このページは中学校2年理科『地学』/takaの授業記録2003です |
4つの前線
2003 5 12(月)
第2理科室、または、各教室
「前の時間に、空気の塊にはいろいろな性質があることを学習しましたね。今日はその温度に
着目し、暖かい空気(暖気)と冷たい空気(寒気)が進むとどうなるか調べましょう。」
<本時のねらい>
・ 『前線』とは性質の異なる(気温・露点(水蒸気量)、湿度ではない)2つの気団の境界
・ 4つの前線を断面図にしてまとめる
1 寒冷前線(2種類の雲)
2 温暖前線(8種類の雲)
3 停滞前線
4 閉塞前線
・ それらの(前線面・雲・天気の変化)に着目する
<授業の流れ>
1 寒冷前線と温暖前線
「まず、寒気が進む場合と暖気が進む場合をまとめしょう。これから、それらの断面図を書
きますが、大きな違いが2つあります。それは空気が進む時の角度です。それを注意しない
と、失敗して消しゴムで消してもらうことになりますので、先生の説明を良く聞き、「書い
ても良いよ」と言われてから書くようにしなさい。」
「まず、寒冷前線。地面とA君と彼の家を書きました。そして、寒気が左から来るとします。
問題はここから! 寒気が進む時の面の角度が問題です。垂直ではありません。そして、い
きなり質問です。寒気は潜り込むようにして傾いた面になって進むか、あるいは、上を滑る
ような傾いた面になって進むかのどちらですか。2者択1です。どちらかに手を挙げて下さ
い。」
「なるほど、もう一度ヒントを挙げてから同じ質問をします。今は冷たい空気ですよ。自分
の経験から考えて下さい。冷たい空気は上に上がりますか、それとも、下に下がりますか。
冷たい空気のイメージが湧かない人は、暖かい空気が上に行くか下に行くか考えても良いで
しょう。では、もう一度聞きます。寒気は潜り込むようにして傾いた面になって進みますか、
それとも、上を滑るような傾いた面になって進みますか。」
「その通りです。寒気は下に潜り込むような角度で進みます。」
(上:A君が書いた寒冷前線。雨を寒冷前線の手前だけにして欲しかったが、、、)
「次の温暖前線の進む角度を考えてみましょう。」
(上:A君の学習プリント)
◎ 雲を書き込む
「次に、これらの前線にそってできる雲を書きます。そんなに難しくはありません。これま
でに習った10種類の雲が、規則的に発生するだけです。寒冷前線は2つ、温暖前線は8つ
です。高さと位置が決まっているので、理科便覧を見て、間違えないようにスケッチしてみ
ましょう。」
「黒板では、もっとも特徴的な雲を1つずつ紹介します。寒冷前線は急な前線面にそって垂
直に発達した積乱雲、温暖前線はなだらかな前線面に沿って発達した乱層雲です。両方とも
雨を降らせる雲ですが、その形から激しさが違います。激しく降る方はどちらですか。」
「そうですね。積乱雲は、集中的に激しく降りますが、乱層雲は穏やかに降ります。」
「また、雨が降る位置にも注意して下さい。雨は寒いところにしか降りません。以上のこと
に気をつけながら10種類の雲をスケッチしましょう。時間は10分差し上げます。」
(上:B君の学習プリント)
◎ 前線が通過する時の天気
「次に前線が通過する時の天気の変化を調べましょう。A君は今、晴ですか雨ですか。」
「そうです、晴です。そして気温は?」
「暖かいですね。これから寒冷前線が通過するので、暖かいところにいることにします。
まとめると、今のA君は晴で暖かいところにいます。しかし、前線が通過するとどうなる
でしょう。天気と気温と答えて下さい。」
「そうですね、前線が通過すると同時に激しい雨が降り、気温も下がります。簡単だった
のでもう少し調べましょう。前線が通過してしばらくすると、雨が止みますが、その時の
気温まで調べましょう。」
「簡単でしたね。これをプリントにまとめておきます。」
(上:天気の変化は3段階に分けてまとめる)
「次に温暖前線です。まず、B君を書いてから同じように考えましょう。今は、寒いけれど
雨は降っていません。しかし、雨がだんだん降ってきます。ここで、区切る必要があります。
そして、ここで温暖前線が通過して、雨が止み暖かくなります。」
「寒冷前線と同じように3段階に分けましたが、前線通過の位置が異なるので注意して下さい。」
「また、雨が降る時は、いつも寒いことにも注目しましょう。」
(上:温暖前線通過の位置は、寒冷前線のそれと異なる)
2 停滞前線と閉塞前線
「停滞前線と閉塞前線について調べます。これらが寒冷前線と温暖前線と違うのは、2つの
気団を書かなければならないことです。これまでは1つの気団が進んでいただけですが、停
滞前線は2つが同じ方向に進んで押し合い、閉塞前線は2つが同じ方向に進んでいることを
書かなければなりません。」
(上:D君の学習プリント)
「停滞前線を書く時のポイントは、前線面の角度を急にしないこと。だって、2つが押し合
っているからです。そして、梅雨や秋雨のようにしとしととした雨を降らせて下さい。」
「閉塞前線を書く時のポイントは、寒気と暖気の速さの違いです。みなさんは、どちらが速
いと思いますか。答えはイメージ通りですよ。・・・その通り、寒気の方が速いので、しば
らくすると暖気に寒気が追い付き、暖気は上空に追いやられてしまいます。結果として、前
線は閉じてなくなってしまうので『閉塞前線』と言います。」
<評価基準>
1 自然事象への関心・意欲・態度
A 4つの前線について、自分の体験と関連づけながらプリントにまとめることができる
B 学習プリントを丁寧に美しくまとめることができる
2 科学的な思考
B 寒気と暖気の性質の違いから4つの前線の特徴を考えることができる
3 実験・観察の技能・表現
B 4つの前線を、前線面の角度・雨の降り方に注意してスケッチすることができる
4 自然事象についての知識・理解
B 4つの前線について正確に正しくまとめることができる
授業を終えて
理科室ではなく、教室でじっくり教える方が無難でしょう。
テスト前だし、落ち着いて自分でまとめることが大切です。
← 前 時
日本の天気次 時 →
これまでの復習