このページは中学校1年理科『物理』/takaの授業記録2002です

力を矢印で表わす
              
                   2003 3 10(月)
                   第2理科室

今日は生徒実験を行わなかった。
また、新しい指導要領によるいくつかの変更があった。

→1999年度の実践『力を矢印で表わす』も参考にして下さい


<授業の流れ>
1 力の3要素

 ・ 力は矢印で表わすことができる
 ・ 1本の矢印には、3つの要素が含まれている

力の3要素
1 大きさ
2 方向
3 作用点

(上:力の3要素)

2 力がつり合う条件
 前の指導要領では「3つ以上の力」まで学習したが、今回のものでは「2つの力」でよい。あまりに簡単なので、教える方(教師)に力が入り難い。

<2つの力がつりあう条件3つ>
1 2つの力が一直線上にあること
2 それらの力の大きさが等しいこと
3 それらの向きが正反対であること


(上:机上で説明しても分からない)

脇田先生が、厚紙に糸とをつけたものを用意しれたら、すぐに理解できた。

3 力の単位
 前の指導要領では、力の単位は『g重』『Kg重』だった。これは、質量の単位『g』『Kg』と比較することが安易、かつ、力の概念を指導するのに適した単位だった。しかし、今の指導要領から『N』に変わった。これは事実上、質量と関連させて学習させることを不可能にさせたと言って良い。中学校レベルでは、質量60Kgの人の体重は60Kg重と指導すれば良い。どうして、質量60Kgの人の体重が600Nとして指導する必要があるのか分からない。混乱を招くだけである。

<評価基準>
1 自然事象への関心・意欲・態度
 B 学習プリントを丁寧にまとめることができる
 B 自分が予想した2力のつり合い条件を、黒板に発表することができる

2 科学的な思考
 B 地球上と月面上における重力の違いを説明することができる

3 実験・観察の技能・表現
 B 矢印を使って、力を正確に書き表わすことができる

4 自然事象についての知識・理解
 B 力の3要素を理解し、力を矢印で表わすことができる 
 B 力の単位がNであることを理解できる


授業を終えて
 1999年度の方が生徒の理解度が高く、面白い授業だった。

 ほとんど同じ内容なのに、私の指導技術も向上しているのに、とても微妙なところで理解度が大きく左右されることを再認識しました。率直な意見として、文部科学省は責任をとってもらいたいです。

 力の単位にニュートンを使うことは、中学生にとって科学的な思考の手助けとなりません。むしろ、力や圧力の概念を理解を困難にしたり、2年(地学)で気圧の学習をするときにも役立ちませんでした。生徒にとって、重さ質量の違いを理解するだけでも困難なのに、それらの複雑な単位変換まで余儀無くさせる理由はまったく理解できません。指導要領(2002年度)では、力の大きさについて詳しく学習する必要はないとしていますが、現実の高校入試に対応するためには従来と同レベルの計算問題を想定する必要があります。

 私は、子どもの発達段階に適した方法として、従来通りの単位Kg重を使うことを強く推薦します。質量の単位Kgをつけることは、日本人の素晴らしい機転と応用力のたまものです。アルファベットと漢字が共存する単位! 本当に素晴らしいと思います。世界単位系に合わせ、子どもの科学的思考の発達を停滞させる必要はありません。発達段階に応じて単位は使い分ければ良いのです。その証拠として、あなたは、62Kgではなく620ニュートンと表示してある体重計を見たことがありますか。もっと正確に言うなら、62Kgではなく62Kg重ですが、、、

補足1 62キロは質量の単位(体重の単位ではありません)
補足2 旧指導要領によれば
62kg重
補足3 正確には62Kg=620Nではありません。重力加速度で補正する必要があります。

→1999年度の実践『力を矢印で表わす』も参考にして下さい

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