このページは、Mr.Taka による中学校理科の授業記録 3年(2004年度)です

観察6 地球の自転
                   2004 10 1(金)
                   各教室

→ 南中時刻の変化
→ 1日の定義

 太陽は、24時間で地球の周りを東から西へ1回転するように見えます。これを太陽の日周運動といいますが、授業の前半で、地球から観測した太陽の動きを調べ、後半は宇宙から観測した地球上の東西南北を調べます。
<本時のプログラム>
前半: 太陽の日周運動
後半: 宇宙から見た地球上の東西南北


(上:Aさんの学習プリント)


◎ 授業の流れ
1 導入:太陽の日周運動

 太陽は、東から西へ1日に1回転するように見える。

 <説明の例>
 「A君に、透明半球の中心に立ってもらいましょう。さて、初めに東西南北を確認しておきます。こちらを南とすると、反対側は?・・・そうですね、北です。 さて、次を間違えないで下さいね。すると、手前は東ですか?西ですか?・・・正解、東です。ここを間違えると大変なので、しっかり書いておきましょう。」
→ 生徒の顔色から判断して、1学級につき7、8人が怪しい。

 「さて、となると、太陽はどこから出てくるでしょう。これは、みなさん知っていますよね。B君、東西南北のうち、何処から出てきますか? ・・・正解!東です。太陽は、朝、東の空から出てきて、こんな感じで南の方へ動き、そして、西へ沈みます。みなさんも同じように学習プリントに書いて下さい。・・・ 書けたようですね。このように、太陽が東から西へ1日に1回転するように見えることを何と言いますか?予習してきた人は分かりますね。・・・そうです、太陽の日周運動と言います。」「次に、どうして太陽が動いているように見えるのでしょう。その前に、ちょっと聞いておきましょう。太陽って、本当に動くんですか。それとも動かないんですか。正確にいうと太陽は動いていますが、今先生が聞いているのは、太陽は1日1回転するんですか?ってことですよ。じゃあ、ヤバそうな人に当てます。そうですねえ、C君に質問です。太陽は動いていますか。はい、または、いいえで答えて下さい。・・・なるほど、太陽は動いているという考えですね。では、皆さんに聞いてみます。C君の考えに賛成する人・・・はいはい、いますね。良いですよ。では、反対する人・・・これはたくさんいますね。正解は、いいえ。太陽は動きません。いいですか、前の時間に学習しましたよね。太陽は動きません。もう一度確認しておきましょう。誰か理由を説明して下さい。・・・ はい、その通りです。地球の自転です。地動説です。教室の後ろの年表で確認しましょう。皆さん、後ろを見て下さい。ほら、ここ。コペルニクスが地動説を唱える、とあります。彼は宗教裁判に掛けられて死刑になってしまいましたが、最後に『それでも地球は回る』と言い残しました。400年も昔の話ですよ。」
→ 地動説については、今日の授業でおそらく理解してもらえると信じている。

2 太陽の南中
 時間や東西南北について深追いすると失敗します。南中とは、天体(太陽、月、恒星など)が真南にくること、とだけ教えます。生徒のつぶやき声が聞こえても知らない振りをした方が無難です。尚、具体的な南中高度の求め方は、次の時間に指導しますので、ここでは太陽が東から昇り(南を通って)西へ沈むことだけを確認します。

・ 南中したとき、天体の高度は最大になる
・ 南中時刻は12時ではない(場所や季節によって20分程度変わる)

<参考資料:南中時刻の変化>
・ 日本標準時は東経135度を基準にしているので、各地の時刻は異なる
・ 東経135度より東は12時前、西は12時後に南中する(1度につき4分ずれる)
・ 地球の公転軌道が楕円なので、1日毎に動く角度が変わる
・ 正午を標準時子午線(1時間単位)で設定

<参考資料:1日の定義>
1日という時間は次の3つの方法で定義されるが、一般的には太陽日を24時間とする
名 称

定 義
地軸に対する
地球の自転

太陽時による1日

恒星日

恒星の南中から南中まで
360度

23時間56分04秒
→ 恒星は、南中時刻が毎日4分早くなる

太陽日

太陽の南中から南中まで
361度

24時間00分00秒
→ 太陽は24時間毎に南中する(基準)

太陰日

月の南中から南中まで
373度

24時間50分28秒
→ 月は、南中時刻が毎日50分遅くなる


→ 太陽は365.224日で、月は27.322日で地球のまわりを1回転するように見える

昼12時の太陽は何をしていますか。
→ 「光っている。」「お昼ねしている。」

「先生、曇っている時も太陽ってあるの?」

2 南中高度
 前と同じ図に書き込んでも良かったが、分りやすさを優先し、新しい図に書き込ませた。そして、季節によって南中高度が変わることだけを確認した。

<説明の例>
 「上の図と同じ位置に太陽を書いて下さい。そして、定規を使って太陽と福地君を結んで下さい。次に、南と福地君を結んで下さい。これら2本の直線によってできた角度を、太陽の南中高度と言います。」「ここで、みなさんに簡単な質問ですが、冬と夏の太陽の南中高度を比較した場合、どちらが大きいですか。不等号で表わして下さい。・・・そうですね。夏は太陽が高く昇るので、夏の南中高度の方が大きいです。」

3 太陽が動く速さ
 太陽は一定の速さで動く
・ 途中で、速くなったり遅くなったりしない
・ 太陽が地平線の下に沈んでも、同じように動いている
・ 年間を通して、同じ速さで動く
・ 太陽が動くように見えるのは、地球が自転しているからである

(上:1年に2回だけ、太陽は真東から真西へ動く)
時 間 太陽が動く角度
1時間 15度
2時間 30度
6時間 90度
12時間 180度
1日 360度

4 宇宙から見た地球上の東西南北
<説明の例>
 「さあ、授業後半の始まりです。プリントに、地球が4つ用意してあるので、下図のように4人のヒトに立ってもらいましょう。太陽の光が来る方向は、すべて地球の上からとします。では、ここまで描いて下さい。」「次に、それぞれの人が立っている時間を書きます。これは、復習問題なので、みなさんに質問します。1番左側の人の時間はいつですか?・・・そうです。頭の真上から太陽の光が降り注いでいるので昼の12時です。次に、左から2番めの位置に立っているヒトは何時でしょう?・・・そうですね。もうすぐ太陽が見えなくなりますから、夕方6時です。・・・(真夜中と朝の説明は省略)・・・」

(上:天の北極から見た地球)
<説明の続き>
 「次に、宇宙から見た場合の東西南北を書き込みます。地球にいる人から見れば、東西南北は変わりません。太陽が東から昇り、西に沈むだけです。しかし、実際は太陽は動きません。地球が自転しているから動いているように見えるだけです。つまり、宇宙から地球を見た場合、地球人が自分中心に東西南北を決めているので、時間と共に変化することになります。では、具体的にどうなっているのか4つ位置を調べてみましょう。まず、左端の場合、昼なので太陽は真南に見えます。太陽は南中しています。6時間後はどうでしょう。夕方、太陽はどちらの方向に見えますか?・・・そうですね、太陽は西に沈むように見えます。ほら、東西南北が変わったしょ。次に、真夜中を調べるとちょっとややこしくなるので、朝にします。太陽は、どちらの方向から昇りますか?・・・そうですね。東です。ということで、真夜中は、残された方角・・・北になります。」

(上:練習問題として、朝(右端)の南の方角を考えさせた。)

5 本時のまとめ・感想

(上:このようなシンプルな感想が一番嬉しい。)

6 質問コーナー
 今日は盛り沢山だったので、あまり盛り上がりませんでしたが、教科書から抜け出したようなシンプルな質問が出たのでとても嬉しいと申しますか、まるで桜のような質問なので驚きです。

(上:ギリギリ今日の学習内容ができた男子生徒からの真面目な質問でした。半分消してから貴重なものだと気づき、慌てて撮影。)


<評価基準>
1 自然事象への関心・意欲・態度
 B 学習プリントを丁寧かつ正確にまとめることができる

2 科学的な思考
 B 太陽の日周運動を地動説から説明することができる

3 実験・観察の技能・表現
 B 太陽の日周運動を立体的な図で正しく表現することができる

4 自然事象についての知識・理解
 B 太陽の南中、および、日周運動を正しく理解することができる
 B 宇宙から見た場合、地球の東西南北が変化する理由を説明することができる


授業を終えて
 授業の前半と後半の間に、5分間の休息をとった。その時間を利用して、前半の学習内容が分からない生徒は友達に教えてもらうように指示したところ、3、4人の生徒が互いに教えあっていた。また、全ての授業が終了してから、簡単な練習問題を解かせることは、知識を定着させる上で有効である。
 

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