このページは、Mr.Taka による中学校理科の授業記録 3年(2004年度)です

観察4 宇宙を構成するもの(天体)
                    2004 9 21(火)
                    各教室

 本時の授業タイトル決定にあたっては、随分迷った。宇宙スケールを拡大していく『宇宙の姿』にしようか、それとも、宇宙を構成する『天体』を個々に取り上げるか。結論としては、宇宙スケールの認識は中学生レベルでは無理であろうと判断し、本時のように、語句の説明を中心に授業を展開することにした。なお、適切なビデオ教材(スケールを順次拡大していくような)があれば、『宇宙の姿』にした方が良いと思うが、現代科学で解明されていない部分も多いので生徒の実態に合わせることが1番大切だと思います。

(上:Aさんの学習プリント)


◎ 授業の流れ
1 天体について

 下の表のように、天体をまとめた。それらの基本単位となるのは恒星(いわゆる『星』、自分でエネルギーを放出して光り輝く星)。中学生にとって、太陽と同じような天体が宇宙に存在していること自体が信じられない。みなさんだって、夜空に光り輝く全ての星が太陽を同じように爆発している、と言われてもピンと来ないと思います。授業では、少なくとも10分間は使って恒星について理解を深て下さい。必要ならば、授業時間の半分を消費するほどの大きな脱線をしても構いません。
・ 太陽は平均的な大きさの恒星より、ちょっと小さいこと
・ 太陽に1番近い恒星は、シリウスであること

<参考資料:シリウスについて>
・ 光 度: 太陽の26倍
・ 質 量: 太陽の2.5倍
・ 半 径: 太陽の1.8倍
・ 明るさ: −1.4等級(全天で1番明るいけれど、それは太陽からの距離が近いためであり、シリウスより明るい星は銀河系内でも億単位で存在する)
・ 表面温度: 10000度C(太陽は6500度C)
. 距 離: 8.6光年(光の速さで旅行しても、往復17年間もロケットに乗っていなければならない)
・ おおいぬ座の1等星
・ オリオン座の
ベテルギウス(橙色)、子犬座のプロキオン(白)と合わせて冬の大三角形を形成する
・ 目に見えない連星を伴っている

・ 名前のついている星は、ほどんど大きな恒星であること


(上:ある学級のノート)
(右:別の学級のノート)


<参考資料:流星(流れ星)について>
・ 宇宙空間を漂っている物質が、地球の上空100Km付近で燃えたもの
・ 光 度: −3〜 6等級
 → 6等級とは、肉眼で観察できる限界の明るさ。最も暗い星の平均の明るさです。
・ 直 径: 1mm〜 数cm

 → 直径1mmを具体的にイメージさせると「先生、じゃあ、私たちゴミに願いごとをしているの!?」と吃驚します。

・ 質 量: 1mg〜 数10g
・ 密 度: 0.2g/立方cm〜 1g/立方cm
・ 速 さ: 数Km/秒〜 72Km/秒
・ 成 分: Ca、Na、Mg、Fe、Niなど
・ 流星の中で、質量が大きく、光度が−3等級以上になるものを『火球』という
・ 火球の中で、燃え尽きずに地上まで落ちてきたものを『隕石』という

2 太陽系のつくり

 「太陽系をスケッチしてみましょう。まず、先生が説明をしながら書きますので、みなさんは説明が終わるまで書いてはいけまん。質問はしても良いですが、先生がよしと言うまで黒板の説明を聞いていて下さい。」

(右:太陽と地球と月)


 (左:このクラスでは、太陽が銀河系の中心のまわりを回っている周期を間違えて教えてしまった。20億年ではなく、2億年である。したがって、太陽の年齢が46億年だとすると、すでに23周していることになる。近いうちに訂正しておこう。また、太陽が銀河系内を移動している速さは220km/秒。時速ではなくて秒速です。)

3 銀河系のつくり
 「さて、宇宙には太陽と同じように自分で光り輝いている星が沢山ありますが、私たちの太陽は数億個の恒星と一緒になって渦巻きをつくっています。これを銀河と言いますが、私たちの太陽がある集団を銀河系と言います。銀河系のスケールで見れば、太陽は本当に小さなものでまったく見えないほどちっぽけな星であると考えても間違いではありません。」

(上:銀河系の直径は10万光年で、太陽は中心から2.8万光年ずれている。)
<参考資料:銀河について>
A 形による銀河の分類
 1 渦巻き銀河(渦巻き状のもの、われわれの銀河系を上から見た場合)
 2 円盤銀河(円盤状のもの、われわれの銀河系を横から見た場合)
 3 棒状銀河(棒状のもの)
 4 楕円銀河(楕円状のもの)
 5 不規則銀河(不規則な形のもの)
B その他
・ われわれの銀河系に1番近い銀河は、アンドロメダ星雲である
・ アンドロメダ星雲までの距離は230万光年

4 本時の感想や発見


◎ Dさんの学習プリント

◎ 板書案

(上: 右上の計算式は、生徒からの質問「シリウスまで歩いて行くと何年かかるの?」に答えるためのメモ。歩く速さを時速10キロメートル(1秒で3メートル進む)と考えた時、光速30万kmと比較すると、1/1億になるので、シリウスまで歩いていくと8.5億年かかることになる。つまり、自分の子どもの子どもの子どもの子どもの・・・になるから、それを地球生物の進化の歴史に当てはめて考えると、恐竜時代(2.5億年前)よりさらにずっと溯り、イソギンチャクのような腔腸生物になってしまう。)


<評価基準>
1 自然事象への関心・意欲・態度
 B 宇宙を構成する天体について、自ら疑問を持ち調べることができる

2 科学的な思考
 B 地球→太陽系→星団→銀河系の順に、スケールを大きくしながら宇宙の姿を捉えることができる

3 実験・観察の技能・表現
 B 太陽系、銀河系の姿を丁寧かつ正確にスケッチできる

4 自然事象についての知識・理解
 B 恒星について正しく理解できる
 B 太陽系、銀河系、天の川について正しく理解できる


授業を終えて
 生徒にスケールの違いをイメージさせるのは非常に難しいが、生徒に指導する以前に、私自身が宇宙スケールをイメージできるようにならなければ話にならない。まだまだ勉強不足は否めない。

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