このページは、Mr.Taka による中学校理科の授業記録 3年(2004年度)です

観察8 星の日周運動
                   2004 10 18(月)
                   各教室

 今日は「地球から見た」星の日周運動について調べる。これは地球の自転(天動説)によって説明できるが、本時は触れない方が無難である。初めに、宇宙のから仮想の『天球』が1日に1回転していることを考え、次に地上から見た東西南北それぞれの空の動き調べる。もし、生徒が十分に理解できたなら、地球の自転(反時計廻り)を復習しても良いが、中途半端な理解のまま復習をすると、天球と自転の方向が逆になっているので混乱を招く。授業は、次のように前後半に分ける。

前半: (天動説による)宇宙からみた星の動き
後半: 地球から見た東西南北、それぞれの空の星の動き(天動説)

(上:北緯35度、名古屋における星の日周運動)


◎ 授業の流れ
1 導入:星の日周運動

 ・ 全ての星は、北極星を中心にして1日に1回転しているように見える(日周運動)
 ・ 星の日周運動は、地球の自転によって説明できる

 <説明の例>
 「地球は地軸を中心に自転していることは勉強しましたが、地軸が天球を突き破ったところに星を書きます。さて、この星の名前は何でしょう?・・・えっ、北斗七星ではありませんよ。そうです、北極星です。間違えないで下さい。さて、地球から見ると、全ての星は北極星を中心に1日に1回転しているように見えますが、それは、どうしてですか?・・・そうですね、地球が自転しているからです。」
 <ポイント>
 このタイミングで地軸の回転方向を書くのは簡単だが、星の日周運動の方向と逆になるので、あえて言葉だけで確認しておく方がよい。授業の最後に、生徒の理解度に余裕があれば、地軸の回転方向を復習させる。ただし、何故、星の運動方向と逆になるかについては、新しい問題として十分な説明をする覚悟と時間(少なくとも5分)が必要である。

2 北極星の動き
 次の点を確認する
 ・ 北極星は1年中、24時間同じ位置にある
  → 太陽がなくなれば、いつでも見える
  → 厳密に観測すれば、北極星も小さく日周運動している

 ・ 南極星にあたるものはなく、そのかわりに「南十字星」がある
 ・ 昔の人々は、北極星や南十字星などを頼りに旅(航海)をしてきた
 
 (上:A君の学習プリント)

3 北の空の動き
 <説明の例>
 「星の回転方向を確認しましょう。黒板を見て下さい。アの方向ですか? それともイの方向ですか?・・・そうですね、アの方向です。→テクニック:前にも述べたように、地軸の回転(自転)方向と逆になってることは、ここでは触れない。混乱を招くだけである。生徒には、太陽と同じように、東→南→西と動くことを確認させる。日周運動の原因は、地球の自転なので、とにかく東から昇って西へ沈むように見えるんだ、と指導する。」「次に、北極星の近くに星を1つ書き、それを日周運動させましょう。・・・こんな感じです。みなさんも自分のプリントに書いて下さい。」「ちょっと難しかったと思いますが、チャレンジしたい人は、もう1つ北極星の近くに星を書いて下さい。そして、同じように日周運動させて下さい。」

4 真東にある星の動き

 <説明の例>
 「次に、地平線の真東に星を書きます。この星の日周運動はどうなるでしょう。どちらの方に動くと思いますか?・・・そうですね、太陽と同じように、南の方へ昇り、真西へに沈みます。もちろん、地面の裏側でも同じように動いています。」

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ここで授業前半終了となるが、休息を挟まず後半に入る
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5 地上から見た北の空
 <説明の例>
 「今度は、地上から見たときの星の動きをスケッチします。東西南北すべての方角について書きますが、4等分する必要はありません。北と南は詳しく書きますが、東と西は簡単にしか書かないので、そのつもりですペースを準備して下さい。」

 「では、北の空を書きます。水平線に自分を立たせて下さい。そして、自分の上に星を書きます。・・・頭の上に星が輝いているなんて良いですね。ところで、この星の名前は何ですか?・・・そうですね、北極星です。なお、北極星の高さですが、名古屋なら35度、北極点なら90度、つまり、観測地点の緯度と同じになりますす。」

 「ここに北斗七星とカシオペア座を書きましょう。北極星は北斗七星から見つけることができますが、柄杓の先端の2つの星を結んで5倍すると北極星になります。カシオペア座から見つける場合は、Wの両端を伸ばして結んだ頂点とWの真ん中の星を結んで5倍したとろこに北極星があります。また、北斗七星とカシオペア座は、ちょうど反対側の位置関係です。」

 「そして、北極星を中心にして、24時間で1回転します。実際は星が動いているのではなくて、私たちの地球が24時間で1回転しているから、そのように見えるのですね。」

6 地上から見た南の空
 <説明の例>
 「南の空を書きましょう。南に見える代表的な星座と言えば、オリオン座とサソリ座がありますが、どちらにしましょうか?・・・サソリの方が人気があるようなので、サソリ座を書いて下さい。→ オリオン座の名前を知っている生徒は30%に満たないが、オリオン座の三ツ星は真東から昇り真西に沈むので、説明には丁度良い。

 「次に、東西を確認します。東はどちらですか?・・・えっ、よく考えて下さい。今度は南を向いているのですよ。先程の宇宙から見た図と比較して下さい。・・・そうですね、左側が東になります。」

 「では、サソリ座の動きを矢印で表わしましょう。アの方向ですか? それともイの方向ですか?・・・そうですね、地球の自転方向が変化するわけがないので、同じように東から昇り、西へ沈みます。」

7 地上から見た東と西の空
 <説明の例>
 「最後に、東の空と西の空を書きましょう。自分の頭上に星を1つだけ書いて下さい。この星の動きを1本の矢印で表わすと?・・・誰か黒板に書きに来て下さい。・・・はい、良く出来ました。東から昇り、西へ沈みます。斜めになっている方向は、南がどちらになっているか考えれば分かりますが、先ほど書いた南の空の図の一部を切り取っても完了です。」

 「なお、宇宙から見た図を使って考えた人は、斜めになる方向が混乱しているかも知れませんが、宇宙から見た図の南を方角は逆になっていることを忘れないで下さい。ここでは、ごく簡単に南向きの図を書いてから、東や西の部分だけを切り取るようにすると間違いがなくなります。」


(上:東と西は、南を切り取るようにさせる。)

7 感想・発見




◎ Dさんの学習プリント


◎ 板書例

(上:激しい字で失礼しています!)

<評価基準>
1 自然事象への関心・意欲・態度
 B 色ペン等を使って、学習プリントを丁寧かつ正確にまとめることができる

2 科学的な思考
 B 宇宙から見た星の日周運動と地上から見た星の日周運動を結び付けることができる

3 実験・観察の技能・表現
 B 宇宙から見た星の日周日周運動を正確にスケッチすることができる

4 自然事象についての知識・理解
 B 天球を使って、星の日周運動を説明することができる
 B 東西南北、それぞれの方向の星の日周運動を説明することができる


授業を終えて
 天動説一色に染めた学級では問題なかったが、ある学級で、地軸の回転方向の説明を始めたところ、大きな混乱を招いてしまい、それを解消するために努力をしたが徒労に終わったような気もする。欲張り過ぎたと思い、ああ反省!

 また、星が同じ場所に戻るまでにかかる時間は24時間ではなく、正確には23時間56分。これは地球が太陽を中心にして公転していことが原因だけれど、次時は、この問題についてまとめます。

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