このページは中学校2年理科『化学』/takaの授業記録2003です |
質量保存の法則のつづき
2004 2 11(月)
第1理科室
今週水曜日から学年末テストが始まので、余裕があるクラスだけ以下の検証実験2、3を行った。
検証実験2: 二酸化炭素の生成(写真下)
検証実験3: 硫酸バリウムの生成
→ 昨年度の実践『実験13
硫酸と水酸化バリウムの中和』も参考にして下さい
(上:ペットボトル内で二酸化炭素を生成→ 質量を測定→ 栓を開いて気体を逃がす)
<授業の流れ>
1 質量保存の法則の復習
(上: 矢印の前後で、物質の質量の合計は変わらない)
2 検証実験2: 二酸化炭素の生成
塩酸+ 炭酸水水素ナトリウム→ 二酸化炭素+ 食塩+ 水 HCl+ NaHCO3→ CO2+ NaCl+ H2O <実験の理論> 上の反応で二酸化炭素を発生させる。 二酸化炭素が空気中に逃げればその質量だけ軽くなるが、ペットボトルの中に閉じこめておけば 質量は変わらない。 |
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<試薬・実験装置> ・ 10%塩酸8ml ・ 炭酸水素ナトリウム3g ・ 小さな試験管(3本) ・ 500mlペットボトル ・ 電子てんびん ・ 小さな試験管(3本) ・ 薬包紙 |
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試薬をペットボトルにセットして、全体の質量を測る ↓ ペットボトル内の塩酸をこぼし、二酸化炭素を発生させる (上:この実験では、塩酸入り試験管が4本セットされている) 栓を開けたとき、未反応の塩酸が飛び散らないように 『炭酸水素ナトリウム』を余分に入れておくこと! ↓ 全体の質量を測定する ↓ ペットボトルの蓋を開け二酸化炭素を逃がしてから、再び全体の質量を測る <結 果> 栓を開けて二酸化炭素を逃がすと、その質量が0.3K以上あることが分かる。 また、塩酸の量を増やすと発生する二酸化炭素が増えることから、 この実験では塩酸が限定要因になっている。 はじめの質量= 混ぜた(二酸化炭素を発生させた)後の質量 質量保存の法則 |
(写真右) ペットボトルの中には、炭酸水素ナトリウムと試験管に入った塩酸が入っている。/ 塩酸の量は、約8mlである。/ 試験管の数を増やせば、定量的な実験も比較的簡単なので、グラフ化することで学習目標を高く設定することも容易である。今回は時間の都合で見合わせたが、お試しあれ。 |
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3 検証実験3: 硫酸バリウムの生成
この反応は、1年生で定量『実験13 硫酸と水酸化バリウムの中和』実験まで行ったので詳しく説明し
なかった。しかも、この反応式、および、硫酸バリウムが白い沈殿物であることは、定期テストに連
続数回出題したので、話をするだけ十分に思い出す生徒がほとんどである。
硫酸+ 水酸化バリウム→ 硫酸バリウム(白い沈澱)+ 水
H2SO4+ Ba(OH)2→ BaSO4+ 2H2O
<理論> 質量保存の法則は、沈澱が生じる反応でも成り立つ。 |
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<試薬・実験装置> ・ 5%硫酸 20ml ・ 水酸化バリウム水溶液 20ml ・ 50ml ビーカー ・ 電子てんびん |
<B君の実験と結果>
B君は、硫酸と水酸化バリウムの質量をさまざまに変え、組み合わせた。
1 硫酸40g+ 水酸化バリウム40g
2 硫酸60g+ 水酸化バリウム20g
3 硫酸20g+ 水酸化バリウム60g
その結果、上記のように質量保存の法則が検証された
授業を終えて
塩酸と水酸化ナトリウムの反応は『質量保存の法則』だけでなく、次のような実験としても使える
・ 二酸化炭素(気体)に重さがあること確かめる実験
・ 二酸化炭素の密度を求める実験
・ 化合する物質(塩酸と水酸化ナトリウム)の割り合いを調べる実験
・ それを定量的に調べ、グラフ化する実験
さて、今回、質量保存の法則を学習するために3つの実験を行ったが、生徒の理解度が高まったも
のの順に並べると次のようになる。
<3つの検証実験>
1位: 塩酸+ 炭酸水素ナトリウム→ 二酸化炭素(気体)+ 食塩+ 水
2位: 塩化アンモニウム+ 水酸化ナトリウム→ アンモニア(気体)+ 食塩+ 水
3位: 硫酸+ 水酸化バリウム→ 硫酸バリウム(白い沈澱)+ 水
→ 昨年度の実践『実験13 硫酸と水酸化バリウムの中和』も参考にして下さい
塩化アンモニウムと水酸化ナトリウムでアンモニアを発生させる実験は危険であるが、これまで散
々危険な実験を行っているので生徒は十分過ぎるほど安全に気をつけて実験していた。反応熱もた
くさん発生した。
硫酸と水酸化バリウムで硫酸バリウムを生成する実験は昨年度と同じで面白みにかけるが、質量保
存の法則という新しい視点でさらっと実験をするには悪くない。ちょっと混ぜただけで大量の白い
沈澱が発生することは、それだけでも驚きである。
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明後日から学年末テストが始まるが、それが終わったら質量保存の法則を使って『化学反応式』の
係数を説明しようと考えている。また、周期表の秘密を紹介し、原子どうしが結合するときの割り
合いも説明したい。教室中心になってしまいそうなので、うまく実験を取り入れたいと思う。
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