

 <授業の流れ>
 1 糸電話の原理

  「糸電話で聞こえるのは何故でしょう?」
  ・ 紙コップの底が振動するから
  ・ 紙コップの中の空気が振動するから
  ・ 声で空気を振動させるから
  ・ 糸があるから
  ・ 糸が振動するから
  ・ 耳があるから

 2 糸電話で遊ぶ
  <注意点>
  ・ 難しいことを言わない
  ・ 糸の長さを50mにしても聞こえる
  ・ 糸はピンと張らないと聞こえない
  ・ 盗聴することもできる
  ・ 糸を結び直してもよい
  ・ 紙コップに穴をあけなくても良い
  ・ セロテープで止めるだけでよい
  

  
  (上:なかなかのアイデアです)

 


  (上:両耳につけると、非常に良く聞こえます)

  


  (上:糸が絡まっても、さらに面白くなることもあります)

 

  「それでは、教室に戻りなさい。」
  「感想と発見をプリントにまとめなさい。」
  「5分後に、音叉の実験をします。」
  

3 音叉を使った「共鳴」、「うなり」の学習
 音叉の学習内容は3つです。1つめは音叉と共鳴箱の紹介、2つめは音叉の共鳴、3つめは音叉によるうなりです。

(1)音叉と共鳴箱の紹介
 1)音叉を共鳴箱から外し、
 2)音叉を叩く。
 3)そして、音叉だけではあまり聞こえないことを確認する。
 次に、
 4)音叉を叩き、振動している共鳴箱の中心に当てると、
 5)途端に、音が大きくなることを確認する。


上:音叉を共鳴箱に取り付け、音叉を振動させるMr.Taka
音叉は一定の振動数で振動、共鳴箱は音叉の振動を増幅
この音叉は振動数440Hz(ラの音)

 

(2)音叉の共鳴
 1)音叉を共鳴箱に取り付け、2つ並べる(距離:70cm)。
 2)そして、一方の音叉を叩き、
 3)叩いた音叉を止める。
 すると、
 4)叩いていない方の音叉が鳴っていること確認する。
 5)音叉の距離を2mほど離して、共鳴実験を行う。
 6)音叉の距離を5mほど離して、共鳴実験を行う。
  ※共鳴箱の口を、互いに正確に向け合うとよく共鳴する。
 共鳴は音叉ではなくても、振動数が同じ物体どうしなら起こる。


上:共鳴箱にある蓋を開くと、空気を振動させることができない=音が出ない。

 

(3)音叉のうなり
 1)共鳴箱に固定した音叉を2つ並べる(距離:70cm)
 2)一方の音叉に重りをつける
  
  (上:手前の音叉には黒い重りが付いている)

 3)叩いて、音が低くなったことを確認する
 4)その理由を確認する
 次は、音叉に重りをつけます。」
 「どんな音になるでしょう。」
 「音の大きさは、ほどんど変わりませんね。」
 「何が変わったのですか?」
 「良く、聞いて下さい。」
 「重くなったので、振動数が変わるから、、、叩きますよ。」
 「分かりましたか?」
 「そうですね、振動数が減って低い音になりました。」

 5)一方を叩いても、他方が共鳴しないことを確認する
 6)逆を叩いても、共鳴しないことを確認する
  
 上2枚:振動数が同じ場合に共鳴する。
   今回の実験に使用した音叉は振動数440Hz(ラの音)
   一方におもりをつけると振動数が下がって共鳴しない。

 7)両方同時に叩く
 8)両者の間に『うなり』が生じていることを確認する
 9)重りの位置を微妙に変えて、『うなり』の変化を確認する
 10)9)をくり返して楽しむ


上:Cさんの学習プリント(部分)


◎ Dさんの学習プリント



◎ E君の学習プリント




 <評価基準>
 1 自然事象への関心・意欲・態度
  A 自宅から紙コップ、糸を持参することができる
  B 糸電話で楽しく遊ぶことができる

 2 科学的な思考
  A 縦ゆれ(疎密波)が伝達するしくみを実験から確かめることができる
  B 糸電話で音が伝わるしくみを実験から考えることができる

 3 実験・観察の技能・表現
  A 糸電話を発展的に工夫して実験することができる
  B 性能のよい糸電話を作ることができる

 4 自然事象についての知識・理解
  B 音は、糸を通して伝わることが理解できる
  B 音叉の共鳴とうなりについて正しく理解できる

 


授業を終えて
 子どもは遊ばせておけば、いろいろな発見をする。それを放置すると幼稚な遊びで終わってしまうが、科学的にまとめ考察することで、より高度な遊びに発展する。理科の目標は遊ぶことかも知れない。

← 前 時
実験11 いろいろな音

次 時 →
実験13 ストローの笛

 

↑ TOP

[→home(C) 2003 Fukuchi Takahiro