このページは、Mr.Taka による中学校理科の授業記録:物理学 2年(2003年度)です

 実験10 コイルのまわりの磁界
              
                   2003 9 9(火)
                   第1理科室

  鉄くぎにエナメル線をまくと電磁石ができる。
  今日も簡単な実験で、さまざまなオリジナル実験を楽しむことができる。
 
  (上:電磁石のまわりに方位磁針を置き、磁界の方向を調べた。)

  <参考>
  授業記録実験8コイルの磁界(2000年度、中2物理)も参考にして下さい。
  流れは同じですが、このページは教師の指導手順を中心に書きました。


 <授業の流れ>
 1 電磁石(コイル)
  1) 導入から作り方の説明まで

  <説明の例>
  「今日は、釘とエナメル線を使って電磁石をつくります。ここまでは小学校と同じですが、
  中学校ではエナメル線をまく方向、それから、電流の方向を変えます。そして、電磁石の
  N極とS極がどうなるか調べます。これから作り方を説明し、1人1つ作ってもらいます。
  黒板を見て下さい。釘の頭が左になっていますが、ここで質問です。その左側のエナメル
  線は手前からまいていますか、それとも、奥からまいていますか。」
  
  (上:説明のために書かれた釘とエナメル線)

  「そうですね、奥からまいています。そして、12345678910と10回まいて、ぐっと左
  に寄せます。同じように、11121314151617181920とまいて左に寄せます。
  12345678930回とまいて左に寄せます。12345678940回とまいて左に寄せて、
  12345678950回まいて左に寄せて出来上がりです。このように、電流がぐるぐる回る
  ようにした回路を『コイル』と言いますが、今日は50回巻きのコイルを作って下さい。
  そして、電流を流すためにエナメル線の先を紙ヤスリで削ります。そのまま乾電池につな
  げば磁石になりますが、5秒間持っていると過熱して火傷をします。ショートしているか
  らです。注意して下さい。セロテープで止めてもいいですが、とにかく危険な状態で、ど
  んどん過熱します。さっさと実験して結果を出して下さい。いつまでも電流を流していて
  はいけせん。」
  
  (上:長さ10cmの『釘』と直径0.5mmの『エナメル線』で作った電磁石)

  「それでは、釘とエナメル線を配りますが、釘は10センチのものしかなかったので回収し
  ます。自宅から持ってきた人は、もちろん、それを使って作り、持ち帰って下さい。他の人
  も全員、1人1つ作りますが、コイルは差し上げます。繰り返しますが、釘だけは引き抜い
  て返して下さい。そして、コイルはプリントに貼りますが、その先端を貼らないようにして
  おけば、次の時間、そのコイルを使って実験することもできます。なお、巻く方向や巻き数
  を変えたい人は、自分でエナメル線を持っていって構いませんが、長さはこれぐらいです。
  見てて下さい。コイルを引き伸ばします。はい、これぐらいです。70センチかな、1メー
  トルもあれば十分なので取り過ぎて捨てることのないように実験して下さい。」


  (上:びよよーんと生徒の目の前で引き伸ばされたエナメル線。)

 2) 生徒実験
  鉄くぎ、乾電池は各自で準備します。
  エナメル線は、先生が班の人数を聞いて切り分けます。
  それからは、楽しそうにコイルを作り、乾電池をつなげたり、方位磁針で遊んでいます。
  5分もすると8割の生徒が完成するので、次の説明をします。

 3) 磁界の向きなどを調べる
  <説明の例>
  「ほどんどの人ができたようなので、磁界の向きを調べてもらいましょう。N極S極をは
  っきりさせるために、電磁石を棒磁石として考えます。鉛筆を持って、電磁石の下に棒磁
  石を書きなさい。電流を左から流します。では、ここで質問です。すでに調べた人は分か
  りますが、電磁石の左はN極ですか、それとも、S極ですか。」
  

  「はい、よくできました。S極になります。まだ実験していない人も、とりあえずS極とN極
  を書いて下さい。」
  「次に、これらの調べ方を確認しますが、とても簡単です。方位磁針を置くだけです。例えば、
  電磁石の左に置いた場合、方位磁針のN極はどちらを向きますか。まだ実験していない人でも
  考えれば分かります。**君、答えをお願いします。N極は左ですか、それとも、右ですか。」

  
  (上:みなさんも考えて下さい。N極はどちら側でしょう?)

  「答えは、NSNSと交互になるので、、、、」
   ↓
   ↓
   ↓
  「N極が左だと思う人、手を挙げて下さい。」
  「それだけですか、チャンスは1度ですよ。」
  「次に、N極が右だと思う人、手を挙げて下さい。」
  「なるほど、それでは、正解を言います。」

 

  「S極をN極は引き合うので、こう(上の黒板)なります。」
  「さて、これは簡単ですが、次の問題は難しいですが、だけど昨日と同じ問題です。よく考えて
  下さい。方位磁針を電磁石の上に置くと、N極はどちらになりますか。右左で答えて下さい。」

 

  「磁力はN極から出るので、ほら、こう(上の黒板)なりました。昨日と全く同じですね。これ
  以上説明すると混乱する人がでるので、あとは自分の実験で確かめて下さい。なお、これから先
  の実験ですが、黒板に書いておきますので参考にして下さい。」

  

 4) 生徒実験の続き
  上の黒板を参考にして、実験の続きを行います。私は、簡単に正しい実験結果が得られるだろう
  と予想していたのですが、生徒達は思いのほか苦戦していました。中には、コイルの発熱量にだ
  けに注意がいってしまった生徒もいましたが、これは私の説明が悪かったことも原因です。
  
  (上:エナメル線の先端を貼らずにおけば、このまま次の時間も実験できる)

  
  (上:電磁石の周りに鉄粉をまく)
  鉄粉をまいて磁力線を観察するのは比較的良い結果が得られていた。ただ、鉄くぎが長過ぎ
  てコイルが最後まで負けない場合、電磁石の先端部分が分かりにくくなるので注意すること。

  ◎ A君の学習プリント
  

  ◎ B君の学習プリント

  ◎ Cさんの学習プリント
  過熱したことに注意が行き過ぎているので、次時、確認する必要がある。
 
 




 <評価基準>
 1 自然事象への関心・意欲・態度
  A 自宅から電磁石セット(鉄くぎ、鉄片、ストローなど)を持参することができる
  B 電磁石による磁界を正しくスケッチすることができる

 2 科学的な思考
  A コイルのまき方、電流の方向、磁界の方向を関係を正しくまとめることができる
  B 電流が流れると磁界が発生することを予測することができる

 3 実験・観察の技能・表現
  B コイルの巻き数、巻か方を変え、磁力の大きさや方向を調べることができる
  B 電流の大きさを変えたときの磁力の大きさの変化を調べることできる
  B 50回巻きのコイルを作り、そのまわりの磁界をしらべることができる

 4 自然事象についての知識・理解
  B コイルの巻き数、電流の大きさと磁力の大きさの関係を正しく説明することができる
  B コイルに電流を流すと磁界が発生することを理解できる
  B 電流の向きやコイルのまき方を逆にすると、磁界の向きが逆になることを理解できる


  授業を終えて
  電流の向きも板書したクラスもあったが、この授業では時期が早すぎる。そのページのト
  ップ写真のように、電磁石に周りに鉄粉をかけて美しい磁力線を観察させ、その上に方位
  磁針を置いて方向を調べ、最後に、乾電池の+−を逆にした時の変化を調べるだけで十分
  である。ゆとりがある生徒には、本文中にある発展実験をさせれば良い。

  <参考>
  授業記録実験8コイルの磁界(2000年度、中2物理)も参考にして下さい。
  流れは同じですが、このページは教師の指導手順を中心に書きました。

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