このページは中学校2年理科『生物』/takaの授業記録2003です

観察15 腎臓と肝臓
                   2003 12 
                   各教室

 前時は血液について学習したので、今日は血液をきれいにする腎臓について学習しましょう。腎臓だけに焦点をあてれば時間の余裕ができるので、幅広い学習ができるでしょう。それでも時間があまる場合は、市販の問題プリントを使ってこれまでの復習をしても良いと思います。

図1 Aさんの学習プリントの部分


授業の流れ

1 尿について
 腎臓について知っている生徒はほとんどいません。尿を作るところ、といってもピンと来ないので、図2のように尿に焦点を当てると良いでしょう。そして、尿を飲む話をして生徒の興味感心を一気に高めます。


図2 尿についてまとめたB君の学習プリント

尿とは
1 血液中の不要物
2 尿素を含む
3 ビタミンやカルシウムなどの有効成分が多量に含まれる
4 汗とほぼ同じ成分
5 血液中の血漿成分と考えることもできる


尿を飲む話

 先生がまだ若い頃につき合っていた女の子の話ですが、彼女はとっても可愛いのですが、ある日、先生に、「私、毎朝オシッコを飲むのよ」と告白しました。めちゃくちゃ吃驚しましたが、彼女はとても可愛いのので、先生も飲んでみることにしました。もちろん、自分のオシッコをこっそり、自分1人で飲むのです。もちろん、彼女の言っていることが本当かどうか自分で確かめました。本で調べると、尿は体に良いらしいし、とくに、日本人に不足しがちなカルシウムを大量に含んでいるらしい。カルシウムは簡単には吸収されるような物質ではないけれど、一旦体内に入って半分分解された状態になっているカルシウムはとてもよく吸収されるので良いらしいのです。他の物質も同じで、一回では吸収できなかったものが、尿には大量に含まれているので、それを飲むととても健康に良いらしいのです。それで、初めは勇気がいりましたが、飲んでいるうちにだんだん慣れてきました。毎日味が違うことも分かりました。とくに、お酒をたくさん飲んだ日の次、二日酔いの朝はとても苦くて飲めるものではありません。劇まずです。でも、それを飲むと、不思議と元気になるものですから、今ではおしっこを滅多に飲まなくなりましたが、それでも二日酔いの日だけは飲みます。本当に元気になるのです。気分だけかも知れませんがね・・・。もう少し付け加えておくと、出たばかりの尿は臭くありません。ただし、健康になる物質がたくさんはいっているということは、とても腐りやすいということなので、すぐに飲まないと臭くなるだけでなく、腹痛ではすまないことになります。暖かいうちに飲まなければなりません。さらに付け加えますと、尿は血液中の不要物から作られたものなので、もともと血液と同じです。この前学習した血液中の血漿成分そのもの、と考えても間違いではありません。注射しても死なないばかりか、元気になるぐらいのものです。ただし、自分で注射してはいけませんよ。

2 腎臓や膀胱などの位置
 次に、いつもと同じ人型を使って、人体における腎臓と膀胱などの位置を確認します。図3のようにスケッチをした後は、各自の身体の腎臓と膀胱の位置を確認させて下さい。

確認するポイント

1 腎 臓
2 輸尿管
3 膀 胱
4 尿 道

※ 図3に書かれてい動脈と静脈は、ここでは説明しません。自分の腎臓の位置を確認した後、腎臓のはたらきを説明する時に書き加えるようにさせます。

図3 腎臓や膀胱などの位置

自分の腎臓を確かめる
 「握りこぶしを作って下さい。これが腎臓の大きさです。腎臓は2つありますが、その位置は横隔膜の下です。横隔膜の上には肺と心臓しかありませんが、その下には胃、小腸、大腸などの消化器官の他に、腎臓や膀胱などの器官が入っています。次に、膀胱を押さえて下さい。トイレに行きたくなった時に叩かれると、とても危険な場所です。直撃されると漏れてしまうかもしれませんからね。膀胱から逆に辿っていくと、輸尿管、腎臓となります。ですから、腎臓は、この辺りに左右2つあります。先生も正確な位置は分かりませんが、大体、この辺りです。

3 腎臓の内部構造とはたらき
 自分の腎臓の位置を確認したところで、今度は腎臓内部のつくりを調べます。まず、図3のように腎臓に出入りしている動脈と静脈を書き込んで下さい。これらは心臓から直結していると考えても間違いではありません。血液をきれいにするはたらきをする腎臓は、それほど重要な位置にあるのです。次に、図4のように、腎臓内部を2段階に分けて拡大して下さい。

腎臓の内部構造
1 無数の毛細血管が走っている
2 心臓と直結しているとも考えられる
3 血液のろ過器であると考えれる
※ 腎臓病の人は血液をきれいにするために透析を行う必要がある。1週間に1度、数時間以上かけて自分の血液を全部取り出して、全部ろ過すると考えても間違いではない。

腎臓のはたらき
1 血液の不要物をこしとる
2 肝臓でつくった尿素を血液から取り出す
3 
※ 腎臓は尿素をつくりません。尿を作ります。
※ 尿素を作るのは肝臓です。
※ 食べ過ぎや飲み過ぎの人は、肝臓や腎臓がはたらき過ぎることで壊れます


図4 腎臓内部の拡大図

 これらは詳細に説明するときりがないので、生徒の反応を確かめながら話を進めて下さい。血液中の不要物の他に、食べ過ぎたものが排出されることを付け加えると良いでしょう。ビタミン剤をとった後は、黄色い尿が出る話をすれば、それが過剰にとり過ぎたビタミンであることと結びつきます。また、その場合は、尿に独特なビタミンの臭いも付きます。さらに、先程話をした、尿を飲む話を付け加えても良いでしょう。

4 肝臓のついて
 本時の最後に肝臓のはたらきをまとめます。今日は、胆汁をつくる消化器官としてのはたらきではなく、有害なアンモニアを無害な尿素に変える器官として着目させます。また、肝臓は養分の貯蔵庫としてのはたらきもしています。本当に働き者ですね(図5)。


図5 肝臓のはたらきをまとめたCさんの学習プリント

5 本時のまとめ
 自由に本時のまとめ、感想を書かせます。


◎ Aさんの学習プリント

◎ Bさんの学習プリント

◎ N君の学習プリント


授業を終えて
 人体に関する授業は今日で終わりました。これまでを振り返ってみると、たくさんの時間を復習に割いたり、散漫な内容の授業があることに気づきました。その原因について考察すると、一般的に中学2年生は中だるみの学年になること、2学期は体育大会や合唱コンクール等大きな行事が重なっているので授業への集中力がなくなることがあげれます。もちろん、教師も同じです。しかし、中だるみが悪いとは思いません。中学校では、入学式と卒業式をポイントして緊張しなければなりませんから、自然の摂理としてまん中はたるみます。たるまなければ、緊張の糸は張れませんし、張ったとしても糸は切れます。今の社会は、教育に過剰な期待をしたり、中だるみを許さないような風潮があるので危険です。実際、生徒の間では、「切れる」「まじで切れるよ」「もう切れそう」「切れちゃった」などの言葉が流行しています。切れないためには、たるみがあればよいのです。大人は、ゆとりという言葉を使いますが、綺麗な言葉は有害です。飾った言葉を使うことで、子ども達を堕落させています。中学生の目線に立った言葉を適切に使い、自分はたるんでいると自覚しながらも緊張の時を待つことが大切なのです。中学校で学習に励むものにとって、中だるみは許されてもゆとりは有害である、言い切ってよい時期がきたと感じています。(2005年夏に記す)

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