このページは、Mr.Taka による中学校理科の授業記録 3年(2004年度)です

ビデオによる復習
                2004 9 27(月)
                特別活動室、または、第1理科室

 天文分野においてビデオ教材を利用することは、非常に有効である。理想的な授業では、必要な部分(数分間)だけをタイミングよく見せるが、怠慢な私は今日まで普通教室で授業を行った。

 このページは、指導のポイントと生徒の様子を文章でまとめた。


◎ 授業の流れ
1 特別教室に移動

 大画面だけでなく、特別な音響設備もある教室を利用したい。

2 本時の学習プリントをもらう
 内容や感想をメモするだけなので、白紙に近いプリント(通常の半分、B5版)を配付した。しかし、裏表ぎっしりに書いても紙面が足らなくなる生徒が続出した。

3 ビデオを観ながら、内容をまとめる
 初めから最後まで一気に見せてはいけない。必ず、ポイントとなる部分で一時停止し、観察・観測のポイントを確認する。さもなければ熟睡する生徒が続出するであろう。また、必要に応じて教室の電気をつけたり暗幕の一部を開けて室内を明るくし、学習プリントにメモさせる。さらに、重要な内容を2回以上くり返し見せることも有効である。生徒から「先生、もう一度観せて!」と言われるような指導をしなければ、市販ビデオを使う意味がない。今回の授業では、『太陽・月・地球(10年前のビデオ、10分)』と『太陽系(20年前のビデオ、40分?)』の2本から、必要な部分はくり返し3回、学習指導要領から削除された部分はカットして見せた。また、金星の見え方など重要なところは、一旦停止ボタンを使うだけでなく、通常授業のように学級に質問しながら授業を展開した。
<説明の例: 太陽の部分が終わって>
 「じゃあ、ここまでの内容を書いて下さい。授業で習ったキーワードは必ず書いて下さいね。・・・えっ、分からないんですか! 黒点とかプロミネンスとか・・・そして、授業では教えなかったことやビデオの映像で新しく発見したことを書いて下さい。全部忘れてしまった人は、感想でも構いません。」
・・・しばらくしてから・・・「もう少し時間が欲しい人はいますか? はいはい、10人ぐらいいますね。では、先ほど観たビデオの後半部分から、もう一度流しますので、終わるまでに終わって下さい。続きの部分になったら、教室の電気を消します。」
<説明の例: 地球から見た金星1>
 ビデオを一時停止させて・・・「ビデオで見ると、どうして金星が大きくなるか良く分かりますね。地球に近づくから大きく見えるのです。そして、皆さん、目を細くして画面を見て下さい。どうですか?! 金星が輝いている部分がよく分かるでしょ! 「うわあ、本当だ!!」・・・ビデオをスローで巻き戻しながら、もう一度再生するので金星の大きさと太陽の光を反射する部分を良く見て下さいね。」
<説明の例: 地球から見た金星2>
 
ビデオを一時停止させて・・・「では、ここで質問です。太陽と金星の地球の位置から判断して、ここの金星はいつ見えるでしょう。夜、朝、昼、夕で答えて下さい。指名します。A君!・・・そうですね。朝です。では次に、ここの位置の金星は?・・・えっ、朝ですか。皆さんにも聞いてみましょう。ここは前回の授業で習ったところだし、次の中間テストにも出題するので、全員、朝昼夕夜のどれかに手を挙げて下さい。まず、初めに、A君に賛成して朝だと思う人?・・・はい、正解です。今、手を挙げなかった人は復習が足りません。勉強不足です。」

4 チャイム→ 終了
 大変充実した時間だったで、チャイムが鳴ってからも学習プリントに発見や感想をまとめ続ける生徒が半数以上いた。尚、特別活動室を利用した後、生徒が出した消しゴムのかすを、生徒自身に拾わせる必要がありました。これは、熱心に学習した生徒を白けさせる効果があるので、私は2度と特別活動室を使いません。また、使用後に施設点検票(自分の印鑑、および、点検確認立会人の氏名・印)を管理職に提出する必要もありました。


◎ ビデオ教材の主な内容
1 太 陽

・ プロミネンスの活動
 → 写真資料は、地球大きさの数倍以上ある迫力あるものが多いけれど、動くビデオ映像には勝てない。今回のビデオで紹介されているのは、時間を短縮したものではなく、リアルタイムで観測された小さなプロミネンスだったが、始まりから消滅までの30数秒間の活動には「凄い!」の歓声が挙がっていた。なお、プロミネンス(紅炎)とは、コロナの中でも、とくにコロナの磁場によって支えられて太陽の表面が噴火しているように見える現象である。
・ 黒点の活動
 → 前任校にあったビデオでは、時間を短縮して観測した黒点(暗部や半暗部)の活動をに歓声が上がった記憶があるが、今回のビデオにはなかった。その代わり、粒状斑りゅうじょうはんの活動(太陽内部から沸き出す熱による対流活動)については、「先生、あれって本当に太陽?!」と驚きの声が広がっていた。

2 月
・ 太陽の光を反射している月

 → 「やっぱり月は光っていないんだ。」と、今さらのように驚いている生徒がいた。
・ クレーター
 → クレーターにもいろいろな大きさがあること。また、野球部の生徒に「A君が力一杯ボールを投げれば、月には大気がないから、そのまま月面にぶちあたってクレーターができる。」と話をしてやると盛り上がる。

3 水星、金星、火星、木星、土星
 → 金星については、先に紹介した通り、詳しく復習した。
 → 土星は、特徴的な美しい輪を持つ興味ある天体である。この輪の傾きは、毎年変わるが、2004年は、土星の輪を下から覗き込むような形になっていて、2010年には、土星の北極と輪の縁が重なるぐらいに傾く(これが本当かどうかインターネットで確認しようと1時間以上粘ったが確証を得られなかった。)

4 太陽系の惑星の公転周期
 → 地球が1周する間に、水星や金星が何回転もすることや、土星がなかなか動かない様子を楽しんでいたので、学級によっては3回くり返し見せた。

5 9つの惑星の太陽からの距離
 → 平面に描かれた同縮尺率の惑星なら、本年度の授業でも生徒にスケッチさせた。しかし、立体的な模型となると、インパクトが違う。飛行場という広大な敷地を使って、大小様々な9つの惑星を、順に、同じ縮尺率で置いていくと、直径2メートルの太陽模型は地球の距離からはは微かに見えるだけの大きさになってしまう。木星や土星の位置になると、太陽は肉眼で分からないほど小さくなる。さらに、その広大な敷地は砂粒1つ落ちていない真空空間であること(もし、直径2cmの石が落ちていたら、それは地球と同じ)、つまり、太陽と惑星、惑星と惑星の間は何もない真空の宇宙空間であることを紹介すると、「えっ、宇宙って何もないんだ。」と生徒は目を丸くして吃驚していた。

<評価基準>
1 自然事象への関心・意欲・態度
 B 学習プリントの正確、かつ、丁寧に記述することができる

2 科学的な思考
 B 多角的な視点から、これまでの学習の復習をすることができる

3 実験・観察の技能・表現
 B 図や表を使って、これまでの復習をすることができる

4 自然事象についての知識・理解
 B 定期テストで50%以上正解することができる。


授業を終えて
 毎時間、適切なタイミングでビデオ教材を見せる方が効果的だと思われたが、ある程度の範囲を学習してからまとめて見せても、総合的な視点で復習ができたので、ほっとしている。

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