このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録 3年(2004年度)です

導入 運動とは何か?
   (記録タイマーの基本操作)

  → 応用編:加速度を求める
              
                   2004 6 1(火)
                   第1理科室
 1年物理では、いろいろな力(弾性の力(垂直抗力)、重力(引力)、磁力、電気の力、摩擦力、遠心力)を学習した。3年物理『運動とエネルギー』では、記録タイマーを使った実験を連続4、5回行う予定だが、初日の今日は「運動とは何か?」、子どもらしい幅広い概念を聞いてみたい。授業後半は記録タイマーの基本操作を練習する。
 

 

(上:1秒で60回打点する記録タイマー)
・ 記録タイマーの2つの電極には交流100Vが流れているらしい?
 → 名古屋は60回/秒(Hz)、東京では50回/秒(Hz)
・ 記録テープには裏表があって、表面は電流を流す
・ 電流が流れると、テープが焦げる
・ テープを引っ張り、焦げ痕から速さを計算する


◎ 授業の流れ
1 運動とは何か?

 とっても具体的な抽象的なものまで出てきたが、理科的な深まりは今1つ。表面的な盛り上がりやギャグに終わった。残念無念。


2 記録タイマーの使い方

 演示しなから、以下の点について注意する。
<注意事項>
・ 感電しないこと
・ 記録タイマーを60Hzにセットすること
・ 記録テープには裏表があること
・ テープの表面を入れないと、電極の間に電流が流れないこと
・ テープを逆さから入れると、電極が曲ってしまうこと
・ 同じ位置で電流を流し続けると、電極が燃えてまうこと

(上:本校理科室には、2つのタイプの記録タイマーがあった)
・ 右の新しいものは、感電しないし故障が少ないし打点間隔も変えれるけれど、視覚的に面白くない。不便で危険でも、煙りを出しながら実験しなければ実感が湧かない。

3 生徒実験『基本操作:記録タイマー』

 記録テープを手で引っ張るだけだが、だんだん速く引っ張ると教科書41ページのように階段状の結果が出る。説明するより、生徒本人に実験させた方がよい。はっきり言って、説明はいらない。とにかくやらせれば良い。

(上:1人1メートルずつ配付し、自由なスピードで引っ張らせる)


(上:6打点毎に鋏で切り、下端を揃えて順に貼る。)



◎ 発見とまとめ
 「だんだん速くなる」「だんだん遅くなる」「同じ速さ」の3つに分類させた後、「同じ速さ」については、テープの高さからどちらが速いか考えさせる。間違える生徒はいない。





◎ 応用編:加速度を求める    2023年6月22日黄色部分を追記
 背中にテープをつけてダッシュすれば(写真下)、自分の加速度を求められます。1秒間で5m 走ることができるなら、記録テープ5m を腰に付けて屋外で実施したいです。また、ジャンプすれば、その加速度を求めることもできます。


いきなり 加速度!
 本時は「記録タイマーの基本操作」なので、加速度まで紹介するのは不適切な気もします。

 しかし、記録テープを手で引っ張れば、必ず加速します。始めから最後まで等速で引っ張り続けることは無理です。何しろ、始めは速さゼロですからね。しかも、記録タイマーは1秒間に60回(名古屋の場合)打点するので、加速する割合を詳細に記録してしまいます。

 そこで、加速を意識させた上で、等速の記録テープ作りに挑戦させるのも一案です。次のように話してみましょう。

 「基本は、始めから最後まで同じ速度で引っ張ることです。もし、完璧に同じ速さなら、テープ処理からできるグラフは変化なしです。しかし、初心者には無理かな(ふふふ)。もちろん、上手な人はすぐに水平なグラフになりますが、下手な人は水平になるまで、つまり、等速になるまでに時間がかかったり記録テープを引き終わっても加速し続けたりすると思います。ま、頑張ってください」

 注意:必ずタイマーのスイッチを押してから、記録テープを引き始めるように指示すること。さもないと、ほぼ完璧な等速の記録テープができる。

 という風に加速度を始めから意識させても良いでしょう。というか、生徒実験に加速度は絶対に含まれているので、避けて通ることは不可能です(もちろん、あえて加速度という言葉を使わない方法もありますが、中学生なら日常的に何度か耳にしている言葉でしょう)。




 となると、連続写真で紹介したスタートダッシュは、加速度の単純な例としてわかりやすいと思います。写真では記録テープを背中に付けていますが、実は、記録テープなしでも加速度を求めることができます。

 スタートダッシュ(1秒間)はすべて同じ割合で加速し続けた(同じ加速度)と仮定すれば、走った距離を計るだけで加速度を求められます。

加速度が同じと仮定するなら、わざわざ1秒間に60回も打点させる必要がない。記録タイマーの設定を1回/秒(1秒間に1打点)にしても同じなら、記録タイマーそのものを使う必要がない。

 次に、具体的な計算練習してみましょう。まず、小学校で習う速さを求めてから加速度(速さの変化の割合)を計算しますが、この問題の場合は「速さ」の方が難解です。

 1秒間で5m 進んだとすると、その速さは5m / 秒(距離 ÷ 時間)です。しかし、よく考えてください。この場合、初めは速さゼロです。したがって、5m / 秒という速さは「平均の速さ(始めの1秒間の平均の速さ)」です。スタートダッシュ時の速さはすべての瞬間、瞬間で違うのです。

 次に加速度を求めます。

 加速度はすべての瞬間で同じ、速さは同じように変化している、速さの変化の割合は同じ、と仮定されているので、加速度は速さ ÷ 時間(1秒間)で求めることができます。以下はその計算式です。

始めの1秒間の加速度(速さの変化の割合 )= 速さ  ÷時間
始めの1秒間の加速度(速さの変化の割合 )= 速さ  ÷1秒
始めの1秒間の加速度(速さの変化の割合 )=5m /秒 ÷1秒
始めの1秒間の加速度(速さの変化の割合 )5m /秒秒



◎ Aさんの学習プリント


<評価基準>

1 自然事象への関心・意欲・態度
 B 自宅から鋏、のり、短い定規、そして、第1分野の教科書を持参できる

2 科学的な思考
 B 記録タイマーによる打点の間隔と運動の速さの関係を正しく指摘できる

3 実験・観察の技能・表現
 B 記録テープを6打点毎に切り、綺麗に添付できる

4 自然事象についての知識・理解
 B 記録タイマーによって物体の運動が記録できることが理解できる


授業を終えて
 記録タイマーの基本操作と理論については、教師の説明は有害無益。実際に触らせた方が100倍効果があります。


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