このページは中学校2年理科『地学』/takaの授業記録2003です

 実習2 等圧線
              
                   2003 5 16(金)
                   教 室

  社会科の先生に尋ねたら、地図の「等高線」から山の「断面図」を書く作業は
  学習済みと返事を頂いた。また、大気圧については1年理科の『力』で学習済
  みである。

 <本時のねらい>
 ・ 上空から見た「等圧線」から気圧の「断面図」を書けるようにする
 ・ 高気圧の上にはたくさんの空気があることを知る
 ・ 風は、水と同じように高いところから低いところに流れることを知る
 ・ 風は等圧線に対して直角に吹かないことを、地球の自転から推測する
 ・ 等圧線の間隔が狭いほど風が強いことを理解する
 ・ 低気圧にはたくさんの空気が流れ込み、上昇気流が発生することを知る
  
  (上:Aさんの学習プリントから)


 <授業の流れ>
 1 平面図(地図)から断面図を書く

  「皆さんは、社会科で等高線を学習しましたか。」

  「なるほど、学習したようですね。では、上空から見た等高線から山の断面図を書くことは
  しましたか。やった人は手を挙げて下さい。」

  「おやおや、ほとんどの人がやったようですね。それなら簡単に復習をしてから、同じ作業
  をしてもらいましょう。山の高さが空気の高さに変わるだけなので、理屈は同じです。では、
  やってみすよ。」

  「上の地図は『宇宙から見た気圧の分布』ですが、これを『横から見た空気の高さ』にしま
  す。まず、上の地図に1本の直線を引きますが、これは空気を切断する面です。難しい説明
  になるので、A君、前に出てきて下さい。A君を使って、断面を説明します。A君、皆の方
  を向いて立って下さい。えいっ!!、先生が刀でA君を頭のてっぺんから切ると、A君はま
  っぷたつになって死にます。死んでもらっては困るのですが、注目するのはA君の何が見え
  るかです。心臓は見えませんが、A君の背骨の断面が見えます。彼の大切な部分の断面も見
  えます。しかし、A君の身長は分かるでしょうか。分かりませんね。だって、A君の脚は切
  れていませんから、その断面からはA君の身長は分かりません。座高しか分かりません。今
  度は、左肩の部分から真直ぐに切って見ましょう。ばさばさばさっ!! 切れました。頭の
  断面図は分かりませんが、心臓内部が見えるようになったし、肩から脚までの断面ができた
  ので、A君の肩からの高さが分かりました。このように、どの部分を切断するかによって見
  える部分が全く変わります。A君、ありがとう。席に戻って下さい。」

  「今日の練習では、気圧の一番高いところから一番低い部分を通る直線ABを断面にしまし
  ょう。皆さん、上の地図に点Aと点Bを書きなさい。そして、その2つの点を定規で結びま
  しょう。これで、高気圧のてっぺんから低気圧の一番下まで分かります。」

  「では、下の地図に点を移していきますよ。直線ABと、左端の等圧線が交わったところは
  何ヘクトパスカルですか。そうですね、1028ヘクトパスカルです。次は、いくつですか。
  そうですね、1032ヘクトパスカルです。このように順に点をとっていきます。次は10
  36、次は、、、ここはちょっと難しいですが、やはり1036です。最後の等圧線は1つ
  の輪になっているので同じ圧力です。そして、後から『なだらかな曲線』で結ぶ時に、その
  中間を1038ぐらいにしておくと良いでしょう。それでは、作業始め!!」

  (上:B君の学習プリント)

  「次に、空気(大気)に色を塗りましょう。これで、高気圧のところにはたくさんの空気
  があり、低気圧のところには少ないことがイメージできたと思います。」

 2 風の吹き方
  「この断面図で分かったと思いますが風は高いところから低いところに吹きます。」

  (上:Cさんの学習プリント)

  「しかし、実際は直線的に吹くのではなくて、地球の自転の影響で曲ってしまいます。
  その方向は北半球と南半球で決まっていますが、台風の写真を見ると良く分かります。」
  
  (上:Cさんの学習プリント)

  「詳しい説明は難しいので、とにかく台風の雲のイメージを捉えて下さい。高気圧から
  風が吹き出す場合も同じように曲ります。それを図にまとめると下のようになります。」
  
  (上:Cさんの学習プリント)

  「次に、日本とオーストラリアの高気圧と低気圧の様子を表にまとめましょう。」

  (上:Cさんの学習プリント)


  (上:D君の学習プリント)
  
  (上:D君の学習プリント)

  ◎ Eさんの学習プリント



 <評価基準>
 1 自然事象への関心・意欲・態度
  A 自分の体験から感想などをまとめることができる
  B 学習プリントを正確に丁寧にまとめることができる

 2 科学的な思考
  A 風が等圧線に対して直角に吹かないことを地球の自転から説明することができる
  B 風の流れを3次元的にイメージしながら思考することができる
  B 風の流れを平面図、あるいは、断面図から説明することができる

 3 実験・観察の技能・表現
  B 等圧線の地図から、任意の直線の断面図を書くことができる

 4 自然事象についての知識・理解
  B 等圧線の意味について正確に理解することができる
  B 低気圧の中心には四方から空気が流れ込み上昇気流が発生すること理解できる
  B 等圧線から風の強さや方向を推測することができる


  授業を終えて
  平面的な「等圧線」地図から断面図を書く作業は、丁寧な説明をすることで90%の生徒
  が理解できたので、残り10%は机間巡視で対応できた。社会科で学習済みだったことが
  大きく影響していると思う。

  北半球と南半球の違いについては、表にしてまとめるのは有効な手段だと思うが、定着率
  については次の期末テストで調べたい。

  今日の授業については、概ねの生徒が満足感を持っていた。

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