このページは中学校2年理科『化学』/takaの授業記録2003です |
化学変化(化合)のまとめ
2004 2 9(月)
各教室
・ 水素原子はH、水素分子はH2 |
<授業の流れ>
1 これまでに行った5つの実験の化学反応式
「今日は1時間、教室でじっり復習しましょう。これまでの実験を化学反応式で表わします。プ
リントには7つまとめますが、それらは全て2つの物質を1つにする反応でした。そのような化
学変化を何と言いますか?」
「そうです。化合です。酸化ではありません。酸化もありましたが、それは化合の中でも特に『
酸素』と化合する場合を酸化と言うので、ここは『化合』とまとめておきましょう。では、さっ
そくまとめます。1番初めにやった実験は何と何の化合でしたか? 火山の噴火、腐った卵の臭
いがする実験でしたね。」
「はい、そうです。鉄と硫黄の化合です。これを化学反応式にします。化学式、つまり、英語み
たいな記号で書きます。何タス何で、何ができますか。自分のプリントに答えが書けた人は黒板
に発表して下さい。」
「はい、よくできました。簡単ですね。一応、確認しておきましょう。鉄は大文字のF小文字のe、
硫黄は大文字のSだけ、やじるし、化合してできたものは硫化鉄で鉄と硫黄を並べるだけなので、
大文字のF小文字のe、それに大文字にS。簡単ですね。」
「次の実験は何だったか覚えていますか? 試験管から化合物が飛び出した、無茶苦茶危ない実
験でした。」
「はい、そうです。銅と硫黄の化合です。これも化学反応式にしてみましょう。考え方は鉄と同
じで無茶苦茶簡単です。簡単過ぎるのでヒントはありません。」
「一応確認しておきましょう。銅たす硫黄やじるし硫化銅。大文字のC小文字のu、たす、大文字
のS、やじるし、大文字のC小文字のu大文字のS。並べて書くだけです。誰でもできます。簡単
過ぎます。ただし、→ではなく=で書くと、思いっきり『ペケ』になるので注意して下さい。」
「3時間めの実験は何でしたか?」
「そうですね。スチールウールを燃やす実験でした。スチールウールは鉄だったので、化学式は
鉄、プラス、何ですか?」
「はい、そうです。鉄、プラス酸素です。そして、化合してできるのは?」
「そうです。酸化鉄です。簡単ですね。化学式にして下さい。」
「さあ、ここから頭を使ってもらいます。鉄はFe、酸素はO2、酸化鉄はFeOです。もし、酸
化鉄がFeO2なら並べて書くだけなのですが、実際はFeOなので、2が書けません。困りまし
た。これは決まっているので仕方ありません。全員暗記です。酸化鉄はFeOと暗記するしかあり
ません。酸化鉄はFeOなのです。諦めて丸暗記すること1番大切なのでプリントにまとめておき
ます。プリントの1番上か下に、ばっちり書きます。」
※ 白字は全員、丸暗記する
「そして、考えることは、酸素のO2の2をどうするかですが、酸化鉄のFeOの前に違う色で2
を書きます。必ず違う色で書いて下さいね。黒板では黄色を使いますが、皆さんは何色でも良いで
す。これもプリントに書いておきましょう。」
※ 黄字は、考える
「さてさて、酸化鉄の前に書いた2は、酸化鉄が2個という意味です。これで酸素は2個2個にな
って解決しました。しかし、同時に鉄も2個になってしまったので、初めの鉄も2個にしなければ
なりません。考えます。そして、初めのFeの前に違う色で2と書きます。これで完成です。簡単
でしょ。何となく分かった感じがする人は手をあげて下さい。5人ぐらいいるんじゃないかと思い
ます。」
「はいはいはい。何となく分かった人がいますね。それで良いのです。同じ説明を、今日は3回繰
り返すので、少しずつ分かってくると思うので焦ってはいけません。」
※ 白字は全員、丸暗記
※ 黄字は、考える
「さあ、4時間めの実験を化学式にします。何でしたか?」
「そうですね。銅の酸化です。これも全く同じ考え方です。とても簡単です。書いて下さい。」
「ほら、簡単ですね。鉄が銅に変わるだけです。銅はCuだから、Cu+O2、やじるし、CuO
です。ここまでは全員暗記しなければなりません。そして、酸化銅がCuO2なら考えなくても良
いのですが、残念なことに酸化銅はCuOなので、考えなければなりません。はい、違う色のペン
を出して下さい。」
「さっきと同じように考えてみましょう。酸素を2つにしたいので、酸化銅の前に2を書いて2個
にします。これで酸素は解決です。しかし、銅も2個になってしまったので、初めの銅を2個にし
ます。つまり、初めのCuの前に違う色で2と書きます。これで完成! あー、簡単でした。」
「さあさあ、5時間めの実験も書きましょう。全く同じです。考えた方も何もかも同じです。どん
な実験でしたか?」
「そうですね。マグネシウムの酸化です。」
「もう簡単過ぎます。マグネシウムはMgだから、、、(略)」
2 二酸化炭素と一酸化炭素
「さあ、ここで気分転換に『自殺の仕方』を紹介します。最近、インターネットで知り合った見も
知らずの男女が車の中で一緒に自殺する悲惨な事件が相次いでいるのを知っていますか。絶対やっ
てはいけないことですが、同じような事故が起こらないように、その方法を勉強しましょう。まず、
車の内側からガムテープで隙間を塞ぎます。どうしてか分かりますか?」
(上:マフラーをハンカチで塞ぐ必要はありません)
「そうですね。空気じゃなくて、正確には酸素を不足させて不完全燃焼させるためです。車の中で
燃やすのは炭です。七輪と言いますが、C、炭素を燃やすのです。初めは十分な酸素と結びついて
二酸化炭素になりますが、だんだん酸素が不足してくると、二酸化炭素ではなくて酸素が1つ足り
ない一酸化炭素になります。一酸化炭素は血液中の酸素を奪う性質があるので、あっという間に死
にます。簡単ですね。皆さんも一酸化炭素が発生しないように、部屋の中で石油ストーブやガスス
トーブを使う時は、時々空気を入れ替えなければなりません。ちなみに先生の家は隙間風がいっぱ
い吹いているので安全です。酸素がいっぱいあるのでしっかり燃えているのに寒い、という不思議
な部屋です。死ぬことはありません。」
「では、この時の反応を化学反応式で表わしてみましょう。黒板に半分だけ書くので、暗記しな
ければならない部分と、考える部分を色分けしてまとめてください。」
二酸化炭素: C + O2 → CO2
一酸化炭素: C + O2 → CO
「さあ、上の式に考える部分を追加します。二酸化炭素はそのままで完成ですが、一酸化炭素は
酸素の数が足りませんね。ですから、一酸化炭素の数を2個にします。これで酸素は解決しまし
た。しかし、炭素が2個になったので、初めの炭素を2個にします。つまり、初めの炭素の前に
2を書きます。これで出来上がりです。」
二酸化炭素: 1C + O2 → 1CO2
一酸化炭素: 2C + O2 → 2CO
3 復習テストの問題と答
本時の授業はここまでですが、復習をしました。『説明は簡単に! 復習はたっぷりと!』計算
問題の解き方や化学式反応式など規則や考え方を学習する時の基本です。
(上:すべてmr. takaが書いた)
4 本日の感想とまとめ
◎ B君の学習プリント
このクラスでは、原子と分子の違い、係数についての説明も行った。ただし、それによって
理解が深まったかどうかは分からない。一般的には、説明し過ぎるほうが危険である。
<評価基準>
1 自然事象への関心・意欲・態度
B 学習プリントに正確かつ丁寧にまとめることができる
2 科学的な思考
A 原子と分子の違いを、原子の結合状態から説明することができる
3 実験・観察の技能・表現
4 自然事象についての知識・理解
B 係数が1または2の化学反応式を正しく理解できる
授業を終えて
授業中、何回も「簡単ですね」を連発し、生徒を呪文にかけることが大切です。「ああ、簡単
なんだ」という雰囲気を教室中に充満させて下さい。これが最大のポイントです。簡単、簡単。
何回も繰り返すことによって『化学反応式=簡単』という公式ができあがります。簡単なまま
どんどん授業を展開します。「ちょっとだけ難しいけれど・・・ね、ちょっとだけ分からない
人がいたかも知れませんが簡単ですね。」「全部は分からなかったかも知れませんが、簡単そ
うでしょう。だんだん分かるから無理してはいけません。簡単ですから。」「さっきよりは少
し分かった気がするでしょ。簡単なんです。そのうち全部分かるから焦ってはいけませんよ。」
「ね、簡単でした。」
化学反応式は実際、簡単です。答えが1つしかないからです。
鉄+硫黄→ 硫化鉄
鉄+硫黄は、絶対に硫化鉄です。硫化鉄以外はあり得ません。条件を変えれば、鉄+硫黄が違
う物質になることもありますが、その条件は問題に書いてあります。だから、答えはやっぱり
1つです。化学反応式は人間が決めた規則ですから、とても簡単です。自然界のような例外は
ありません。答えは1つしかありません。間違うほうが難しいほど簡単です。鉄+硫黄→硫化
鉄は、Fe+S→FeS。ね、簡単でしょ。
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