このページは、Mr.Taka による中学校理科の授業記録 3年(2004年度)です

観察7 日本の四季
               2004 10 5(火)
                   各教室
 授業のテーマは『日本の四季』で、次のような2部構成になっています。
前半: 地球の公転面から見た日本における太陽の南中高度の変化(20分)
後半: 日本における太陽の日周運動の変化(15分)

<季節変化が起こる原因>
1 地球の公転
2 地軸の傾き


◎ 授業の流れ
1 地球の公転

 1 公転の確認
  地球は、太陽を中心にして、1年で1回転する
 2 宇宙の斜上から見た時の、春夏秋冬の位置の確認
 3 なぜ、そのような位置になっているかの問題提起

2 地軸と赤道の確認
 1 地軸は、23.4度が傾いている
 2 地球は、地軸を傾けたまま太陽を中心に公転している
 3 地球が太陽の左右に来た時の、赤道を書く
<説明の例>
 「地軸は先生が印刷しておいたので、赤道を書いて下さい。地軸に対して直角に書けば良いですね。」

3 冬の位置における名古屋の地面の角度を作図する
 1 赤道から、名古屋の緯度(北緯35度)になるような線を引く
 2 緯線と地球の接点に、自分が立っている図を書く
 3 自分に対して、直角になるように名古屋の地面を書く
<説明の例>
 「次に、地球に名古屋を書いてみましょう。名古屋は赤道より上にありますか?それとも下にありますか?・・・そうですね、赤道より上にあります。北にあります。では、赤道を基準にした場合、角度にすると何度北にあるでしょう。知っている人は答えて下さい。・・・よく知っていますね。35度です。教室の前にある世界地図で確認すると、日本はココだから、赤道より北になています。どれくらい北なのか、その角度を隣の日本地図で調べると、名古屋はココですから35度で良いですね。ちなにみに、北海道を調べてみると、何と45度ぐらいになっています。」
→ 3割の生徒は、日本が赤道より北か南か、自信を持って答えられない。

 「では、さっそく学習プリントに名古屋を書き、自分を立たせて下さい。赤道は0度、北極はは90度です。分度器を持っている人は、赤道から35度の角度のなるように直線を引いて下さい。そして、円と接したところに自分を立たせて下さい。こんな感じで傾いて立っていることになります。」・・・「みなさん書けましたか。できたようですね。では、次に、名古屋の地面を書きます。宇宙から見ると、皆さんは傾いて立っていりますが、地面も傾いていることになります。自分に対して直角になるように地面を書いて下さい。数学では、円の接線として勉強したと思います。」

(上:宇宙から見た名古屋の地面の角度)

 → 厳密には、宇宙の何処から見ているのかはっきりさせておく必要があるが、実際の授業では、触れずに本題に入る方が混乱を招かない。

4 太陽光の入射方向を書く
<説明の例>
 「いよいよ太陽の光を当ててみましょう。名古屋には、どんな角度で降り注ぐのでしょう。まず、黒板を見ていて下さい。ここに太陽がありますが、太陽から真直ぐ線をひいてはいけません。実際の太陽はとても遠いところにあるので、太陽の光は平行光線になっていることは知っていますね。ですから、この図に書く時には、まず、太陽から平行光線を何本も引きます。そして、その内の1本だけ、あなたの足元に当てて下さい。これで、名古屋の地面に降り注ぐ太陽の角度が分かります。」


5 冬の名古屋の太陽の南中高度
<説明の例>
 「こうしてできた地面と太陽光線の角度を何と言いますか?・・・そうですね、太陽の南中高度です。詳しい角度の求め方は授業の後半で紹介しますが、分度器で正確に作図した人は、31.4度になります。」

6 夏の名古屋の太陽の南中高度
<説明の例>
 「同じようにして、名古屋の太陽の南中高度を作図して下さい。分からない人は、先生が回って行くので手をあげて下さい。もちろん、友達どうし教えあって下さい。」

(上:A君の学習プリント)

=== ここで、前半終了 ===

5分間の休息
作図ができていない生徒や理解が不十分な生徒は、この休息時間を利用して教えあう。
この時間はとても大切です。

=== ここから後半の始まり ===

7 地球から見た太陽の動き(日周運動)
 春分・秋分→ 冬至→ 夏至、の順に指導すると分かりやすいと思います。
◎ 春分の日、秋分の日
<説明の例>
 「宇宙からみた太陽の南中高度は分かりましが、次に、地球から見た太陽の日周運動を書いてみましょう。基本になるのは、太陽が真東から出て真西に沈む春分の日と秋分の日です。さっそく、プリントに書いてみましょう。まず、55度の位置に太陽を書いて下さい。そして、真東から真西向かって太陽の動きを書いて下さい。何故、南中高度が55度になるかは後から教えます。」

(上:昼に動いている時間は短く、夜は動いている時間が長い。)

◎ 冬至の日
<説明の例>
 「次は冬至です。冬になると、太陽の南中高度はどうなるでしょう。高くなりますか? それとも、低くなりますか?・・・そうですね、低くなります。高度の計算方法は後から教えますが、分度器がある人は、31.6度のところに太陽を書いて下さい。」・・・「書けましたか。では次に、太陽が出てくる位置と沈む位置を確認します。まず、出てくる位置を聞いてみましょう。真東でないことは分かると思いますが、真東より南よりになりますか? それとも、北よりになりますか?・・・そうですね。南よりになります。全員正解です。」 「同じように、太陽が沈む位置を考えてみましょう。太陽が沈む位置は、真西より南よりになりますか? それとも北よりになりますか?・・・そうですね。南よりになります。さて、今確認した3つのポイントを通るように太陽の通り道を書いて下さい。ちなみに、太陽が地平線から昇ってくる角度は、春分・秋分の日と同じです。」

(上:昼に動いている時間は短く、夜は動いている時間が長い。)

◎ 夏至の日
<説明の例>
 「最後に、夏至です。太陽の高さはどうなりますか。高くなりますか? それとも、低くなりますか?・・・そうですね、高くなります。正確には78.4度になります。」「次に、太陽が出る位置と沈む位置を確認します。まず、出る位置は真東より「南より」になりますか? それとも「北より」になりますか?・・・そうですね。以下、省略

(上:昼に動いている時間は長く、夜は動いている時間が短い。)

8 名古屋における太陽の南中高度の計算
<説明の例>
 「春分の日と秋分の日の太陽の南中高度を求めてみましょう。さて、その前に、この2日がとても珍しい日であることを確認したいのですが、どんな日か知っている人は教えてくれませんか?・・・そうですね、昼の時間をよる時間が同じ。つまり12時間ずつ。 それから?・・・そうですね、太陽が真東から出て真西に沈む。それから?・・・もう知りませんか?・・・とても珍しいので、学校が休みになります。」(ここで生徒から「えーっ、嘘っー! それだけで学校が休みになるの?」と大きな声が出ます。)「その通り。それだけの理由で学校が休みになります。だって皆さん、この前の3連休で学校を休んだじゃないですか。もう忘れたんですか。どうして休みか知らずに休んでいたわけではないでしょうね。太陽が真東から出て、真東に沈み、しかも、昼と夜が12時間ずつになる日です。昔は何らかの理由があったと思いますが、今は『自然を讃え、生命を慈しむ日』、あるいは、『祖先を敬い、亡くなった人を偲ぶ日』として祝日になったようです。」
<補足>
・ 春分と秋分の読み方が分からない生徒が半数以上いるので、絶対に確認する


<春分と秋分についてのちょこっと解説>
・ 正確には真東でも真西でもないけれど、その誤差は小さい
・ 正確には、時間は昼間の方が15〜20分程度長い
・ 春分日・秋分日は天文学的に計算できますが、春分の日・秋分の日はときの政府が決定します

春分日
3/19-21
秋分日
9/22-24
 以下に示した春分日・秋分日は天文学的に求められたものですが、祝日としての春分の日・春分の日は前年度2月1日に政府が閣議決定するものなので、予測できません。御注意下さい。
2004 3/20 9/23
2005 3/20 9/23
2006 3/21 9/23
2007 3/21 9/23
2008 3/20 9/23
2009 3/20 9/23
2010 3/21 9/23
2011 3/21 9/23
2012 3/20 9/22

 
 名古屋の南中高度= 90度− 名古屋
 名古屋の南中高度= 90度− 35度
 名古屋の南中高度= 55度

 夏の南中高度= 55度+ 23.4度
 夏の南中高度= 78.4度

 冬の南中高度= 55度− 23.4度
 冬の南中高度= 31.6度

・ 名古屋は北緯35度
・ 地軸の傾きは23.4度
・ 1年は365.2422日

◎ D君の学習プリント


<評価基準>
1 自然事象への関心・意欲・態度
 B 学習プリントを丁寧かつ正確に書くことができる

2 科学的な思考
 B 日本に四季ができる理由を、太陽の南中高度の変化から説明することができる

3 実験・観察の技能・表現
 B 宇宙から見た太陽の南中高度の変化を正しく図示することができる
 B 春分、夏至、秋分、冬至における太陽の日周運動を正しく図示することができる

4 自然事象についての知識・理解
 B 日本に四季ができる理由を「地球の公転」と「地軸の傾き」から説明することができる


授業を終えて
 宇宙から見た図では、太陽が非常に遠いところにあって、地球には平行光線として降り注いでいることを図示するのが難しい。地上から見た図では、太陽の夜間の動きまで正確に書くことと、春分・秋分ときの動く角度と夏至・冬至のときの動く角度が同じあることが分かっていても、図示することは難しい。ただし、生徒からの授業を終えて感想は「よくわかった」であり、良好な結果だった。

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