このページは中学校2年理科『生物』/takaの授業記録2003です

観察8 神 経
              
                   2003 11 7(金)
                   各教室

 落ちてきた定規をキャッチして、その反応速度を調べた。これは『反射神経』を調べるのではなく、もう少しだけ正確に言うと『感覚神経と反射神経を伝わる時間』を調べる実験である。


(上:物差を落とす人は、その様子が見えないように後ろに立たせた)


授業の流れ
1 神経の分類

(1) 中枢神経(脳、脊髄)
(2) 末梢神経
   1) 感覚神経(感覚器官→ 中枢神経)
   2) 運動神経(中枢神経→ 運動器官、筋肉)

指導のポイント
 神経がつく新出単語は4つ。その中で、生徒に馴染み深い運動神経の位置を考えさせることで学習意欲が高まる。また、これらの語句は教科書に記述されているので、各自で拾わせるようにすればよい。語句の説明は、代表生徒が黒板に発表してからで良い。具体的には、下の破線部分の穴埋めをさせた。

(上:末梢神経のところは、感覚神経→
中枢神経、中枢神経→筋肉である)

説明の例
 神経は大きく2つに分類されます。身体の中心を通っている中枢神経と、そこから広がっている末梢神経です。人間を1本の木に例えると、太い幹が中枢神経で、細い枝が末梢神経です。テストでは平仮名で答えれば結構ですが、末梢神経の漢字を紹介しますと、末
すえの梢こずえと書きます。さて、運動神経はどこに入るか確認してみると、ここです。中枢神経から筋肉に命令を伝える部分です。反対に、目・耳・皮膚などの感覚器官から中枢神経に信号を伝えるものを感覚神経と言います。

2 2種類の運動
(1) 随意運動ずいいうんどう
・ 意識的にコントロールできる運動
・ 目→(感覚神経)→ 脊髄→ 大脳→ 脊髄→(運動神経)→ 筋肉
・ 目を開いたまま、顔や手を動かすことができる
(2) 反 射
・ 無意識にしてしまう運動
・ 目→(感覚神経)→ 脊髄→(運動神経)→ 筋肉
・ 目を閉じることしかできない
・ 脊髄では計算できない(同じ反応をする)
・ 経路が短いので反応時間が短い
・ 実際に熱い(目に入りそうな)ことは、あとから認識する

(上:Bさんの学習プリント)

随意運動の説明例
 「随意運動という言葉を覚える必要はないのですが、今、国語で『随筆』を学習しているので、ついでに覚えてしまいましょう。国語の『随筆』の意味は何でしたか?」
 「あれ! 誰も知らないのですか?」
 「随筆とは、筆にしたがって気ままに書く、ということなので、随意運動は、自分の意識にしたがって筋肉を動かすことです。ですから、ちょっと考えてみますよ。突然目の前にボールが飛んできた場合、つまり、運動場で遊んでいて、振り向いたら目の前にボールが飛んできた場合、あなたはどうしますか?」
 「えっ、目をつむる! それは反射ですから、随意運動を答えて下さい。」
 「打ち返す! いいですねえ。」
 「よける! いいですねえ。」
 「レシーブする! いいですねえ。」
 「ヘディングする! いいですねえ。」
 「など、無意識に目を閉じるのではく、自分の大脳で考えて行う行動を随意運動と言います。」

3 実験『反応時間を調べる』

説明の例
 「小学校や家でやった人もいると思いますが、定規を落として、何cmで掴まえることができるか実験してみましょう。その前に、どこの神経を調べるのかその流れをまとめましょう。黒板に流れ図を書くので、空欄に適当な語句を入れて下さい。1番大切なポイントは、脳か脊髄かです。黒板には『脳』と発表してもらいましたが、それで良いですか。賛成する人は手を挙げて下さい。」

目(感覚器官)
  ↓
感覚神経
  ↓
脊 髄
  ↓
大 脳
  ↓
脊 髄
  ↓
運動神経
  ↓
指の筋肉
「そうですね、これは大脳で計算してから掴むので『随意ずいい運動』です。」
「それでは、実験に移りますが、ちょっとした工夫をします。まず、落とす人の様子が見えないように1メートル定規を用意し、落とす人は掴まえる人の後ろに立ちます。掴まえる人は、腕が動かないように机に置き、親指と人さし指だけを机の外に置きます。指は2本で十分です。スタート位置は定規の下から10cmのところでを準備しましょう。そして、落とすタイミングは、先生がスタートと言ってから5秒以内にします。それでは1列目から順にやります。なお、掴まえる人は定規しか見てはいけません。」

4 雑学
・ 神経の基本単位はニューロン
・ ニューロンの束は、20才まで発達するが、その後は衰え、伝達速度も遅くなる
・ 感覚器官から得た情報は、電気信号になって大脳に伝わる
・ 大脳に伝わった信号は、それが何であるか認識される


評価基準
1 自然事象への関心・意欲・態度
 B 神経について、正確かつ丁寧にまとめることができる

2 科学的な思考
 B 随意運動と反射の違いを、具体的な運動から考えることができる

3 実験・観察の技能・表現
 B 実験『定規をキャッチ!』の実験結果をまとめることができる

4 自然事象についての知識・理解
 B 随意運動と反射の意味や経路の違いを、正しく理解できる


授業を終えて
 実験『定規をキャッチ!』の導入では、スポーツが得意な生徒2人を前に呼び、並んで教卓に座らせてから、教師が定規2本を同時に落として競争させると盛り上がった。


(上:授業が終わってから、シャープペンで遊ぶ生徒達)

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