このページは中学校2年理科『化学』/takaの授業記録2003です

 実験4 銅の酸化
                                   2004 1 28(水)
                                   第1理科室

 前時の鉄に続いて、『銅』の酸化。今日は粉沫の『銅』を使う。火力を最大にすれば、悪くないデータが得られる。また、酸化される時の色の変化は、とても綺麗なので生徒達は喜ぶ。

銅+ 酸素→ 酸化銅
2Cu+ O
→ 2CuO

(写真右)燃焼皿に銅粉0.5gをのせて加熱する。右下から酸化が始まっている。


<班で準備するもの>
・ 銅粉(6g)
・ 燃焼皿
・ 薬さじ
・ ガスバーナー
・ 三脚と金網
・ 濡れたぞうきん
・ ピンセット(2)
・ 薬包紙
・ 電子てんびん
・ セロハンテープ
<教師が準備するもの>
・ 同 左
・ 回収した酸化銅をいれるビーカー

 <授業の流れ>
 1 導入から予想・実験手順まで

  「今日は銅を空気中で加熱します。方法は、前の時間の鉄とほぼ同じですが、今日は『粉』です。
  初めの重さを測ってから、燃焼皿にのせて加熱し、それだけ酸素が化合したか調べます。銅がた
  っぷりあれば、好きな重さで実験してもらいたいのですが、ちょっと足りないので、各班に6g
  ずつ配ります。それを上ざらてんびんを使って、0.5g、1g、1.5g、2gに分けて下さい。あ
  まった1gはプリントに貼るために残しておきます。」
  
  「さて、重さの測り方ですが、今日は薬包紙を使いません。直接、燃焼皿の入れて測って下さい。
  つまり、電子てんびんに燃焼皿を置いて、てんびんの目盛りを0にリセットして、そこに銅粉を
  少しずつ入れます。銅粉の入れ方も確認します。薬さじに銅粉を載せて、それを、薬さじの持っ
  ている部分を、とんとんとんと空いている方の指に当てて、目盛りを見ながら少しずつ入れます。
  薬さじを水平にしたままです。」

  「そして、燃焼皿に入れた銅粉を加熱するのですが、できるだけ皿いっぱいに広げてから加熱し
  て下さい。どうしてか分かりますか?」

  「そうですね。空気じゃなくて、酸素とたくさん反応させるためです。ガスバーナーの火力も最
  大にします。空気ネジをいっぱいに開いて、ごおーっと音がするまでにします。では、加熱しま
  すよ。見える人は見てて下さい(下の連続写真)。」


  「ほら、あっと言う間に変化します。綺麗ですね。その様子も発見として自分の言葉で記録し
  て下さい。反応が終わったと思っても、しばらく加熱し、さらに薬さじで掻き混ぜて下さい。
  下になっている銅もしっかり酸化させないと、実験データが悪くなります。完全に反応すると、
  炭のように真っ黒になります。そして、これ以上できなくいと判断したら電子てんびんで重さ
  を測りますが、無茶苦茶熱いので危険です。ピンセットで摘んだら、べたべたの雑巾の上に乗
  せて下さい。」

 「こんな感じ。(じゅうーーー)ね、火傷したら大変ですね。燃焼皿の下の部分だけでなく、横も冷して下さい(写真右)。」

「(じゅー、じゅー)そして、十分に冷えたら皿の下を見て、水で重さが変わらないか確認して・・・テッシュで拭かなくても、余熱で蒸発すると思います。上手に冷して下さい。」



  「そして、電子てんびんで測ったら終了です。黒板にデータを発表して、それをグラフに
  します。班員全員が早く正確にできた班には、銅を追加して、クラスのために2.5g、3g、
  3.5g、4gの実験データをとってもらいます。では、始め!」

 2 生徒実験

  教師は、机間巡視しながら安全を呼び掛ける。
  早くできた班には、適当な量の銅粉を追加する。

  次の観点などから、反応前と後の物質を調べさせる。
 
  <比較する観点>
  ・ 色
  ・ 手触り
  ・ におい
  ・ 磁 性
  ・ 電流の伝導性
  ・ 目で見た様子
  ・ その他

  

 ◎ 黒板に発表されたデータ
      はじめの重さ
        ↓
      加熱後の重さ
 
   
 3 実験データの処理(銅の酸化)

  「では、グラフの書き方を確認します。まず、原点は通りますか?」
  「はい、通りますね。銅粉0gをどれだけ加熱しても0です。」

 「次に、はじめの重さと加熱後の重さを使って点をとります。点をとったら、全ての点を通らない1本の線を書きます。つまり、定規を出して、原点に合わせて、グラフ上に書いた点の平均になるように定規を動かして、ちょうど真ん中になったら、すっと1本ひきます。これでできあがり。できた班から合格印を出しますが、横軸と縦軸の名前がないと合格にしません。」



 4 本時のまとめ

  (空気中で加熱する、化合・酸化)→ 酸化銅
  2Cu+ O→ 2CuO

 5 どうして重くなったのか?
  「銅は加熱すると、どうして重くなったのですか?」
  「はい、よく分かりましたね。酸素と化合した分だけ重くなったのですね。プリントにもまとめ
  ておきましょう。」
  「そして、途中から、どれだけ加熱しても重さが変わらなくなりましたね。これはどうしてですか?」
  「うーん、これは難しいかな? では、J君!」
  「正解。限界になったからですね。酸素と化合する割り合いには限界があるのですね。これもまと
  めてます。だから、銅を追加すればたくさんの酸素と反応しますが、その割り合いは一定なので、
  グラフにすると比例関係になるのです。まっすぐなグラフになった人は、正確な実験をしたことに
  なります。」




 <評価基準>
 1 自然事象への関心・意欲・態度
  B 学習プリントに、銅と酸化銅を添付できる

 2 科学的な思考
  A 他にも加熱すると重さが増える物質があることを推測できる
  B 銅と酸化銅が違う物質であることが理解できる

 3 実験・観察の技能・表現
  A 銅と化合する酸素の重さを実験から求め、グラフ化できる
  B 銅を加熱してできる酸化銅の正確に求められる
  C 安全に実験を行うことができる

 4 自然事象についての知識・理解
  A グラフ『銅と酸化銅の重さの関係』を正しく理解できる
  B 銅との酸化を正しく理解できる


  授業を終えて
  実験のポイントは、ガスバーナーの火力。空気ネジが外れる限界まで開き、過剰な空気で炎が
  消えるぐらいにごーおーーー、っとやる。そうすれば、ほぼ完全にした酸化した暗黒色の物質
  (酸化銅)になる。グラフにしても美しい。

  なお、酸化してできた酸化銅は『薬包紙』に包んで名前を書かせて保管し、この後で行う実験
  『酸化銅の還元』で使う。

  <参考試料>
  銅を使った硬貨
  500円: 
銅とニッケルの合金(白銅
  100円: 
銅とニッケルの合金(白銅
  50円: 
銅とニッケルの合金(白銅
  10円: 
銅とスズ・亜鉛の合金(青銅、青銅からできた錆『緑青ろくしょう』の色)
  
5円: 銅と亜鉛の合金(黄銅、真鍮しんちゅう

← 前 時
実験3 鉄を熱する(酸化)

次 時 →
実験5 マグネシウムの酸化

↑ TOP

[→home(C) 2004 Fukuchi Takahiro