このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録 3年(2004年度)です

化学電池のしくみ
                   2004 12 10(金)
                   各教室

 本時は化学電池のしくみを説明し、次時、丸まる1時間実験を行うための準備をします。

 写真右: レモンにAl(アルミニウム)板とCu(銅)板を差し込みます。これで化学電池の完成です。あまりにも簡単なので生徒は呆気にとられますが、本当に電流が発生しているのか、2種類の金属板に電子オルゴールをつけてみます。すると、可愛らしいメロディーが教室の隅まで鳴り渡り、生徒の歓声が上がります。その後、ごく簡単に化学電池のしくみを説明します。ただし、度重なる学習指導要領の改定で、イオン化傾向を教える必要がなくなり、さらに、内部から教えてはいけないとの圧力もかかっているので、どうしたら良いものか本当に苦慮しました。今年度の授業実践は、入試に出題される内容にとどめたので非常に簡単ですが、本ページの最後に、簡単に化学電池の仕組みを紹介しましたので興味ある方は参考にして下さい。


<授業の流れ>
1 化学電池の紹介

 上で紹介した通りです。

2 化学電池のしくみ
(1) 電解質水溶液に、2種類の金属を入れると電気が発生する。


(2) どんな水溶液でも良いが例外もある
  ※ いくつかの例外がありますが、中学生は砂糖とエタノールの2つを押さえれば十分です。
  ※ これらは、水に溶かしても電流を流さない物質(非電解質)と言います。

(3) どんな金属でも良いが、組み合わせによってプラスマイナスが変わったり、発生する電流の大きさが変わる

(上:左が水溶液の例、右が金属の例)

 → 生徒から例を募集すると、とても面白いものが出てきます。
  とくに印象深かったのは次の3点です。
  1 苺ケーキを持ってくれば、ケーキについている銀紙とで電気ができるよ!
  2 ゴキブリを潰した時に出てくる体液
  3 酸性雨

3 化学電池の設計図
 教科書にしたがって、化学電池の設計図を書かせます。
 使用する水溶液は塩酸、金属は銅と亜鉛です。

・ これだけではつまらないので、大きな電流を発生させるための工夫を予想させます。
・ また、マイクロ・アンメーターの使用、電流量の変化をグラフ化させることも紹介します。

4 次時の予告
 ・ 1時間実験すること
 ・ 各自で水溶液、および、金属を持ってくること
 ・ 学校で準備する水溶液は塩酸だけ、金属は亜鉛、銅、マグネシウム、アルミニウムであること
 ・ この実験はテストと同じように重要で、学年末の通知表に反映されること



予告: 次の時間の実験は重要です!
1 自宅から持ってくる(水溶液、金属)
2 発見、感想
3 図、表、グラフ
4 ───(3学期学力テストで評価します)

1:関心・意欲・態度、2:科学的思考、3:実験・観察の技能、4:知識・理解



(上:塩酸にマグネシウムリボンと銅板を入れて紹介したクラスもあります。その場合、ぶくぶくと水素が発生するので、いかにも何か起こっていそうな感じがします。また、食塩水で電流が発生します。)

  ◎ A君の学習プリント


<評価基準>
1 自然事象への関心・意欲・態度
2 科学的な思考
3 実験・観察の技能・表現
4 自然事象についての知識・理解
 B 化学電池のしくみを正しく説明することができる


授業を終えて
 生徒達は、とても簡単に化学電池ができることに驚いていました。写真下は、リンゴとレモンにマグネシウムリボンと銅板を差し込んだものですが、とても大きな音で電子オルゴールを鳴らすことができます。本時のタイトルは、「化学電池のしくみ」ですが、実際は「化学電池の作り方」になっています。初めに述べたように、化学電池のしくみは学習する必要がなくなっているので、本時は、次時のための動機付けに重点を置きましたが、その狙いは達成されたと思います。


◎ もう少し詳しく知りたい先生のために
・ 2種類の金属を電解質水溶液に入れると、電流が流れる
・ 金属の組み合わせによって、プラス・マイナスは変わる

<金属のイオン化傾向>

Ca

Na

Mg

Al

Zn

Fe

Ni

Sn

Pb

(H2)

Cu

Hg

Ag

Pt

Au

プラスイオン ←

→ マイナスイオン
・ プラスイオンになりやすい金属は「マイナスの電子を放出」するので、マイナス極になる。ただし、プラスマイナスの意味を正しく理解していない生徒がたくさんいることを忘れないように・・・

◎ 今回拾い上げなかった生徒のつぶやき
・ 先生、電気って1種類なの?
 

← 前 時
実験2 いろいろな還元

次 時 →
実験3 化学電池

↑ TOP

[→home
(C) 2005 Fukuchi Takahiro