このページは中学校2年理科『化学』/takaの授業記録2003です

 実験6 使い捨てカイロ(おだやかな酸化)
              
                   2004 2 2(月)
                   第1理科室

 化学反応式を使ってこれまでの実験をまとめるべきか、それとも、今日の実験で遊ぶべきか迷った。

 準備室で『カイロを作る』予備実験をすると、70度Cまで温度上がるので、そこそこに面白い結果が得られるが、問題点は『炭素』で理科中が汚れること。非常に細かい粒子なので、私の年老いた皮膚の奥深くまで侵入したものは簡単に取れない。水道水で洗う= 墨汁で洗う、という公式に気づくのに時間はかからなかった。

 さて、結論としては、もう1時間簡単で身近かな実験をする= 化学反応式に親近感が沸く、に期待して本時の実験に踏み切ったが、理科室が炭まるけになったことも予想通りであった。

(右:市販のカイロを分解してかき混ぜると温度が上昇する。どうしてかな?)


<班で準備するもの>
・ 鉄粉10g
・ 食塩1g(触媒)
・ 炭素6g(触媒?)
・ 薬さじ
・ 100mlビーカー
・ 100度C温度計
<自宅から持参するもの>
・ 使い捨てカイロ

 <授業の流れ>
 1 導入から実験手順まで

  「今日はカイロの実験をします。家から持ってきた人は分解して、何度まで温度が上昇する
  か限界に挑戦しましょう。持ってこなかった人は、理科室の材料で手作りカイロを作ります。
  さて、カイロを持っている人は裏を見て下さい。成分が表示されていると思いますが、その
  うち、温度を上げる成分はどれですか? 細かい成分はメーカーによって違いますが、1番
  大切な温度を上げるための成分は同じです。分かった人?」

  「はい、そうですね。鉄粉、鉄です。では、これを化学反応式で表わしてみましょう。鉄、
  プラス、何とか、やじるし、何とか、タス、熱。じゃあ、点線部分に適当な語句を入れて下
  さい。分かった人は黒板に発表に来て下さい。」

 

  「大正解です。前の実験では『スチールウール』を加熱して激しい酸化をしましたが、今日
  は『鉄粉』を使っておだやかな酸化を行います。では、化学反応式も復習しましょう。スチ
  ールウールと同じです。自分のプリントに書けた人は、黒板に発表して下さい。」

  ※注意:正しい化学反応式は以下の通り
  Fe+  3/4O
+ 3/2HO→ Fe(OH) + 熱エネルギー

  「はいはい、これまた大正解です。なぜ、FeやFeOの前に2がつくのかについては、次
  の時間、教室でじっくり説明しますので、今日は我慢して丸暗記して下さい。」

  「次に、カイロの温度を上げる方法を考えます。」
  (略)


 2 生徒実験

  生徒実験は次の2つ。
  1) 市販カイロの限界に挑戦!
  2) カイロを作ろう!

 
 1)の実験『市販カイロの限界に挑戦!』
は、市販カイロの中身をビーカーに出してかき混ぜるだけ。1分毎の温度を測定して、限界に達したらいろいろなものを混ぜて温度を上げる工夫をする。

 ちょっと意外なのが『水』。カイロの中には水分が含まれていて、反応が始まると湯気が出てくる。温度は70度Cまではさっさと上がるが、それ以降は止まってしまうものが多い。そこで、水道水を追加したり、以下の試料を追加したり、各自で工夫をして反応熱を発生させる。


 2)の実験『カイロを作ろう!』は、とにかく『炭素』をこぼさないように注意したい。雑巾で拭くことも危険である。薬包紙は使わず、ビーカーに直接入れる。これだけは、教師が配付した方が無難である。
 <実験のポイント>
 ・ 鉄粉や炭素、食塩の量は適当でよい
 ・ 水の量がポイント(どろどろにならない程度)
 ・ 鉄粉(写真下)は多い方が高温になる
  

(上:生徒に取りに来させたあとの『炭素』周辺)
準 備 作り方
・ 鉄粉10g
・ 水30ml
・ 食塩1g(触媒)
・ 炭素6g(触媒?)
・ 100mlビーカー
・ 薬さじ
・ 温度計
1 100mlビーカーを用意する
2 炭素を入れる(6〜10g)
3 水を入れて混ぜる(20〜30ml)
4 鉄粉を入れて混ぜる(10〜20g)
5 1分毎に温度を測定する
注 意: 粒子細かい炭素粉末は、後始末が大変です
その他: 結構いい加減な実験で、ほどほどの結果が得られます


  (上:温度計を折らないようにね。)

  


 3 実験結果

 
 




 ◎ A君の学習プリント
 


 ◎ Bさんのの学習プリント



 <評価基準>
 1 自然事象への関心・意欲・態度
  A 自宅からカイロを持参できる
  B 学習プリントを正確かつ丁寧にまとめられる

 2 科学的な思考
  B 鉄を酸素が化合するときに熱が発生すること感覚的に思考できる

 3 実験・観察の技能・表現
  B 1分毎にカイロの温度変化を測定できる

 4 自然事象についての知識・理解
  B 鉄が酸化する時には熱が発生することを理解できる


  授業を終えて

  2つの実験を同時に行った班もあったが、とにかく、理科室は炭に塗れた。

  次時は、これまでの化学反応式を教室でまとめようと思う。
  
  それから、使い捨てカイロの化学反応式は、
  2Fe+ O→ 2FeO+ 熱エネルギー ではなく、
  Fe+  3/4O+ 3/2HO→ Fe(OH) + 熱エネルギー です。
  各学校の実態に合わせて、御指導下さい。
  化学反応式は自由研究とする、のも一案です。
  

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