このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録 3年(2004年度)です

実験3 斜面を滑り落ちる台車(等速直線運動)
              
                   2004 6 9(水)
                   第1理科室

 前回はデータ処理を失敗したので、今回は気分一新、斜面を使った台車の運動を調べた。ほぼ全員の生徒が加速運動と等速直線運動を確認できたので満足。

(上:斜面では加速運動、平面では等速直線運動になることを確かめる)


◎ 授業の流れ
1 実験方法の説明

 「今日は台車を使って実験します。この台車は摩擦が少ないので、とっても良く滑ります。面白がってスケートのように乗ってはいけませんよ。試験の前に滑って転ぶのは良くありませんからね。さて、この台車に記録テープをつけて走らせますが、そのままでは面白くありません。今日は斜面を使って加速させましょう。されに、加速した後、平面を走らせ、速さの変化を求めたいと思います。黒板に実験装置の図と手順を書くので、みなさんも写して下さい。」

 「手順について、もう一度確認しましょう。台車を転がすところは良いですね。その後の記録テープの処理ですが、6目盛りずつ切断して下さい。初めのスタート地点は0ですよ。まず、最初の点を0にします。そこから番号を付けます。そして、6、12、18、24番目の点の上を切り、順に張り付けます。簡単ですね。それから、次回は今日と同じ実験をテストします。ノーヒントで同じ実験をしてもらい、先生がやる気、実験データ、科学的思考、知識などを得点にして返却しますので、今日は練習のつもりで頑張って下さい。質問がある人はどんどんして下さい。それでは実験始め!」

2 生徒実験『斜面を滑り落ちる台車』
<実験上の注意>
1 台車で遊ばない
2 台車に乗らない
3 斜面の角度は15度前後が良い
4 記録タイマーは新しいタイプを使う
5 60Hzにセットする
6 記録タイマーは斜面上に置く
7 記録テープがひらひらしたり、摩擦が起きないようにする
8 テスト走行をくり返してから、本番に移る

3 等速直線運動をしているときの速さを求める
 半数以上の生徒が、公式『速さ= 距離÷ 時間』を忘れているが怒ってはいけない。ごく当然のように、さらっと確認し、実験で求められた落下距離と6目盛り分の時間(0.1秒)に意識を集中させる。
<説明の例>
 「それでは、斜面から滑り降りて、床を走っている時の速さを求めましょう。理想的な台車と床で、摩擦がないなら台車はいつまでも同じ速さで走り続けます。これを等速と言います。また、台車は自分で曲らず、一直線に走り続けます。このような運動を等速直線運動といいますが、その時の速さを求めるのですよ。ところで、等速にならなかった人はいますか? 記録テープの高さが同じにならなかった人です。階段を登り切ったところです。」
 「はいはい。何人かいますね。その人は1番最後の記録テープの速さを求めましょう。また、等速直線運動の時間ですが、実際の実験ではテープ2本が同じ長さで、3本目からは少しずつ下がっていくのが正しいようです。みなさんは何本同じ長さになりましたか?」

(上:A君の実験結果は、理想的な誤差を持っていた)


 「えっ、全部長さが違うのですか? 全部違う人は、斜面を滑り降りた直後の速さにしましょう。それでは、全員長さを測って下さい。測った人は、手を挙げなくて良いですから、自分のテープの長さを発表して下さい。」
 「18cm、17.4cm、15cm、13.4cm、・・・おやおや、色々な長さの人がいますね。等速直線運動の速さは、同じ班でも全員違うので安心して下さい。全員正解です。斜面が急ならたくさん加速するし、同じ傾きでも斜面の途中から滑らせた人は遅くなります。」
 「さてさて、それでは、自分のテープの長さを使って速さを計算します。速さは、距離/時間ですから、そうですねえ。黒板では、一番始めに発表してくれた18cmを距離として採用しますが、皆さんは自分のテープの長さを使って下さい。黒板を写す必要はありません。」

 等速直線運動をしているときの速さ= 距離÷ 時間
 等速直線運動をしているときの速さ= 18cm÷ 0.1秒
 等速直線運動をしているときの速さ= 180cm/秒

  ◎ Bさんの学習プリント

  ◎ C君の学習プリント

<評価基準>
1 自然事象への関心・意欲・態度
 B 自宅から、鋏・のり・短い定規を持参できる
 B 記録テープを正確かつ綺麗に添付できる

2 科学的な思考
 B 速さの変化= 加速度であることに気づく
 B 等速直線運動の後、台車が減速する理由を推測できる

3 実験・観察の技能・表現
 A 記録テープの階段が、原点を通るように処理できる
 B 記録テープを6打点(0.1秒)毎に切り、規則的な階段状に添付できる

4 自然事象についての知識・理解
 B 斜面の角度と台車の速さは比例関係にあることを理解できる
 B 記録テープの長さ(走行距離)から、瞬間の速さを求められる


授業を終えて
 楽しく良いデータが得られる実験なので、是非実践して頂きたい。また、実験誤差について考察させることも容易なので、時間があれば個人の考えを全体に発表させることも非常に有効である。本実践では、次時、まったく同じ実験を実技テストとして行うことを予告し、実験および等速直線運動の速さ(瞬間の速さ)を求めることの集中させた。個人が発見した科学的な発見は、教師が口頭で発表するにとどめ、次のテストで各自が発見としてまとめるように促した。

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