このページは、Mr.Taka による中学校理科の授業記録 3年(2004年度)です

観察10 黄道12星座
                   2004 10 25(月)
                   各教室

 みなさんは星占いに興味がありますか? 最近は、これまでの12星座に『蛇つかい座』を加えた13星座占いが流行っていますが、天文学的には、黄道(太陽の通り道)には13個の星座があるので間違いではありません。しかし、現代の星占いには重大な欠陥があります。それは、基準となる春分点が少しずつ移動し、星占いが誕生したとき『牡羊座』にあったものが、現在は『魚座』に移動したことです。つまり、自分の誕生日の星座が、実際の星座と違う(1つずれている)のです。今さら修正できないようですが、数千年後には、さらに星座1つずれます。さあ、事実を知ってしまった君! 星占いを超えた大きなロマンを宇宙に見つけるため、さらなる勉強を続けましょう。

(上:Aさんの学習プリント)


◎ 授業の流れ
1 黄道12星座

 次の順に説明すると良い。
 1) 宇宙には88個の星座がある
  ・ このページの最後の一覧を準備しました

 2) そのうち、太陽と重なる星座が12個ある
  ・ 他の76個の星座は、太陽と重なることがない
  ・ ただし、実際は「蛇つかい座」も太陽と重なるが、授業では触れない方が無難

<説明の例>
 「皆さん、太陽を見て下さい。今、太陽と重なっている星座があります。何と言う星座か知っていますか。もし、誕生日が今日の人がいたら、その人の星座です。誕生日の人はいませんか?・・・いないようですが、今月の星座を知っている人はいませんか?・・・そうですね、星占いの種類にもよりますが、今日はサソリ座です。もう一度太陽を見て下さい。太陽が明るすぎますが、もし、太陽が何処かへいったら、そこにサソリ座が輝いているはずです。
→ ここで、生徒から「おおっー!」と歓声が上がる。
  ・ 本当は、サソリ座ではなく射手座と重なってるが、授業では触れない方が無難

 3) 太陽の通る道筋を黄道という
 4) 黄道「こうどう」と読む
  → 余談であるが、月が通る道を「白道
はくどう」という
  → 黄道と白道が一致するとき「日食」が起こる

 5) 太陽の通り道と重なる12個の星座を、黄道12星座と言う


2 宇宙から見た本日の地球

 1) 太陽を書く
 2) 太陽を中心にして公転している地球を書く
 3) 本日の地球を書く

<説明の例>
 「それでは、黄道12星座をスケッチしましょう。まず、中心にある小さな点を太陽にして下さい。」・・・「次に、太陽の周りに4つの地球を書きましょう。それぞれに春夏秋冬を書きます。A君に答えてもらいましょう。地球が太陽の右側にあるとき、北半球は冬ですか?それとも夏ですか?・・・そうですね、冬です。公転する方向は?・・・そうです、反時計周りです。」

 「では、ここに本日の地球を書き込みましょう。今日は何日だ?・・・10月25日、と言うことは、Bさん、本日の地球は宇宙の何処を飛んでいますか?・・・大正解! 秋分9月23日と冬至12月21日の間を飛んでいます。みなさんも自分のプリントに書いて下さい。」


3 宇宙から本日の星座
 <説明の例>
 「さっき説明したように、今日はサソリ座と太陽が重なっています。では、ここで皆さんに質問です。この図にサソリ座を書き加えるとしたら、Aの位置ですか? それともBの位置ですか?・・・そうですね。太陽と重なって見えるのでAになります。」

4 黄道12星座のスケッチ
<説明の例>
 「では、プリントに印刷してある小さな点に「春分点」「夏至点」「秋分点」「冬至点」と書き込んで下さい。今調べたサソリ座は、冬至点の右隣にあります。同じようにして、印刷してある点線の上に12個の星座をスケッチしてもらいますが、位置が決まっているので、鉛筆で薄く線を引いてから書くようにしましょう。まず、各点の間に3つずつ薄い円を書いて下さい。これで、4×3で12個のスペースができました。あとは理科便覧88ページを参考にして星座をスケッチして下さい。では、始め!」



5 私の星座
<説明の例>
 「次に、自分の星座が何時見えるかまとめておきましょう。まず、自分の誕生日と星座を書いて下さい。分からない人は、先生が準備してきたプリントがあるので前に見に来て下さい。」・・・「みなさん書けたようですね。次に、自分の誕生日○月○日には、自分の星座○○座は見えない、と書いて下さい。」・・・「次に、半年後の月日を書きます。生まれた月に6を足して下さい。そして、その日に自分の星座が真夜中に南中する、と書いて下さい。」

5 感想・発見


◎ Dさんの学習プリント

◎ 板書例


参考資料: 88個の星座のうち、太陽が通る道筋(黄道)に位置する12個の星座を『黄道12星座』という。
黄道12星座 よみがな およその期間
星占いで使う名称
牡羊座 おひつじ座 03.21〜04.20 白羊宮
牡牛座 おうし座 04.21〜05.21 金牛宮
双子座 ふたご座 05.22〜06.21 双子宮
蟹 座 かに座 06.22〜07.22 巨蟹宮
獅子座 しし座 07.23〜08.23 獅子宮
乙女座 おとめ座 08.24〜09.23 処女宮
天秤座 てんびん座 09.24〜10.23 天秤宮
蝎 座 さそり座 10.24〜11.22 天蝎宮
実際の黄道上では、ここに『へびつかい座』が入り、13星座となる
射手座 いて座 11.23〜12.21 人馬宮
山羊座 やぎ座 12.22〜01.20 麿羯宮
水瓶座 みずがめ座 01.21〜02.19 宝瓶宮
魚 座 うお座 02.20〜03.20 双魚宮

参考資料: 星座の起源
5000年前 メソポタミア地方(現在のイラク)のバビロニアの羊飼い達、という説は間違っているらしいのですが、詳細は各自でお調べ下さい
3000年前 ギリシャやローマに伝わり今のようなロマン溢れる星座の伝説や神話
1922年 国際天文同盟(現在の国際天文学連合)が星座の問題に着手
1928年 88星座にする案を総会で可決
1930年 出版

88星座(50音順)
アンドロメダ カメレオン 獅子(しし) ペルセウス
一角獣(いっかくじゅう) 烏(からす) 定規(じょうぎ) 帆(ほ)
射手(いて) 冠(かんむり) 盾(たて) 望遠鏡(ぼうえんきょう)
海豚(いるか) 巨嘴鳥(きょしちょう) 彫刻具(ちょうこくぐ) 鳳凰(ほうおう)
インディアン 馭者(ぎょしゃ) 彫刻室(ちょうこくしつ) ポンプ
魚(うお) 麒麟(きりん) 鶴(つる) 水瓶(みずがめ)
兎(うさぎ) 孔雀(くじゃく) テーブル山(テーブルさん) 水蛇(みずへび)
牛飼(うしかい) 鯨(くじら) 天秤(てんびん) 南十字(みなみじゅうじ)
海蛇(うみへび) ケフェウス 蜥蜴(とかげ) 南の魚(みなみのうお)
エリダヌス ケンタウルス 時計(とけい) 南の冠(みなみのかんむり)
牡牛(おうし) 顕微鏡(けんびきょう) 飛魚(とびうお) 南の三角(みなみのさんかく)
大犬(おおいぬ) 小犬(こいぬ) 船尾(とも) 矢(や)
狼(おおかみ) 小馬(こうま) 蝿(はえ) 山羊(やぎ)
大熊(おおぐま) 小狐(こぎつね) 白鳥(はくちょう) 山猫(やまねこ)
乙女(おとめ) 小熊(こぐま) 八分儀(はちぶんぎ) 羅針盤(らしんばん)
牡羊(おひつじ) 小獅子(こじし) 鳩(はと) 竜(りゅう)
オリオン コップ 風鳥(ふうちょう) 竜骨(りゅうこつ)
画架(がか) 琴(こと) 双子(ふたご) 猟犬(りょうけん)
カシオペヤ コンパス ペガスス レチクル
旗魚(かじき) 祭壇(さいだん) 蛇(へび) 炉(ろ)
蟹(かに) 蠍(さそり) 蛇遣(へびつかい) 六分儀(ろくぶんぎ)
髪(かみのけ) 三角(さんかく) ヘルクレス 鷲(わし)



<評価基準>
1 自然事象への関心・意欲・態度
 B 色鉛筆等を使って、学習プリントを丁寧かつ正確にまとめることができる
 B 自分の誕生日の星座だけでなく、友達や家族についても調べることができる

2 科学的な思考
 B 星座を構成する星が、地球からさまざまな距離にあることを指摘できる
 B 88個の星座うち、12個の星座が黄道上を動いていることを指摘できる
 B 上記理由を、地球の公転から説明することができる

3 実験・観察の技能・表現
 B 宇宙から見た地球の公転と黄道12星座を正しくスケッチすることができる

4 自然事象についての知識・理解
 B 黄道12星座の意味を正しく説明することができる


授業を終えて
 占いが大好きな中学生にとって、黄道12星座は興味ある内容です。生徒はいつも熱心に勉強し理解できたようですが、星占いが当てにならないことを証明すると、本当にがっかりしていた。しかも、自分の生まれた月に自分の星座が見れないことにもショックを受けていた。

 占いを信じるのではなく、星空にロマンを感じるために、宇宙について深く学習したい。

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